表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Factor  作者: へるぷみ~
廻る少女は朱に染まれない
78/187

人間の定義は


 「うーん……」

 「ん~」


 「「よくわからない」」


 私とリョーの感想は同じものだった。

 というよりも、まるで文章が支離滅裂のぐちゃぐちゃで暗号のようなものになっていた。

 最初の文章が『c;t@fz:yされたNOHA』というようなもので、ところどころ見知った言葉があってもほとんどが意味を成していないような文字の羅列だったからだった。

 加えて途中で途切れているようにも感じた。ところどころで『』に挟まれた部分があったため、それらは重要な単語なのかもしれない。


 「考えても仕方ないわ。読めないことに変わりはないし、他のものを見ましょう」

 「ごめんね~いきなり変なの選んじゃって」 

 「中身を知ってるわけじゃないし、そもそも他の項目に比べて明らかに別物だったから大丈夫よ。それに、ほとんど流し読みしたからそこまで時間は使ってないし」

 「ありがとうハクちゃん~」

 「とりあえず、順繰りに見ていきましょうか」

 「は~い」


 パネルを操作して、項目を見ていくことにした。

 とはいえ専門的な知識はわからない。いや、もしかしたらそういった知識を与えられているのかもしれないけれど、今の私はまったくわからない。


 目を通していくと、専門的な用語が多く理解し切れなかったがそれでもわかっていくことがある。


 「人類の、進化ねぇ」


 結局のところはそこに行き着くらしい。詳しくは書かれていなかったけれど、『因子保持者ファクター』とは人間が新たなるステップへと繰り出すためのアプローチの一つのようで、人間の遺伝子だけで行き着くところが決まってしまうのならば、別の生き物の遺伝子における有用な部分を抽出し、組み込んでいくというわけだ。ヒトと類が同じである生き物たちから始まり、鳥や魚、果ては植物も。あらゆる遺伝子を試し、その結果として生まれたのが私たちというわけだった。


 「やっぱり、よくわからない」

 「そうだね~」


 結局のところ私は私で、リョーはリョー。生きていることに変わりなく、触れ合えることに変わりなく、言葉を交わせることに変わりは無い。

 ただ、こんなことをしている人間はそれこそ、ヒトではない私たち以上にヒトでなしなのではないかと、そう感じた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ