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Factor  作者: へるぷみ~
青年はその因縁を睨みつける
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特訓の終わりは

6/21に投稿できなかった分を本日投稿しています。そのため、こちらの前に一話あります。

ご了承ください。


 「今日は、私の能力を最大まで使っての戦いをしたい」


 いつも通りに特訓を始めようというとき、軽く体を動かして解しているときに私は二人に言った。


 「そりゃ構わねぇけど、さすがにオレ一人とかは無理だぜ?」

 「ボクも暴走したハクちゃんと戦ったことは無いけど一人は難しいかもな~」

 「うん、だから二人に相手をしてもらおうと思う」

 「考えてみたら多対一はあんまやったことなかったな。そういう意味でもいい経験になるか」

 「そうだね~。ボクたち基本的に一対一でしかやってなかったしね~」

 「それじゃ、今日はそうしましょうか」

 「りょーかい」

 「は~い」


 そんな感じで、二人の了承を得ることは出来た。


 結局のところ能力を使わないと能力の制御は出来ない。

 能力を使うときにいつも感じるのは抑えつけなければならないという自制心。これ以上は駄目だ、と言い聞かせることで一歩踏み出せないままに半端に力を使ってしまっている。だから、それを無くせるようにならないといけない。


 「とりあえず条件はいつもやってる感じで」

 「リョーと配置を相談なんかもするから、終わったら合図する」

 「わかった」


 クロとリョーはそういうと障害物の陰へと隠れた。

 既にケヴィンの手によって特訓するための部屋には所々武器やら道具やらが落ちており、周囲には岩やらテーブルに椅子、ベッドや本棚と明らかに屋外を想定した場合無いようなものもある。


 二人が暴走した私との戦いを話し合っている間に、私も自分の力を引きあげていく。

 まず、己の中心に意識を向ける。

 鼓動が少し早くなる。

 身体が少し熱くなる。

 きっと、今の自分の髪は黒い縞模様が出来ていて、眼の色も変わっているのだろう。意識して出せる、暴走ギリギリまで私は能力を行使している。 

 そうこうしている間に、クロから合図を告げる声が聞こえた。

 声がしてから約1分。


 「っっっ」


 感情を昂ぶらせる。

 最も能力を暴走させるのに向いているのは憎しみだとか怒りだというのはつい最近はっきりと自覚した。だから思い浮かべるのは仮想敵。自分を脅かしたクロを、自分に特訓をつけるといったラグナスを、クロを切り裂き、リョーを一撃で昏倒させたクレハを。思い出して、自分の内側を熱くする。


 そして、


 「うあああああああああああああああああ!!!」


 すぅっと意識が遠くなる。

 世界を俯瞰してみる状態になる。

 私は叫ぶ。敵に対して。

 この状態の私を私は止められなかった。止められてもほんの一部を、ほんの一瞬だけ。

 だから、そのときのことを思い出す。


 目まぐるしく動く視界。

 その視界に映るのは一段落ちた景色。

 恐らく今の自分は獣のように前傾姿勢で、両手を今にも床につけて走り出しそうな格好。

 しかしそれは獣にとっては動きやすい本能であり、その動きは非常に素早い。


 「うぁああああああおおおおおお!!!」

 「ちぃ、見つかった!?」


 障害物を飛び越える。

 そこにはクロがいた。私が現れたことに一瞬のけぞった彼に向かって私は再度ほえる。

 ここからが本番だ。

 自分の能力を制御する。

 それが、私にとっての最後の特訓だ。



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