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73話 悪との再会



 あー、スッキリした。

 言う事は言ったから清々しいよ。

 俺はその場で背伸びをして凝り固まった体をほぐす。

 腰を回すとバキバキと音が鳴る。

歳かな。


「あんた……えらい度胸あるねぇ」


 おばちゃんは呆れと関心を持った表情で俺の方を見つめる。


「俺は権力を横暴に使う人が嫌いですからね」

「おかげで私たちは助かったけど、あんたは大丈夫なのかい。完璧にターゲットにされたよ? あの男の毒牙にかかった教員や生徒も少なくないよ」

「大丈夫ですよ、その時は適切な対応をしますので」


 俺はニコリと笑い、おばちゃんたちにそう告げる。

 それを聞いたおばさんたちは安心したようにホッと胸をなで下ろす。


 そう、適切・・な対応だよ……。



 その言葉を後にして、俺はおばちゃんたちに挨拶をして食堂から出て行く。

 目的地は勿論図書館だ。

 その前にブラブラと廊下を歩きながら見て回ろうか。


 俺は誰もいない廊下をコツコツと足音を立てて歩いて行く。

 それにしても広いなぁ。

 特に天井が高い。


「おや、月宮さん。どうされましたか?」


 プリシラさんだ。

 やはりキッチリとした服にメガネは秘書という貫禄があるな。手には書類の入った袋がある。


「図書館に行こうと思っているんです」

「私と同じですね」

「そうなんですか?」

「ええ……あのクソじ……こほんっ。学園長が絡んできて邪魔なのです。図書館は静かにしなければならない決まりがあるのでよく利用しているのですよ」


 仕事かぁ、お疲れ様だな。


「良ければ一緒に行きますか?」

「そうですね」


 そうして俺とプリシラさんはと図書館の中に入っていく。

 中にはゲートの様な物がある。


「それは盗難防止様です。貸し出しは出来ませんので必要があれば、そちらの用紙にお願いします」

「問題ありません」


 そうして中に入ると目の前には大量の本があった。

 凄い。国立図書館よりも広いんじゃないのか?

 これ一つ一つがオリジナルの本ばかりなんだよな。

 複写もあるだろうが、それでも圧倒的に本の少ない世の中でこれは凄い。


「では私はそちらのテーブルで作業をしますので何かあればいつでもお尋ね下さい」


 プリシラさんは目の前にある机を指差す。


「はい、分かりました」


 俺は早速物色する事にした…とは言ってもこの広さは流石に歩いて回るのは面倒だ。


 ソナーを使っちゃおう。


 俺は魔法を使って周囲を測定する。

 ん……ん?

 地下か?

 ここから螺旋に降りる階段がある。

 書庫か……いや……違う。

 それも勿論あるがその更に下だ。

 行ってみるか。


 俺はその場所に繋がるであろう扉がある方向へ行く。

 目の前には何もない。

 いや、これは魔法がかけられてるのか。

 魔力を通すと魔法の反応がある。


 仕方ない、透過しようか。

 通り過ぎると中は真っ暗だった。


「【ライトボール】」


 俺は複数の球体の光を目の前に出して進む。


 コツコツと石畳を歩く音が聞こえる。

 随分と古いなぁ。

 降りて行くと薄暗い部屋に出た。

 ここが書庫ね。

 試しに一つ取ってみると明らかに年季の入った物だと分かる。

 かなり危険な物だな、それと同時に貴重な物だとも分かる。

 重要書庫か禁書庫ってところか?

 取り敢えず学生が入ってこれる様な場所ではないのは分かる。


 これは一先ず後にしよう。

 問題の更に下に繋がる場所が気になる。


 俺は更に下に繋がる扉を見つけて下に行く。


「やっぱりか……」



 迷宮。


 第二の迷宮だ。

 ようやく見つけたよ。

 いや、探す気はなかったんだけどね。


 それにしても紫か。

 もう少し明るい色が良かったなぁ。



 ピコンッ


『サ~ン、ニーイ、イーチ』


 は?


(はい! 暇して呼ばれましたアテナさんです!)

「………」

(あれあれ? 反応がないぞぉー?)

「アテナさぁん。分かってたけどさ」

(やっぱり! 分かってるじゃないですか!)


 だって迷宮だもん。

 神様出てくる強制イベントだし。


「それで……見つけちゃったんだけど、どうしようか」

(行くっきゃないっしょ!)

「相変わらずノリノリだな」


 スタートからギアがマックスのアテナさん。

 今にでもこっちに来たいのが分かる。


(りょう君って私より強いけど、迷宮は必要だと思うんだよ)

「そうかなぁ?」


 俺は疑問に思い首をかしげる。

 確かに強いけど、神界の魔物程でもないと思う。


「まぁ、今日はやめておくわ」

(ちぇー、わかりました。それじゃあ、行くときは呼んで下さい)

「分かったよ」



 俺はアテナとの通信を切る。

 とは言っても、興味はあるんだよなぁ。

 どうしよう。



 ゾクッッッ!!



「ッッ!」



 突然として俺の背中に悪寒が走る。

 全身が逆撫でされた様な感覚だ。

 知っている、この感覚はヤバい!


 今すぐにでも逃げ出したいが足が動かない。



「ハロハロォ、ロキちゃんでぇーす!」


 ッッ!!

 やはりコイツか。

 なんでここに居やがる!


「ちょっと、警戒し過ぎだよぉ。あー、やっぱり第一印象がダメだったのかなぁ? 失敗したなぁ」

「なんの用だ」


 俺は相手を睨みつけるかの様な威圧感を込めて話す。

 体にも緊張感が走る。


「いやねぇ、君に良いことを教えてあげようかなぁって思ってね」

「なんだ」

「迷宮って私たちの管轄にあるんだよねぇ」


 聞きたくなかった情報を聞かされた。

 そうして最悪の可能性が頭の中に過ぎる。

 管轄ということは迷宮の魔物を外に出すことを出来る。

 そうなれば世界が滅ぶ。


「で……どうしたい、世界でも滅ぼすのか?」

「くくっ……いいねぇ。神相手に一切の動揺を見せないその態度、素晴らしい」

「神以前にお前は敵だ」

「そうだね、敵だ。そこで提案だ。ゲームをしよう」

「なに?」


 ゲームだと?

 神からしてみればゲームかもしれないが、俺からしてみれば死合いなんだが、


「私は強過ぎる。正確には私たちだが……その中でも私は強い」

「ヘファイストスよりもか?」

「ふふっ、愚問だよ。弱ければ倒されているだろう?」


 確かに……。

 という事はこいつは文字通りの化け物って事かよ。

 どうやって勝てって言うんだ?


「いいねぇ……実にいい。それでこそのイレギュラーだ」

「要件を言え」

「そうだね……君には神殿を……そう迷宮を攻略して貰いたい」

「そのつもりだが」

「それは元の世界に繋がるための鍵かもしれないからかぃ?」


 ッッ!!

 こいつ……どこまで見透かしてやがんだ。

 冷や汗が止まらない。


「残念だが…それとは関係ない…いや…遠目にみれば関係あるとも言えるか?」


 ロキは何かを躊躇するかの様に踏み止まる。

 となると……関係はあると言う事か。

 今は保留という事でいいか。


「そもそも何で神が地上に降臨出来ているんだ」

「迷宮とは神殿。それも私が管轄しているもの。それに限定して神は一時的に降臨出来るんだよ」


 なるほど…それがこの迷宮の強さと比例していると言う事か。


「君には試練を与えよう。5年だ。それ以上は待てない。それを過ぎれば迷宮の魔物を外に出す事にしよう。うん……それが良い」

「何の目的で……この世界の住民に被害を与えるんだ」

「……それは言えないな……ふふっ、時が来れば自ずと分かる」


 力尽くでも口を開かせるか。

 いや、俺じゃ相手にもならない事は見て分かる。


 俺は力を込めた手をブラリと下に下ろす。


「試練だからね、気をつけたまえ。弱い魔物は居ないぞ?」

「ちっ……」


 魔物の強さまで変化させられるのか。

 実に厄介だ。


「攻略すれば迷宮は元の安定した姿に戻る。安心したまえ」

「素直に安心は出来ないな」

「まあ、まだ来て間もない君はすでに二つの迷宮を見つけた。時間はある。ゆっくりやりたまえ。じゃあねぇ、バイバイ」


 ロキは全て話終わったのか、その場から消えていく。

 俺は地面に腰を下ろして大きなため息を吐く。


 はぁ、しんどかった。

 本当に心臓に悪い。

 とりあえず、この件は保留だな。

 ヘファイストスにでも相談しよう。



適当な登場人物の小話でも書いてみようと思いました。完全な気まぐれです。


・メリッサ(作者)です。


##



アテナ「メリッサさ〜ん、最近私たちの出番がない気がするんですけどぉ〜♪」


メリッサ「いや…でもね…」


アテナ「でもじゃねぇーんですよ! りょう君との甘い時間がなんか下の…誰あの子!! 超ムカつくんですけどぉぉぉッ! 神様なめんなぁぁぁッ! 心の広い神なんていねぇぇんですよぉぉぉッ! ……グスッ」


アディ「大丈夫よぉ、きっと出番はくれるわぁ。というかメリッサさぁ〜ん。あなた、今文字を打っている時に私の名前が出てこなくて作品の参考資料で確認したわねぇ? 」


メリッサ(ドキッ!)


アディ「ドキッ! じゃねぇんだよ! 薄いか! 私の存在はそんなに薄いかぁぁぁッ!作者なんだから覚えとけやぁぁッ! 」


メリッサ「ちょっ…まっ…アアアアァァァァァッ! 」

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