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ある日の仕事帰り
社会人。大人なはずなのに不器用で上手く生きられない男女のじれったい初恋の話です。
特別酒が好きな訳ではない。それでも飲まないとやっていられない日はある。今の私のように。
理不尽なこともある。それでも時間は流れている。次から次へと仕事は増える。人手が足りていない職場では特に。
だから、酒の力を借りる。元々アルコールには強くないので、少量で酔って寝てしまう。美味しい酒の飲み方ではないが、大人に許された1つのストレス発散方法だと思う。
買い物籠に次々と酒を投入する。レジに向かう段階になって、ふと我にかえる。イカン、まだ興奮している。
籠の中には6本の酒類。私1人では飲みきるのに半年はかかる。努めて冷静に、商品を選び直す。どうせすぐに酔うのだ。1本で充分ではないか。