幕間1
幕章に入ります。
区間的には10話もいかない予定。
それが終わり次第物語の後半に移行します。
〇〇〇〇にて、
光が照らされることのない暗闇に一人の少女が息を荒げて蹲っていた。
額からは汗が滲み出て立っていることっすらままならない状態だ。
「はぁ…はぁ……ふふっ、どうやら3つ目の迷宮もクリアできたようで何よりだ。しかしここまで負荷が掛かるとは。しかしダメだ、まだ足りない」
「ロキ様……もうお辞めください。たかが人間如きに御身に抱えた封印を破らせるなど理解できません!」
ロキを心配する男が駆け寄り腕を担ぎ上げて上体を起こす。
彼もまた神であり死を司る死神である。
外套で全身を覆い尽くし、隙間から見える肉体はなく骨だけ。
彼からしてみればロキは最高位の神であり上位の存在。
その彼女が息を荒げて苦しむ姿は目に余る光景だった。
「ふふっ、ダメだよ。私でも時間を稼ぐのが精一杯なんだ。彼に課した時間は数年。それまでに何としても彼には私を超えてもらわなくては困る」
「あちら側の神たちと結託する気はないと?」
「彼らではダメだ。確かに一個人としての能力としては私に匹敵するがそれでは意味がない。奴は文字通り神殺しの怪物だ。神にとって天敵でしかない。だからこそ、あの方々は……っうく」
ロキは蹲って自分の胸を強く押さえつける。
速くなる心臓の鼓動を無理矢理にでも押さえつけるかの様に深呼吸を何度もした。
それは何かを無理矢理に抑えつける仕草。
『……###○……%○○』
「……ッア、テメェは大人しくしていろ!あの契りがある限り私はまだ倒れん!」
『○%%、**○……○○!』
意に反するかの如く、ロキの内側から力の波動が周囲に漏れ出す。
一見はただ魔力が溢れている光景にしか見えないが、実際はそんな生易しいものではない。
「ハデスゥゥッ、全力で結界を張って逃げろ!」
「しかしロキ様」
「分かっているだろ!この力は神属性でも破壊属性でもない。虚無だ!お前如きでは近くだけで消滅する!暫く私はこいつの相手をする。あと分かっているとは思うがお客様だ。何としても私に近づけさせるな」
そう、自分が仕出かした事態であり予想はしていた。
気配だけでも知っている神力が半数以上。
オーディン側の進軍が開始されたことが分かる。
最高神を筆頭に猛者たちが放っておけば進行するだろう。
今はロキに彼らを相手にする余裕はない。
「御意に。この身が滅びようとも御身の御命令成し遂げてみせましょう」
ロキに隠された過去とは一体。
オーディンたちですら知り得ない闇を抱えたロキの真実が徐々に明らかに。




