【中央】攻略四階 8
来た道をとんぼ返りして、曲がり角を曲がる。
とりあえずは誰かしらがいる部屋に入って協力してもらうのが手っ取り早いだろう。まぁその際には絶対に抵抗されるだろうという予測はできているので、少し手荒な方法を取らざる終えないけれど、致し方ない。
「さて、ここからどうするか、だけど」
「例に漏れずに扉は開かねぇな」
「ボクとしても扉に隙間があっても部屋の中がわからないから水は操れないな~」
結局、人がいるであろう部屋の前まで来たのはいいものの、その部屋の中にいる人たちをどうやって外へと出せばいいのかという問題があった。
「となると、誘き出すのが一番だな」
「でも多少の音じゃ中には聞こえないかもだし、あまり大きな音だと人を集めそうよね」
「試しに扉でも叩いてみよっか~」
「え、ちょ、リョー!?」
止める間もなくリョーが扉を叩く。
さすがにそれは無いだろう、と思っていたけれど起きてしまったことは覆しようが無く、私とクロは慌てて扉から陰になったところで待機。リョーは私の方に来た。
「おいおいおい、ノックとか誰かがパス忘れたのか?」
さすがに無いだろうとか思っていたら、まさかの扉が開いた。
「うそ、けどとにかく、いま!」
「うぇ、な、なんだぁ!?」
何故か扉を開けた男を私が思いっきり体当たりして押し倒し、その間にクロとリョーが奥にいたもう一人の男を押し倒す。
「大人しくして。もし声を上げたら貴方を殺す必要がある」
「え、あ、え?」
「お兄さんも~、お願いね?」
「はぁ、わかった」
押し倒して暴れらないように組み伏せ、最後に声を上げられないように脅したけれど、どうやら状況がよく呑み込めていないらしい。戸惑った声でとりあえずは殺すという言葉に反応したのか首を縦に振ってくれた。
対してリョーとクロが抑えた人は両腕を後ろに回されたまま座り込んでおり、リョーの言葉に一つため息をつくと諦めたように頷いた。どうやらあちらの人のほうが状況を理解するのが早かったようだ。
その後は悪いと思ったけれど軽く腕を縛ってあまり動けないようにする。
「ど、どういうことだよ!? お、おいキミたち!」
「アホが、こいつらが侵入者なんだよ」
「け、けどまだ子供だぞ!?」
「あの異常な身体能力でわかるだろう。【因子保持者】だ」
「まじ、かよ……」
「そういわけだから、協力してもらえる?」
「……わかった」
「お、おい!?」
「仕方が無いだろう。ここで抵抗すれば俺たちはただでは済まない。連絡しようにも、そんな余裕は無いからな。それとも、何か。この状況をお前は打開できるのか?」
「………………」
「そういうわけだ。協力しよう」
「ありがとう。無闇な乱暴は避けたいから」