33話 大侵攻(開戦)
小説を書き始めて早一ヶ月。
毎日投稿してる自分にびっくり。
そして、何故こんなにも無駄に長くなったのか。
すいません。
今日の18時にもう1話更新します。
決戦の日だ。
門の外には冒険者や騎士達が静まり返って時を待っている。
だが俺の存在はそこにはいない。
「陛下、俺も先陣をきった方が宜しいのではないでしょうか?」
「ならぬ、大侵攻では強力な魔物ほど後から出て来る。お前の力はそこで振るってもらう、雑魚は冒険者や騎士達に任せよ」
王城のテラスに俺と陛下はいた。
ここなら、国の外の風景がよく見える位置であり、現状も把握しやすい。
それにしても凄い数だなぁ。
流石は国の戦力が一つに集まっていると言うべきか。
でも、ちらほら騎士や冒険者でもない人がいるな。
あれは獣人か? 初めて見たな。
でも瑞穂らしい格好じゃないか。とても今から戦うとは思えない。
「陛下、獣人の様な人達が居るのですが、あの人達も戦ってくれるのですか?」
疑問に思い陛下に聞いてみた。
すると、陛下は怪訝な表情になり俺の問いに答えた。
「恐らく奴隷であろうな」
「奴隷ですか?」
この国で奴隷なんてあったのか。
「どこぞの馬鹿貴族が騎士の代わりとして戦場に追いやったのであろう。実に遺憾だがな」
陛下からギリッと歯を噛み締める音が聞こえる。
つまり捨て駒として送り込んだということか、気に入らないな。自分の手は汚さないという訳か。
「この国では奴隷は水準されているのですか?」
「数百年前に奴隷制度が出来てからはそうだな。私の方でも廃止をしようとしているのだが中々上手くいかんものだ」
そんなことも考えていたんだ。
流石は王だな。
「結界の方はどうしましょうか? もう張った方が宜しいのでは?」
「お前さんの魔力で張るのだろう?維持する為の魔力も必要なのではないのか?」
「いえ、問題はありません」
「ならば頼むぞ」
「分かりました」
俺は手を上に翳してこの国を球状に覆い尽くす結界をイメージする。
すると、国の上空に大きな魔法陣が浮かび上がる。
そこから波の様に俺の魔力で造られた結界がゆっくりと球状に貼られていく。
よし、これで魔物の侵入は防ぐ事が出来る。
言わば一種の安全地帯だな、樹海にあった場所も結界が張ってあるのかな? でもそんな気配は無かったから別の何かか?
「ほう、分かっていたが実際に見てみると凄まじいな。国を全て覆い尽くす結界か、我が国の魔術師を総動員しても無理であろうな」
陛下は顎に手を置き、感心する様に頷く。
「そうなのですか? 国が抱えている魔術師なら可能だと思うのですが?」
「お前と一緒にするでない。結界魔法の担い手など国には手で数える程しか居らぬわ。更に次元魔法に時空魔法、それにお前の家の事もある。何者なのだ? 我が国の為に戦ってくれるのは嬉しいが素性ぐらいは知りたいぞ」
チートですが何か?
「秘密です。時間が経てば恐らく、話す機会もありますよ」
「王の頼みでも駄目か?」
「申し訳ありませんが駄目です」
「むう、残念だ。あまり踏み込めば、虎の尾を踏みそうだ。その機会を待つとしよう」
そう言い、グラスのワインを飲み一息つく。
というか、それって俺の家にあった物なのですけど……。
「俺の出番は一先ず終わりですがどれ程で高ランクの魔物は来るのですか?」
先ずは弱い魔物だと言っていたが、俺の出番の目安ぐらいは知りたい。
「私も詳しい事は知らんな。過去には一日で終わったこともあれば、三日間戦い続けた事もあった」
「ちなみに、その三日間の時の魔物の量はどの程度だったのですか?」
「確か一万程であったかな。雑魚ばかりであったが、数が数だけにそれだけ掛かったのだ。今回はそれよりも少ないとは思うが、ヨルムンガンドという化け物も出てきおったから、質は前の比ではないと思うぞ」
うわぁ、そりゃ大変だわ。
という事は俺の出番はまだ先という事か。
♢♦♢
門の外にて……。
この日がついに来ましたか。
涼太様はこの戦いでの最高戦力である切り札。
簡単に戦場に出て来られては困る。
それに、ヨルムンガンドをお一人で受け持って頂くのだ。
私達がそれ以外を倒して負担を減らさなくてはいけない。
それにしても、本当にとんでもない方だ。
昨日の出来事は今でも頭の脳裏に浮かび上がってくる。
国王陛下と四大公爵に啖呵を切ったのだ。
私はあの重圧に直ぐにでも逃げ出したかった。
周りの騎士達も同じ表情を浮かべており、冷や汗が止まらなかったなど今までどんな強敵と対面してもなかった。
それ程にあの空間は異質だった。
それなのに、あの方は顔色一つ変えずに淡々と言葉を放つ。
国の為とはいえ、何故あそこまでの事をされる必要があるのか疑問しかない。
「おい! 戦姫、お前さんはどうする? 先陣を切って進むか?」
突然声がかかり誰かと見れば冒険者ギルドのギルドマスターと隣に居るのは…確かライアット公爵家の懐刀の疾風という異名がつけられているハルトさんだ。
その異名通りに風魔法を得意とする剣士でもある。
「私も最前線で戦おうと思います。涼太様の負担を少しでも減らしたいので」
「戦姫殿、涼太殿はどちらに居られるのですか? あの方にも挨拶をしておきたいのですが。昨日は素晴らしい料理も頂いたのでお礼もと思っていたのです」
「涼太様は王城に陛下と居られます。あの方が戦われるのは私達が相手に出来ない敵、即ちヨルムンガンドが出てくるまで城で待機せよ、との命令があったそうです」
私もここに来る直前にグリム様から聞いた話だ。
何やら準備もあると言っていたがなんだろう。
「何だ、あいつの実力は凄いことは分かっているんだが、実際には見た事がないから楽しみにしていたんだがな」
「ガッツ殿、実力はヨルムンガンドと戦える時に見えるからそこまで待てば良い話ではないですか」
「だが、共に戦える機会は早々無いだろう。俺はギルドマスターという職に就いているから、中々体を動かす機会もないんだよ」
「おや、という事は体が鈍っておられるのでは? 無理をしなくても宜しいのですよ」
「はっ! その程度で鈍るようではギルドマスターは務まらんわ。だからこうして体がウズウズしているのだぞ?」
戦意があるのはいい事だが、その筋肉をピクピクと動かすことはやめてほしい。
正直に言うと気持ちが悪いので。
「ガッツさん、聞いておきたい事があるのですが」
「ん? 何だ、俺が知っている事であればこたえるぞ」
「神話級の魔物とは何なのですか? 私は一度だけ災害級の魔物に出会った事があるのですが恐ろしく強かったです。それと比べてどの程度か気になるのですよ」
「そうか、お前さんはまだ生まれてすらいなかったな」
私の歳は14だ。生きている間にそんな魔物の話を聞いた事がない。
「災害級は国を滅せる可能性がある魔物だ。それだけでもかなり強力だ。だが神話級は国を滅ぼすなど朝飯前だ。過去に一度他国におとずれたことがあったが、そいつが通った国は跡形もなく無くなったそうだ」
一匹で国を滅ぼすか。
考えただけでゾッとする話だ。
突然周りの人達だ騒ぎ出した。
敵が来たのでしょうか? いや、敵の到着までまだ時間はある筈ですが…。
「おい! 空を見ろ!」
一人が空を指差して大声を上げる。
すると、突如として空には大きな魔法陣が浮かび上がった。
あれ程の魔法陣を私は見た事がない。
涼太様の言っていた結界とはあの事なのだろうか?
「おいおい、何だありゃ」
「ガッツ殿、あれが報告にあった結界ではないのか?」
「結界魔法というやつか。確か、疾風よ。お前さんも結界魔法が使える筈ではなかったか?」
「確かに私に適性はありました。しかし十全に使うなど無理です。それ程に高度な技術が必要なのですよ。ましてや、この様な巨大な魔法など使える筈がありません」
ハルトさんはヤレヤレといった表情でガッツさんの問いに答える。
「涼太様が規格外な方なのです」
そして、その魔法陣から波打つ様に魔力が国全体を覆う様に拡がっていく。
周りからは突然の出来事にどよめきが走る。
マズイな。
報告はあった筈だ。
そう、正にこの混乱を防ぐ為に各貴族に知らせがあった。
現に冒険者は知らせを知っている所為か直ぐに騒ぎを落ち着かせた。
しかし、貴族の兵士は国に何かがあったと思ったのだろうか錯乱している。
一人の兵士が張られた結界の中に入りそのまま何処かへ行った。
それが合図になったのだろうか、混乱した兵士は次々と国の中に入っていく。
「馬鹿どもが」
それだけで、辺りにいた貴族の兵士の半数がこの場から居なくなった。
「酷いですね。これから始まると言うのに……」
「まぁ、私も全ての兵が役に立つとは思っていませんでしたが、騎士の半数が居なくなるとは思いませんでした」
現に貴族が用意したであろう奴隷達は逃げられない事に怯えを感じている。
奴隷は主からの命令には刃向かう事が出来ない。
それは自分が捨て駒だと分かり死ぬ運命でも逃げ出す事すら許されない事に他ならない。
「この程度で同様する兵が戦場で使い物になる筈もなかろう、捨て置くぞ。邪魔になるだけだ」
「確かにガッツ殿の言う通りですな。ここ近年、戦争も大侵攻もなかった訳ですから戦い慣れをしていない兵なのでしょう」
物は言い様だな。
しばらく、そのまま待っていると地鳴りが近づいてくる。
「来たか。てめぇら、気合を入れろ! 国を守る為に俺達の意地を見せつけろ!」
ウォォォォォォォォ!
ガッツさんの一言で士気が高ぶる。
現れたのは辺りを埋め尽くす程のゴブリンにオーク、オーガだ。
「いいねぇ、面白れぇじゃねぇか。まずは肩慣らしといこうか」
「私達にして見れば些か物足りませんが、次々と来るのであれば力も温存しておく必要がありそうですね」
「ああ、それじゃあ行くぞ」




