42話 《雨の日は暇》
間違えて6時に予約投稿をしてました。
もう1話前にあります
暇だ。
家の外は雨が降っている。
よく考えれば、この世界には傘などの雨具はない。
必然と家に引きこもる人が増えるので、屋台やら店も閉店している。
神界にでも行くか。
【神界への鍵を使用しますか? YES or NO】
イエス。
眩い光に目をつぶり、目を開ければ俺のマイホーム。
「お帰りなさいませ、主様」
「ただいま、ガブリエル。みんなの様子に変わりは無いか?」
「はい、変わりありません」
それは何よりだ。
「アテナはどこに居るんだ?」
「アテナ様は主様の自室に居られます」
あいつ、自分の部屋を全く有効活用していないよな。
俺が作った意味無いじゃん。
「分かった、ありがとう。今日はこっちで泊まるよ。後で最高幹部達を俺の部屋に来させてくれないか? 少し話したい事もある」
「承知いたしました」
さて、行きますか。
毎度毎度、アホな場面しか見てないから成長するのを期待してるんだよ。
神より地上の人族の方がしっかりしてるってどうなんだろう。
一回お仕置きでもするか?
天使達も神だからって甘やかし過ぎだと思う。
ガブリエルに教育を頼もうかな。
そうしよう、神は全能でない事は分かっている。
俺はマイペースに自分の部屋に向かう。
ガチャ
久しぶりの我が家にご対面。
「んー、んー! んんーん!」
「…………」
目の前にはキリストの十字架の様に貼り付けにされて口を塞がれているアテナとジジイ。
またかよ!
何でこんなアホな場面に遭遇するんだよ!
神らしいところを見せろよ!
もう嫌だ、帰ろうかな。
「あら、涼太さん。お帰りなさい」
「ただいま、パラス」
こちらを振り向き、当たり前の様に会話をするパラスさん。
手には荒縄。
その周りにはアディやらテミス、パンドラも居る。
男共は居ないな。
「何をしてるんだ?」
「貼り付けにしています」
うん、見れば分かる。
俺が知りたいのは、どう言う現状なのかと言う事なんですけど。
「パラス達って、仕事があったんじゃないのか?」
「そうなのよぉ、その事で問い詰めてたのよぉ」
「うぉ!」
後ろからアディが抱きついて来た。
「んー! んんん! んー」
「うるさいわよぉ、アテナ。黙りなさい、ジジイを見習いなさい」
「んーー! んんんーん!」
口を塞いでいるのにうるさいアテナだ。
うっすらと涙目になっている。
あれ?
じいさんをよく見れば気絶してないか?
お腹に拳の跡が付いているんですけど。
強制シャットアウトさせられたの?
「とりあえず、縄を解いてやってくれないか、現状が理解できない」
「仕方ないわね」
固く縛った縄を順に解いていく。
関節部分を全て縛っている。
これじゃあ、動くに動けないよな。
ドサッ
じいさんはそのまま地に倒れ伏した。
ジジィィィ!
マジで大丈夫なのか。
「ぷはぁ。りょう君、聞いてください! 私は無実です! 急にパラス達に縛られたのです」
「ほう、あなた一人だけメインヒロインの座を優雅に掻っさらいやがって無実ですか」
「涼太と私達が居ない間にイチャコラしてんじゃないわよぉ」
「これでも、怒ってるんっすよ」
「ギルティ」
前頭の「……」も無しですか、パンドラさん。
「もしかして、大侵攻の時のことか?」
それくらいしか考えられない。
「そうよぉ。アテナったら、私達が仕事で帰って来た途端にメインヒロインの座を貰った宣言をして来たのよ」
「それはつまり私達がサブキャラに成り下がる事です。そうなると私達の存在が薄れていきます」
「それはマズイと思ったんっすよ、更にオーじいの許可もあるって言うじゃないっすか」
「…………」こくこく
「つまり、問い詰める為に縛り上げていたと言うことか?」
「「「「その通り!」」」」 「………」こくこく
メンドクセェぇぇぇ!
神様面倒くさいよ!
ドロドロとした女事情かよ。
確かに最近は出番無かったよな。
ごめん、俺も悪いね。
「数日は神界の方に居ることにするよ。じいさんにも俺からお願いするから許してやってくれ」
「それなら仕方ないですね」
「約束っすよ」
ひとまず部屋を片付けてお菓子とお茶の準備をする。
定期的にガブリエルが掃除をしてくれているから綺麗だから直ぐに終わった。
「そう言えば、仕事って死んだ人を送り出す事なのか? 神界の魔物とも戦うって聞いたんだけど」
「人を送り出すのは稀ですよ。基本的に死んだ中で更に選ばれた人しか私達は相手にしません。後は自動で天国やら元いた場所に転生します」
「全員じゃないのか?」
「馬鹿言わないでくださいよ、一日にどれだけの命が失われると思っているのですか。とても私達だけでは捌ききれません」
確かにそうだな。
人だけではなく動物やらも合わせたら恐ろしい数になる。
納得だ。
「魔物の討伐は基本的には男達がやります。偶に私達、女神も参加します」
「それじゃあ、ヘファイストス達も今は討伐に行っているのか?」
「はい、その通りです。とは言ってもそろそろ戻ってくる筈です」
「まぁ、それまでゆっくりしておこうか」
「それなら神生ゲームをしましょう!」
神生ゲームか、人数も多いし丁度いいな。
「分かった、そうしよう」
ここで神生ゲームを説明しよう。
神生ゲームとは、ルーレットを回し出たコマ数を動きゴールをした者が勝ちというゲームだ。
地球のと違うのは止まったマスの事象が強制的に行われ、俺たち自身がコマになる事だ。
上空にルーレットがあり、「ルーレットスタート」と声を出すと動く仕組みになっている。
俺の創造魔法をフル活用したゲームだ。
「では始めましょう。まずは私からですね!」
アテナからスタートだ。
「ルーレット、スタート」
上空にあるルーレットが動く。
止まったマスは8だ。
「えっと、何でしょう。指立て伏せ10回!? 最初から鬼畜過ぎませんか!」
腕立て伏せではなく指立て伏せ。
普通なら運動をしていないアテナでは不可能だ。
だがしかし、強制的に行われるこのゲーム。
「キャ、体の自由が効きません! やめて下さい、指が! 嫌ぁぁぁ」
強制的指立て伏せが始まった。
折れようが終わるまでその行為を続ける鬼畜さ。
実に面白い。
「ひぐっ、おかしいです。以前は天国ルートでしたのに何で最初から辛いのですか」
「知らないわよぉ。次は私ね、ルーレットスタート」
アディは10で止まった。
いきなり最高の数字か。
「10ね、選択した人物をこのマスまで連れてこられる。きたわね、涼太よ」
手招きする様にアディがこちらへと。
瞬間、俺はアディのマスに移動した。
「いらっしゃい、待ってたわよぉ」
「あ! ズルいです。りょう君から離れなさい」
「無理よぉ、自分のマス以外は動けないもの」
マスの大きさは縦横2メートルの正方形。
必然と被ったマスの人とは物理的に近くなる。
「うちの番っすね、ルーレットスタート」
止まったのは4だ。
「むう、4っすか。なになに、空からの落し物。頭上に気をつけろっすか」
俺たちは一斉に上を見る。
落ちてきたのは鉄柱だった。
「ちょっ、やばっ!」
ドゴッン!
テミスは紙一重で狭い空間に落ちてきた鉄柱を避ける。
「冗談じゃないっすよ。マジで死ぬところだったっすよ」
「今のはマズイかったですね。まぁ、結果オーライだからいいでしょう。ルーレットスタート」「ちょっ、パラス。冷たくないっすか?」
「1ですか。次のターンで出たマスの2倍進めるですか」
安全ゾーンだった様だ。
「……ルーレットスタート」
パンドラの番である。
5であった。
「……猫耳変身」
きたぁぁぁ!
パンドラは光に包まれ、猫耳に尻尾の可愛い子猫に変身した。
照れている姿がまた可愛い。
「パンドラが一番当たりねぇ」
「りょう君、じっくり見過ぎですよ」
おっと俺としたことが、ごめんねパンドラ。
凄く可愛いから仕方ないよ。
「最後は俺の番だな。ルーレットスタート」
元から10に居た俺。
一番進めるのである。
「えっと、出た目は6か。ふむふむ、ゲーム終了まで性転換!? ちょまっ、ふざけんなよ! 嫌だ、やめろぉぉぉぉ!」




