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Factor  作者: へるぷみ~
白い少女の物語
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温もりは体と心に


 ケヴィンのところでしか出来ないことの一つに、お風呂がある。

 私と桐峰が住んでいる家はシャワーしかなくて、水はそれなりに貴重だからお湯を使う機会もそうそうない。温かなお水に浸かると自然と息が漏れる。お湯を手で掬うと私の顔が映りこむ。白い髪に琥珀の双眸と見つめあう。呼吸と共に水面が揺れて、ぐにゃぐにゃ動く顔を見ると水面に映る私は本当に私なのか少し気になる。今見えている私が桐峰の目にはどう見えてるのだろうか。彼が気になるのはなんでだろうか。


 「んー」


 お湯にもぐって目を開く。沈む体が底について、水を通して見える世界はあやふやだった。

 こぽこぽ口から出てくる泡が上に向かって消えていく。こぽこぽこぽ。


 「ぷぁ」


 頭の中がぼーっとしてきて息も苦しくなってきて、顔を水面からだして息を吸う。体の中に取り込まれる空気は脱力していた体に力が戻ってくる。昔は桐峰に体が洗ってもらったこともあったけど私が体の洗い方を覚えて少ししてからは一人でするようにしている。

 体が暑くなってきた。そろそろ出ないとのぼせ?ちゃう。


 お風呂から上がって用意されていたパジャマに着替えたら桐峰とケヴィンがいる部屋へと入る。


 「お、出てきたようだね」

 「いいお湯だったかい?」

 「うん」


 椅子に座っていた二人の前にあるテーブルには夜ご飯が用意されていた。区画分けされたトレイの上には緑のブロックに赤や黄色や緑のゼリー。深いボウルには白い液体の表面に小さなブロックが浮いている。ケヴィン曰く『ケミカル料理』で、これを食べればその日の栄養は完璧なんだって。

 色によって食べたときの食感や匂い、味は違くて面白い。ボウルの白い液体はまろやかな風味と小さなブロックはカリカリとしてておいしかった。


 「「ごちそうさまでした」」


 食べたらお勉強の時間。

 これは毎日していて色んなことを教えてもらってる。

 言葉や算数に歴史とか。他にも色々。


 「今日はとりあえず算数にしようか」

 「ボクとして保健体育が……いや、なんでもないよキリミネ」


 それじゃあ始めようか、といって桐峰が隣にくる。テーブルの上に広げられた紙と書かれた数字。桐峰が喋る数字を書き出してそれを計算するというのがいつもしていることだった。最初は足し算引き算、次に掛け算割り算、分数とか少しずつ問題も難しくなって聞いた数字を書き出すのも大変になってくる。それでも頑張って腕を動かして頭を動かして――


 「今日はこれでおしまい。頑張ったね、柏」


 勉強が終わると桐峰が頭を撫でてくれる。柔らかく触れてくれる温もりにつられて体の奥がぽかぽかしてくる。


 「それじゃあ寝ようか。さ、こっちにおいで」

 「うん」


 桐峰と手を繋いで私はベッドへと向かうのだった。



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