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Factor  作者: へるぷみ~
白い少女の物語
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桐峰と一緒にとれーにんぐ



 お菓子とお茶を桐峰と一緒に食べて、一息を吐く。甘いものを食べると落ち着くのはなぜだろう。一杯食べるのはよくないってわかるけれど、お腹一杯になるまでいろんな甘いものを食べてみたいって思う。そのときは、桐峰も一緒だといいなって思う。


 「さて、それじゃあ今日もやろうか」

 「うん」


 午後の時間はとれーにんぐの時間だ。最初に始めたのは半年ほど前。外の世界は危ないから、自分の身を自分で守れることに越したことは無いって桐峰は言っていた。私は体を動かすのが好きだから桐峰と一緒に運動できるのはこの時間は楽しくて好き。


 「今回はケヴィンの運動場だから実戦に近い形にしよう。ケヴィン」

 『オッケー、今回は室内での遭遇戦だ。室内は5.0×5.0、家具は1.5×2.0×0.6のアイアンテーブルが1、標準サイズのウッドチェアが4、ライトは蛍光石を用いたものを天井に埋め込んだものとして中央と四隅、2.0×1.2×0.3のパイプベッドが1、壁に沿うようにして4.5×1.5の本棚と2.0×0.9のタンスでこのふたつの幅は0.6として、服掛け台座……といったところかな』

 「侵入役は柏、僕が遭遇役としよう。初期装備として僕は銃を一丁とスタンバトンを装備している。柏が侵入してきたときは一発目だけ確実に外すからそれを本格的な開始の合図としよう。いいかい、柏?」

 「うん」


 私が立っている間に桐峰とケヴィンは次々に言葉を交し合って、大きい室内には小さなお部屋が一つ出来上がっていた。中を見ることは出来なくて、入るための扉が一つだけある。桐峰は部屋の扉が現れるのと同時に中へ入っていった。


 『さてハク、侵入者役であるキミの装備は今そこに用意したものから自由に選んでくれ。もちろん全部装備してもいいし、何も身に着けないでもいい。君には選択権があるからね』

 「なら、これ」


 目の前に現れた無機質な台座の上に置かれたのはハンドガン、ナイフ、防弾チョッキ、暗視ゴーグル、スタンバトン、バックラー、ナタ、etc...と。その中で私が選んだのはナイフと指ぬきグローブだ。指ぬきグローブは第二関節までを保護できるが動きに大きく阻害が出ないタイプのもので、ナイフは刃渡り4.0の折りたたみ式ナイフ。ナイフは一緒に用意されていたホルスターを太ももに巻いて準備は完了。


 『一応背景としてはとある施設の一室に入った際に中に相手がいるためそれを制圧する、という感じかな』


 ケヴィンから伝えられた情報をもとにグローブを両手に装着し、扉の前に立つ。扉の構造は手動のスライド式扉だ。先ほど侵入したという言葉から最初から派手に動くのはよくないってことなんだろう。ゆっくりと音に気をつけて扉を開けていく。わずかに開けた隙間から中を覗くと桐峰はテーブルの周りにある椅子に座って本読んでいる。こちらには背を向けているため普通であれば気づかれない。


 姿勢を低くして、扉を体が通れるまで開ける。

 脚に力を込めて、一息に飛びかかる。


 「勢いがあるのはいいね。でも直線的だ」

 「うわっぷ」


 桐峰の背中へと拳を叩きつける直前、私の眼前に文字群が視界を埋め尽くす。本を投げられたのだ。それでもとにかく拳を振りぬく。感触は無く本が床に落ちると机を挟んで正面にはハンドガンを構えた桐峰だ。『当てない』とは言っていたが実際なら外すような距離ではない。


 ――引き金に力が込められる。


 ぱぁんと甲高い音を立てて戦いは始まった。



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