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26話 《遅れたよ》



「りょう君! 会いたかったよー!」

「ごふっ」


 神界に戻った途端にアテナの頭突きが俺に直撃した。


「ごめん、遅れた」

「嘘は駄目よぉ。貴方、忘れていただけじゃないの。ガブリエルから聞いたわよぉ」

「寂しかったんっすからね」

「しばらく、そうですね……5年くらい地上に降りるのを待つのはどうですか?」

「…………」こくこく


 流石は女神、時間の感覚が長い。

 それだけ歳もあるといくこと……。


「あなた、何か失礼な事でも考えてない?」

「いいえ、パラスさん。滅相もございません。俺も会いたかったです」


 何で分かったの!? 女の勘ってやつか。


「りょう君。私ね、凄く大変だったんだよ。朝起きたら、りょう君の温もりが無いなんて泣きそうになったんだよ。冷たい朝なんてやだよ」


 やめて! そんな泣きそうにならないで! そんな事を言ったら地上に帰り辛くなるじゃ無いの。

 会えないと思ってた飼い主にまた会えて、もう離さないと必死な犬状態じゃないですか。

 ヤンデレとかやめて下さいよ。


「世話なら、メイド達がやっていてくれるだろ。飯も普通に美味いはずだが?」

「馬鹿ねぇ、それとこれは別じゃないの。確かに不備は無いわよぉ。でも、あなたが作ると作らないじゃ大違いなのよぉ、主に気持ち的に!」


 倒置法だと!?


「分かったよ。悪かったって、今日は好きな事に付き合うからそれで勘弁してくれ」

「本当ですか、前言撤回は無しですよ!」

「ふふ、楽しみですね。今日は涼太さんで存分に楽しみましょう」


 一体何をするつもり何だ。


「では、寝室に行きましょう」

「は!? 何でいきなり寝室何だよ」

「安心して下さい。りょう君が思っている事はしませんよ」


 え? 何、分かっちゃったの。


「で、何をすればいいんだ?」

「はい、私達1人1人をベットの中で抱きしめて下さい。りょう君成分の補充です」


 りょう君成分って何ぞや。

 まぁ、それぐらいならお安いご用だ。

 俺からしてもご褒美でもある。


「ふへへ、りょう君の温もりです。暖かいです。ああ、この匂いが私を落ち着かせるんです。すーはーすーはー」


 全く遠慮をしないなこいつは。人によっては変態扱いされるぞ。


「次は私よぉ」


 アディはそう言い毛布で俺と自分を覆い隠す。


「んな! 毎度毎度、何でそんな高等テクニックを考えつくんッスか!」

「ふふ、私に知らないテクニックなんて無いのよ。ねぇ、涼太。今ここは私とあなただけよ。ドキドキする? 私もドキドキしてるわよ、ほらこんなに鼓動が早くなってるもの」


 やめて下さい。

 R-18指定にかかる様な発言は止めて下さい!

 アディは俺の手を自分の胸に当てる。

 確かにドキドキしてる。


「はい、ストップ。時間切れですよ」

「もう、残念だわぁ」


 そうして順番に回ってパンドラを後ろから抱き締め撫でていると……。


「おーい! 涼太、帰って来たって本当か! 今、上で飲んでいるんだけど何か作ってくれないか? ヘファイストスの奴がうるさくてさ……ァ……」


 やって来たのはアポロンだ。

 何だ? その絶望した顔は。


「ロ、ロリコンが居るだと!? この変態が!」

「お前にだけは言われたくねぇよ! この変態ロリコン

「何度も言っているだろう。私は変態ロリコンではなく紳士ロリコンだと!」


 うるせぇよ! 分かったよ。

 このやり取り、かれこれ二桁は繰り返しているよ。


「ちょっとアポロン。あなた、どこか行きなさいよ。今は私達を相手するのにりょう君は忙しいのよ。後で貸してあげるからヘファイストス達と飲んでなさい」


 女神達の猛攻撃がアポロンに襲いかかる。

 普通の男ならここで倒れている筈だ。


「ふん、断る。誰がお前達の言う事を聞くか。それよりも涼太、今すぐその手を離せ!」

「………じゃま、かえれ!」

「ぐはっ、チクショォォォォ!」


 うわぁ、今のはきついなぁ。

 俺でもグサッと来そうだよ。

 だが、良くやったぞパンドラ。

 俺がよしよしと頭を撫でると、嬉しそうに目を細める。

 ああ、可愛いなぁ。


「そうだ! りょう君、お土産ってありますか? 地上の食べ物って他にどんな物があるか食べてみたいです」

「それなら丁度、お土産にしようと持って帰ってきた奴があるから皆んなで食べよう」


 以前に取ったジュエルシリーズを俺は一口サイズに切って準備する。

 本当に見た目だけで凄い美味しそうだよな。

 涎が溢れ出てくるもん。


「さあ、食べてくれ」


 皿に盛り付けて皆んなの前に出す。


「何ですかこれ? 本当に地上で出来た物なんですか」

「実はりょうっちが育てて収穫したんじゃないんっすか?」


 全員美味しさに疑っている様だ。

 確かに供物にジュエルシリーズ一度も無かったよな。


「本当に美味しいわねぇ。何でこんなのがあるのにお供えしてくれないのかしらぁ」

「少し腹が立ったきましたね。天罰を下しますか?」

「俺の知り合いもいるしそれは止めてくれ。というか天罰って何だ?」


 危険な臭いがプンプンする。


「地上で無益な争いがあった時に偶に粛清という意味合いを込めてやりますね」

「そうねぇ。一度、世界全体で戦争が起こった時は大変だったわぁ」

「そうっすね。世界のバランスを整えるのも神の仕事っすからね」


 へぇ、やっぱり神って凄いんだな。

 改めて実感したわ。




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