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193話 因縁

唯のステータス回になっちゃった




1:47


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際に動いたのはクナイのような武器を手に持った暗部の男たちだ。

涼太の四方を囲み暗器を投擲する。

対して涼太はその場から微動だに動かない。


「柚、目を瞑っていてくれ」


言葉を聞いて柚はギュッと瞼を閉じる。


瞬き一つするほどの時間であった。

投擲した暗器はいつのまにか自分たちの喉元を貫いていた。

目の前の男が何をしたのかは一切分からない。

ただ疑問を抱きながら地に倒れる。


「驚くな、ただ反転しただけだ」


涼太が起こした行動はシンプルなものだ。

投擲された暗器を全て反射し、運動エネルギーを逆方向へ向ける。

そして暗器に自身の魔力をブーストして目に見えない速度で返したのだ。


あくまで暗器は敵の行動を阻害するものであって人体を貫くことなど出来るはずがない。

しかし実際に他の男たちは地面に深く突き刺さった暗器を見て驚く。


戦うこと自体が馬鹿馬鹿しいと思えてくる程に圧倒的な力量がそこにある。


「一人ずつ倒すのは面倒だな。まずは高橋てめぇ以外にはご退場願おうか。【マイクロブラックホール】」


高橋を除いた男たちの目の前に黒い物体が突如現れる。


「うわぁぁぁぁ!」


ただ宙に浮かんでいるだけで何も起こらない物体に興味本位で一人の男が手を出す。

マイクロブラックホールは男の手が触れた瞬間に凄まじい吸引を見せる。

その吸引力は徐々に強まり叫ぶ暇もなく次々に男たちの身体を飲み込んだ。


「な、な、なっ……」


取り残された高橋は腰が抜けたのか地に尻を付けて化け物を見るかのような目で涼太を見る。


「ありえねぇ、何をしやがった!そんな魔法知らねぇよ!」

「柚、目を開けていいよ」


涼太は高橋の言葉を無視して目を瞑ったままの柚に声をかける。

目をパチクリさせて周囲を見回す柚だが、黒ずくめの男たちが誰一人としていない事に驚いて目を見開く。


「黒ずくめの男たちはどうしたの?」

「もう片付けたよ」

「イザベルさんでさえ苦戦した暗部を一瞬で……」

「月宮さん!先ほどの魔法は一体なんですか!?見たことも聞いたこともない魔法ですが」


アンリは今起きた一部始終を見ていた。

ブラックホールは地球の学者たちが見つけた事象の一つである。

当然この世界に全てを飲み込むブラックホールという概念自体が存在しないために何が起きたのかは理解ができない。


理解したからと言っても、ブラックホール自体は【時空魔法】、【次元魔法】、【崩壊魔法】の三つを複合した魔法であって次元魔法だけでも世界で持っている人物は限りなく少ない。

その他の二つを持ち合わせる可能性はゼロに等しい。


「アンリ、詮索はするな。私たちがなすべき事は柚を保護する事だろう。月宮殿に助けられたからと言って気を緩めているのか?」

「そんな事は……いえ、すいません。確かに気が緩んでいました」

「イザベルさんでしたっけ?別に俺に継承を付ける必要はないですよ。俺の方が年下ですし」

「いえ、先ほどの勲章を拝見してあなたは国家間において最高位の重要人物だろう。一介の騎士が不遜な態度をとってはいけない相手だ」


明らかに最初に言葉を交わした時よりも敬意が込められている。

涼太自身、陛下やグリムたちからは何かをされた覚えがないし、あったとしても雑用やくだらない職権乱用しか記憶にない為に勲章バッチにそこまでの重大性を感じなかった。

イザベルが話したことが事実だとすれば思っていた以上に面倒な代物で頭が痛くなる話だ。


「とまぁ、話は置いといて高橋」

「あぁん!?分かったよ、理解したよ!テメェは魔王か何かだろ!あんな禍々しい魔法を使うなんてそれ以

外に考えられねぇ!」

「勘違いも甚だしいが今回ばかりは同調してやるよ。俺は柚や大切な仲間たちの為ならば魔王にでも喜んでなろう。で、どうする?」

「知ってるか、勇者ってのは悪を倒すんだぜ。勇者にはその為の補正も付いている。つまりテメェを殺すのは造作もねぇって事だよ!」


勇者の役職に固執するあまり自分に優位な解釈をする。

武器を持たない涼太に剣を振り下ろす高橋。

涼太の目には素人紛いの剣筋でスローモーションのような動作が目に止まる。



「どう解釈したかは分からないが、お前には一発殴らないと気が済まない」


左の人差し指と中指で両手で全体重を乗せた高橋の剣を挟み込むように受け止めて、右手を強く握り拳を作って涼太は高橋の顔面に強打を叩きこむ。


「グルァハッ!」


ぐちゃりと艶めかしい音が聞こえ高橋は地に何度も身体を叩きつけて倒れた。


鼻の骨は原型を留めずに粉々になっただろう。

顔全体の骨も砕けてまともに口を動かすことも出来ないはずだ。


因縁の相手にしては余りにも呆気ない勝利だ。



「涼くん、倒したの?」



柚は地面に倒れ伏して動かなくなった高橋を確認して涼太のそばへ駆け寄る。


「あぁ、高橋・・は倒したよ」

「ようやく……ようやく悪夢から解放されたんだね」

「いや、まだだよ」

「どうして?間違いなく今のパンチで動けるはずがないよ」


辛うじて息はあるが、確かに涼太は高橋蓮寺の息の根を止めるほどの強打を叩き込んだ。

柚や他の二人も安堵した表情を浮かべている。


振り返ってみよう。

戦いの前に涼太は高橋のステータスを確認した。



高橋蓮寺 LV.110


 種族:人族

 性別:男

 年齢:18


 攻撃:1980

 魔力:2300

 俊敏:1800

 知力:1400

 防御:2100

 運:100


 特殊スキル

【成長速度3倍】

【勇者の威圧】


技能スキル

【剣術LV.36】

【剛力LV.24】

【威圧LV.18】


魔法スキル

【聖魔法LV.32】

【風魔法LV.28】

【火魔法LV.30】

【土魔法LV.14】

【水魔法LV.25】


称号

【〇儡の勇者】

【異世界より召喚晒し者】

【〇〇者】

【〇神の加護】



流石は勇者と呼ぶべきだろう。

成長速度の3倍化は涼太が今まで出会った人物の中でも見たことが無いスキルだ。

この短期間で普通の敵とだけ対峙してきたにしては凄まじい速度での成長である。

しかし注目すべき場所はそこでは無い。

称号欄にある伏せられた称号。


鑑定を使い強制的に隠された称号を開示するとこうなる。



高橋蓮寺 LV.110


 種族:人族

 性別:男

 年齢:18


 攻撃:1980

 魔力:2300

 俊敏:1800

 知力:1400

 防御:2100

 運:100


 特殊スキル

【成長速度3倍】

【勇者の威圧】


技能スキル

【剣術LV.36】

【剛力LV.24】

【威圧LV.18】


魔法スキル

【聖魔法LV.32】

【風魔法LV.28】

【火魔法LV.30】

【土魔法LV.14】

【水魔法LV.25】


称号

【傀儡の勇者】

【異世界より召喚晒し者】

【極悪者】

【邪神の加護】



傀儡の勇者と邪神の加護。

この男にすら明かされていない真実だ。

以前にオーディンが涼太に話したロキ側の神である。



「よぉ、傀儡が戦闘不能になったぞ。いい加減出てこいよ」


誰に話しているのかすら分からなない。

周りには涼太と柚と騎士団の二人。


涼太はどこかも分からない相手に声をかける。

すると高橋の身体が闇に呑まれた。




『ほう、我が傀儡を倒したばかりか我の存在すら認知するとは貴様、何者だ?』


もう既に高橋の姿はそこにない。


闇が辺りを飲み込みなっちゃあのはずが夜へと反転する。

霧状の闇が範囲を広げて攪拌する。


「な、なにこれ。怖いよ……」


柚は涼太の袖に捕まり足元を通過する闇に怯える。


「イザベルさん、アンリさん、俺の側へ来て下さい」


身の危険を感じたのか二人は急ぎ涼太の側へ駆け寄る。


「あれは……あの禍々しいモノは何ですか」

「高橋蓮寺は傀儡でしかない。本当に倒すべき敵、それがこいつです」

『ほう、我を倒すと言うか。人間風情がこの邪神である我を』


闇から一筋の光線が放たれる。

涼太は結界魔法を使い正面に防除障壁を展開。

光線は盾に阻まれて辺りに霧散する。


「……邪神、かつて世界を闇に沈めたと伝承にある邪神?」

『如何にも、人族風情がこうして私も会話していること自体が烏滸がましい。漸く見つけた我を顕現させる依り代だぞ』

「つまり高橋は贄でしかない。お前はある条件が揃う時顕現すると言うわけか」


邪神の顕現に必要な条件。

神は通常では地上に顕現することは不可能だ。

迷宮のような神殿は別として世界を動き回ることなど起きてはならない。

恐らくは異世界から召喚された勇者であり悪人という事がトリガーなのだろう。


『光栄に思うがいい。貴様らは私がこの世界を滅ぼす最初の獲物なのだからな』

「涼くん、逃げようよ。こんなの勝てるわけがない」

「同意見ですが本当に逃げられるのでしょうか」

『逃すと思うか?』


邪神は手から闇を上空に放つ。

その闇は上空で分裂して、十数人の人型の闇が生まれた。


『さて、始めよう……』

「お前、大きな勘違いをしているよ」

『なに?』

「【異界アナザーワールド】」



世界が再び反転する。



何もない白が地平線まで続く世界。



「ここは、どこ?」

「俺が創った一つの空間だよ」



涼太が使った創造魔法。

現実世界から完全に遮断された別次元に存在する空間である。



『なん……だと!?人間風情がこの様な力を持つだと。あり得ん、この力はロキ様と……』

「ロキを知っているとなると、お前は完全にそっちサイドか。元より手加減なんてする必要はないがな」

『だが私の勝利は変わらん!人間がどれだけ強かろうと神である私には傷一つつけられん!』

「さっきから人間風情、人間風情とうるさいな。邪神風情・・・・が烏滸がましいんだよ」



ーーー神化




この瞬間に人間である三人は理解できない感情に埋め尽くされた。

世界を滅亡される邪神の姿を見た途端に声が出ないほどの恐怖にかられ、今すぐにでも逃げ出そうと思った。

イザベルでさえも幼少の頃に勝てないとは分かっていても戦意すら抱かないほどの強敵には出会ったことがない。

それでもなお、なぜ目の前や男はこんなにも強気でいられるのだろうか。


答えは目の前にあった。


不安を吹き飛ばす濃密で暖かい太陽の暖かさが全身を包み込む。

幼い頃に母親に抱きしめられたかのような安心感。


『バカな!?あり得ない、あり得ない!その力は紛れもなく神のもの。それも上位の!』

「当てが外れて残念だな。お前はここで確実に滅する」




 邪神 LV.356600


 種族:神

 性別:#

 年齢:####


 攻撃:1.98+E7

 魔力:3.56+E7

 俊敏:2.10+E7

 知力:1.20+E7

 防御:2.56+E7

 運:0

 

 特殊スキル

【邪神】

【神通力】


魔法スキル

【闇魔法LV.MAX】


技能スキル

【悪食LV.79】

【暴食LV.75】

【絶望LV.36】

【狂化LV.42】



〜〜〜〜〜〜VS〜〜〜〜〜〜〜〜




月宮涼太(神化) LV.ーーー


 種族:人族

 性別:男

 年齢:17


 攻撃:BB+

 魔力:Aー

 俊敏:CCC+

 知力:CCCー

 防御:BBー

 運:100


 特殊スキル

【言語完全翻訳】

【完全記憶】

【神界への鍵】

【気門】

【神化】

【限界突破】

【下剋無効】new!



 技能スキル

【真祖LV.36】new!

【隠蔽LV.89】

【鑑定LV.MAX】

【料理LV.MAX】

【痛覚遮断LV.MAX】

【神憑依LV.86】

【状態異常無効LV.MAX】

【剣王LV.89】

【体術LV.MAX】

【剛力LV.95】

【双術LV.94】

【棍術LV.75】


 魔法スキル

【創造魔法LV.94】

【時空魔法LV.MAX】

【次元魔法LV.91】

【回復魔法LV.MAX】

【元素魔法LV.MAX】

【召喚魔法LV.75】

【結界魔法LV.96】

【消滅魔法LV.46】new!


 称号

【転移者】

【神々の料理人】

【神々の舎監】

【迷宮攻略者】

【魔の天敵】

【学生の舎監】

【超越者】

【不死者】new!

【不屈の闘志】new!

【救世主】new!



〜ステータス説明〜


レベルが50万を超えるとレベルの概念がなくなり、新たに英字表記のステータスに変わる。上位ステータスの表記は(Eー)〜(SSS+)まで。

なお、作中にはまだ表記していないが(SSS+)を超えると(EXTRA)表記に変わる。


【下刻無効:自身より下位の敵の攻撃魔法、物理攻撃の一切を無効とする。ただし、自分よりも下位の相手からの経験値は得られない。(尚、状態異常やデパフのスキルは対象外)】

【真祖:超再生の上位版。あらゆる傷を瞬時に再生し、失った血液すらも元通りにする。尚、このスキルを所有する者の血には超回復の効果があり、瀕死の重傷であろうと回復させる】

【消滅魔法:物質を崩壊させるのではなく、構成している元素や魔力自体を消滅させる。時間回帰や回復魔法でも修復不可能】




次回更新日は10月13日です。

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