活気溢れる場所
「なんか凄い」
「いやはや、シェルターっていうのはこんなもんなのか?」
「いや、前に僕がここのシェルターに来たときはこんなに明るく活気のある場所ではなかったはずだ」
シェルターにたどり着き、最初に感じたのは明るさ。
まず、今までたどり着いたシェルターというのはほとんど人気を感じることができなかった。いたとしてもまだ周囲の世界というものをほとんど知らない子供たちぐらいなもので、数が少ないことも活気というものはないのが自然だった。
しかし、このシェルターは違う。人々が道を行き交う。そこかしこで話しに花を咲かせる女性たちもいれば、多くの子供たちが楽しげに走り回っている。
そして、最も活気溢れる場所が市場だった。
そう、市場である。
まず、前提としてあげるなら私がいたシェルターがほとんどのシェルターの基準であるということを桐峰、ケヴィン、本から学んでいる。物資を管理し売買しているのは全て機械によって自動化されており、唯一人の手で売られているのは家畜の肉ぐらいなものだ。しかし、ここは全て人の手で売買がされている。道具食べ物その他ほとんどが、人と人の手で交わされていた。
「あんたたち、このシェルターには初めてやってきたのかい?
だったらこのシェルターが活気づいてんのに驚くのも無理はねぇかもな。といっても昔からこんなんじゃなかったんだ。このシェルターがこんな風になったのは本当につい数年ほど前さ。理由はまぁ、市場の奥に行ってみるといい。そうすれば自ずとわかる」
唖然としていた私たちを物珍しさが勝ったのか、純粋な親切心からなのか、一人の気さくな男性がそう言って去っていた。
「言ってみようか」
「そーだな」
その勧めにしたがって、私たちは市場の奥へと行く。
驚嘆すべきは道行く人たちは私たちの姿に気を留めていないということ。中にはこれがおすすめだから買っていけとまでいう商魂たくましい人がいる。人々の雰囲気は全体的に明るかった。
そして市場の奥、もっとも活気溢れる場所へとたどり着く。
「おーらいおーらい!」
「今日の獲れたてはこいつだよー!」
「さぁさぁまずは1からスタートだ!」
「3」「5」「8」「10」「――」
そこは、港と呼ばれるものだった。