表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Factor  作者: へるぷみ~
青年はその因縁を睨みつける
160/187

カプセルの中の少女


 「いやはや、素晴らしいよ。一応あれでも今まで作ってきた【因子保持者しんじんるい】の中ではトップクラスの能力を持っていたのだがね。全て倒されてしまうとは……。これはあれかな、人間を作るのは生まれではなく育ちということなのかな? まぁそう言われてしまうと今まで【中央ここ】がやってきたことは無駄ともいえてしまうね。いやぁ、滑稽だ。何が滑稽って、周りの奴らが誰一人として人類の進化なんてことを考えていなかったということだね。…………はぁ、だから他人というのは嫌なんだ。美味しい部分を頂くためにすり寄って、出来てもいない笑顔に媚びを重ねていって、己の欲を満たすということだけにひたすら邁進する。反吐が出る。その典型があの地下だね。【龍】クンも、そう思うだろう?」


 「………………」


 「おやおや、答えてくれないか。まぁいい――」

 「それよりも柏はどこにいる……」

 「はくぅ? それはあれかい、【白虎】のことをいっているのか? はははあの【因子保持者なりそこない】のことか。あれは中々面白い出来だったよ。ある意味では完成していないのが完成しているともいえるか。わざわざ自分の一部である因子を隠蔽するなんて、無駄なことをしていたが、それがある意味では自分を人間だと思い込ませるための仕掛けにもなっていたようだし、切り替えるスイッチさせるという発想は面白かったよ」

 「彼女はどこにいる!?」

 「人の話を聞かないなぁ、キミは。そんなに見たいならそこにいるだろう?」


 そう言って、男は指を差し向けた。

 彼が光を背にして立っており、その奇妙な雰囲気と影が注目を彼へと向けていたのだが、光の出所へと目を向けてみれば、そこには透明な液体が満たされたカプセルの中に漂う少女の姿があった。


 衣服は何一つ身に着けておらず、腰にまで届きそうな髪は液体に浸されていることもあってか自由に散っている。

 口と鼻にはマスクが取り付けられており、そこから伸びるチューブが空気を送り込んでいると考えることができる。


 「貴重な被検体なのでね、少し協力してもらっている。あぁ、もちろん死んでいないよ。死んでしまってはせっかくの貴重な情報も死んでしまうからね。とはいえ途中で目を覚まされて混乱しても困るから空気と一緒に眠ってもらっている。それと、ところどころに傷が目立っていたからね、そちらも治療させてもらったよ【因子保持者キミたち】には必要ない処置ではあるけれど、万が一があったり負傷が影響でデータが変化しても困るからね」


 「今すぐ、彼女を解放しろ」

 「それは出来ない提案だ。彼女は現在進行形でデータを提出してくれている。そうだな、これはある意味では隠蔽に捏造を繰り返して研究情報を提出してこなかった西の研究所の成果を見せてもらっているようなものだ。つまりは彼女を調べるということはしなくてはならないことなんだ」

 「お前の都合などどうでもいい」

 「キミの都合もどうでもいいね」

 「なら」

 「なら?」


 「力づくでも取り返す!!」


 「やれやれ、今後の課題は【因子保持者】をもう少し理知的にするべきだナ……」


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ