閑話・私の幼馴染み
鳳凰院美琴視点です。
いつもより短いです。
私の名前は鳳凰院美琴。歴とした鳳凰院グループの会長を祖父に持つ女子高生だ。
だが今は対して関係ない。今話すことと言えば、私の幼馴染みについてだろう。
幼馴染みの名前は、斉藤舞。私は舞と呼んでいるわ。
舞は昔から変な子だったわ。昔から変で、本当に良い子だと思うわ。
初めて出会ったのは幼稚園の最年長のクラスになったとき。そこで私と舞は同じクラスになったの。
その頃私に友達らしい子はいなくっていつも私は一人で遊んでいたわ。
私は鳳凰院グループの会長の孫であることはそこに勤めてる人間は全員知ってることだから、変に気を使われている事を子供ながらに気づいてたんでしょうね。自然と私の回りに人はいなかったわ。
それはクラスが変わっても変わらないって思ってたの。
そんな私に話しかけてきたのが舞だった。あの子は私と違う理由で有名だった。人の名札を見るなりいきなり倒れたから。
慌てまくった先生や泣き叫ぶクラスメートたちの阿鼻叫喚でそのきっかけとなった子だから。
あまりの事態に当時から冷めた子供だった私も思わず泣きそうになったのを今でも覚えてる。
何でか知らないけど、舞はそんな私に積極的に話しかけてくる稀有な存在だった。
ときどき、私以上に大人びた目をするのが印象的だった。
小学生になったら、本格的に浮き始めてた。
だって勉強は一流の家庭教師がいたから余裕でトップになるし、体育も同じくトップクラス。
見た目は自分で言うのもなんだけど、お母様譲りの美貌を受け継いで他の小学生とはレベルが違うと言って間違いなかった。
そのせいか一部の女子に嫌われたりなんかした。
全員に嫌われてる訳じゃないけど、無意味に怖がられたり、あきらかにお金目当ての子とかいて無駄な心労が溜まり始めた。
そんな環境だからか、だんだん学校というものが嫌いになっていったわ。
それでも舞だけは変わらなかった。
幼稚園で一緒のクラスになったときのように普通に話しかけ、遊びに誘う。
勉強も運動も私と同じくらいできるけど、周りのみんなに嫌われることがなく仲良くやっていて正直羨ましく思ったことが何回かある。
それでも舞は変わらず私を気にかけ、仲良くしてくれた。
一時期、なにか理由があるのかと思い色々とやってみたがどれも空振り、周りに心配をかけたことがある。
わかったことは舞は世話焼きなお姉さん気質だということだ。
気づいたのは中学生の職場見学で私たちは保育園に行くことになった時だ。
その時に気づいたのだが、舞が気にかけている子はクラスに馴染めないのか一人で遊んでる子に積極的に話しかけてるのを見て気づいた。
そして舞の中では私はいまだに小さい子扱いされているということだ。解せぬ。
・・・まぁ、あの子のそういうところに救われたところのある私がとやかく言うのは間違ってるかもしれないけど。
年下扱いはムカつくけど、他の子のような嫌な目で見ないしいつも私を気にかけてくれたおかげで救われてるのも事実だもの。
むしろ、舞には色々と迷惑をかけてないかと心配してしまう。
私の家族は舞に対して私の世話をさせようとしている節がある。
いくら鳳凰院とはいえ教師に圧力をかけたりはできるかもしれないけど、そこに通う生徒にまで圧力をかけることはできない。できたらできてで問題だ。
そこで彼女にサポートさせようとしているじゃないかと。
彼女は気づいてるかわからないが小学校の途中からずっと同じクラスだし、私に用事がある人間は必ずと言っていいほど舞に確認をとる。
彼女が武術を習いたいと言えば鳳凰院のコネを使って良い教師を彼女に習わせたり、もっと難しい勉強をしたいと言えば私付きの家庭教師を彼女にもさせてあげた。お金はもちろん取ってない。
一応彼女の意思は尊重しているけど、一部本当にそれは必要なことなのかと聞きたくなるようなことまで教えていた。盗聴器の対策とか、効果的な急所の打ち方とか。
・・・まぁ、舞も舞で楽しんでるところもあったし、こっちもとやかく言うのはやめましょう。
でもあの子、気づいてるのかしら?このまま流されると、私の付き人兼護衛とかにされそうだってことに。
本人がそれを知ってて了承しているのならもうなにも言わないけど、気づいてないなら早めに何とかしないとうちのグループに外堀が埋められたら逃げられないと思うわよ。
あの子の将来を心配してもしょうがない。
少なくとも、うちの会社に来たらできるだけ優遇はしてあげるし大丈夫でしょ。
それよりも問題はあの性格よ。損得とか考えないで困ってる人を見ると助けようとするところ。
人によっては美徳に見えるかもしれないかもしれないけど、それで他人の問題にまで首を突っ込もうとするのはどうかと思うのよ。
学園に入ってからもそう。
たいして関わりのない入学式に遅刻した女の子を可哀想だと自分から学園案内を申し出たりとか、別に舞がする必要ないじゃない。
(そんなことを繰り返してると、いつか痛い目に遭っちゃうわよ・・・)
舞の心配性がうつったのかしら。
まだなにも起こってないのに、つい心配なってしまう。
できれば、私のこの考えが杞憂であってほしい。




