幕間2
「だらっしゃぁぁーーッ!」
地鳴りが響く。
身の丈以上のハンマーを軽々と持ち上げたヘファイストスは先陣を切り魔物たちを次々と薙ぎ倒していく。
「ふむ、何やら変じゃのぉ」
その中、神々に護られながら悠々と進むオーディンは現状に違和感を覚える。
「変とはどういう事であーる?」
「トールよ、先から魔物の数が異常過ぎると思わんか?」
「確かに多いのであーるが、我らにとって脅威にはならないのであーるぞ」
「確かにそうじゃ、じゃが何やら焦りが見受けられる。まるでワシらを時間稼ぎしているような感じじゃ」
無限に異空間から湧き出てくる魔物たち。
ヘファイストスたちのレベルも以前より格段に上がっている事から易々と倒しているが、一個体の魔物の質は下級の神では対処出来ないものだ。
実際に上級に位置するトールやアポロンなどの名前持ちの神は問題なく敵を倒しているが、下級の神たちは陣を組んで一体の魔物を倒すのが精一杯である。
「うわぁぁぁーーッ!」
考え事をしていると下級神たちから悲鳴が上がる。
何事かとオーディンたちは悲鳴の上がった場所へ目を向けるとローブを着用し大鎌を持った死神の鎌が下級神の胴体を貫いていた。
胴を真っ二つに斬られた神は塵になって消えていき、死神の鎌は一瞬にして辺り一帯に蔓延る神たちを惨殺する。
「ーーーッ、トールよ!」
「分かっているのであーる!」
神速で飛び出したトールは神器を取り出して死神に向けて大振りに振り下ろす。
「ぬるい」
当たれば即死。
雷を纏ったハンマーだ。
しかし死神は見向きもせずにトールの攻撃を避ける。
硬直が生まれたトールに大鎌が襲い掛かり、避けようにも反応が出来ない。
ガギィィィーーン!
火花が散り、同時に死神を中心に暴風が荒れ狂う。
死神の鎌はトールの首元には到達出来ずに武器に遮られた。
「あっぶねぇな、いきなりのご挨拶じゃねぇか!」
「同意ですね、とんだ大物が現れたものです」
「…………つよ」
それを止めたのは3柱の神。
神器ヴァジュラを持ったヘファイストスと弓を持ったアポロン、そして暗い表情で死神を見つめるアレスの三人だ。
「おらぁ!」
大鎌を弾き飛ばしたヘファイストスたちは大きく後退して死神を見据える。
「ほっほっほっ、まさかお主もロキに付いておったとはのぉ。ハデス、お主は数百年前に恩方々により次元の狭間に追放されたはずじゃが?」
「お久しぶりですね、オーディン。ずいぶんと懐かしい事を言いますね。まぁ、あの頃の私は少々尖っていましたし仕方ありまんか」
「察するにお主はロキによって次元の狭間から帰還したと視てよいのかの?」
「ええ、途方もない地獄から救ってくださったロキ様には忠誠を誓いました。故にここから先は我が主の神域。あなた方には引き返してもらうほかありません。無理にでもというのならば……」
プレッシャーが襲う。
重力を数倍に上げられたかと錯覚するほどの強烈さ。
同時に背筋が凍り付くほどの殺気がハデスから放たれて下級の神々はそれだけで意識を手放した。
「来なさい、名を連ねる神々よ。私は次元の狭間より帰還した冥府の王である」
ハデス LV.----
種族:神
性別:---
年齢:ーーー
攻撃:測定不能
魔力:測定不能
俊敏:測定不能
知力:測定不能
防御:測定不能
運:測定不能
スキル
【闇魔法LV.MAX】
【暗黒魔法LV.MAX】
【神殺しLV.MAX】
【悪食LV.MAX】
【絶望LV.MAX】
【死神LV.MAX】
【】
称号
【冥府の王】
【覇者】
【生還者】




