【中央】攻略四階 7
部屋を出る際には慎重に動くことにした。
なにせせっかく追手を撒いたのにまた見つかってしまっては今度はさっきよりも混沌としたものになるはずだからだ。なにせ、【対因子部隊】がいたあの空間は彼らしかおらず、周囲への被害という部分ではほとんど考えなくて良かったから。しかし、こちらでは研究員である白衣の人や実験やらなにやらのための機材が多くある。それだけにあちらの行動に制約がかけられる分やりやすいけれど戦えない人間が巻き込まれるというのはあまりいい気分ではない。
手始めに私が扉を小さく開けて廊下を見る。どうやら角部屋に位置しているようで、正面と左に道があった。人はいないけれど、三階では油断して偶然出くわしてしまったという例もある。気をつけるに越したことは無い。
ひとまずは大丈夫だと合図し、どちらの道を行くかを考えて左に行くことにした。というのも正面の通路は先ほど私たちがダクトで通ってきた下に位置している。ということは覗いた部屋で見つけた二人組みの白衣の男たちが部屋の中にいるからだ。ある意味では場所がわかっている分そこに急襲して情報を得るという手段に出てもいいけれど、さすがにそれをするのはもう少しここを偵察してからでもいいだろうという判断だった。
人気の無い廊下をしばらく歩いていると、扉に出くわした。考えてみればこちら側は部屋の間隔が広いのかそれなりに歩いたところに部屋がある。そしてそのどれもが手動で開けられる造りになっていない。扉の横は必ずといっていいほど認証するための機械が設置されており、試しにともしものための扉の取っ手を引いては見たものの開かなかった。
「この感じだと、誰かしら一人には協力してもらうしかなさそうね。クロなら無理矢理にでも開けられるでしょうけど、そこまでする必要はないでしょうし」
「だったらどうする、このままだとこの階層を調べるまもなく上に行くことになるぞ」
「それはちょっとキツイかも。確か上に行く階段と下に行く階段はもう封鎖されてるみたいだし……」
「正面突破ができても5階で行き詰るってか」
「ええ。一番は桐峰と合流できればってところだけど、あまりおすすめは出来ないわね」
「とすると、どっかしこの部屋から出てきた奴らを捕まえんのが一番早いな」
「そうなるわね」
結局のところそれしか手段はないようだ。
となれば行くところは決まっている。
「私たちが最初に見つけた白衣の男たちがいる部屋に行きましょう」