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165話 (エリクサー/バトル)

お待たせしました



さけ、調合を始める前に道具の確認をしよう。

必要なものがあれば探す必要がある。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

・使い古された剣

・皮の鎧とブーツ

・水筒

・小皿

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


本当にふざけているわよね。

ところどころ欠けている剣とか石に叩きつけたら折れそうだし、皮のブーツなんかは地球で私が日頃履いていた靴よりも脆そう。

水筒はどうやら、兵士一人に一個支給されるようだ。

小皿は私たちの檻にあった物と一緒の皿が棚の上にあった。


御守り代わりに持っていようと思っていたのだが、早速使う機会がでてきたようだ。


さて、調合に移るとしようかな。

水はさっきの溜まり水があったから、それを使うとしようか。

薬草はすり潰す必要がある……のかな?



私は魔力草を持って、先の水溜り場へ移動してレイキで冷やされた石畳に腰を下ろす。

地下牢でお尻に感じる冷たさに慣れたつもりだったのだが、天然の素材の冷気の伝導率は予想を超えていた。

慣れるまで数秒の時間がかかり私は一息つく。


「まずは……小皿に水を入れて、石ですり潰した魔力草をっと……」


地面の水溜りに小皿を透き通す。


ここは山の中にある洞窟なのだろうか。

長年かけられて濾過された水に濁りは一切見えずに透き通っている。

試しに一口飲んでみると、冷やされた水が私の口から喉へと直に伝わっていく。

これで水の安全性は確保できたし、あとはひたすら作業ね。




ゴリゴリ、ゴリッ…………。


私はひたすら試行錯誤して魔力回復薬を作っていく。

薄っすらと輝きが先ほどよりも大きい。

私は即座に完成した薬を鑑定する。



『魔力回復薬(中)』


出来上がった品こ右端には(中)と書かれた文字が。

先ほどまで出来上がっていた品とはオーラみたいなの光がより一層強い。


しかし、私はこの結果に納得がいかなかった。

何か……パズルのピースが足りない。

完成されてはいるが……何か違う。

元となった何か・・の劣化版が回復薬になるのではないだろうか。



よくは分からなかった。

しかし、どうすればこの劣化版が完成品へと変化するのかは直感で感じ取った。


私は水筒に入っていた水を空にして、小皿に入っていた魔力回復薬を半分ほど注ぎ込む。

そして、残った魔力回復薬の中に毒魔法によって再生された一滴の猛毒と回復魔法を同時に与えた。

相反する二つが重なり合って、虹色の輝きが一瞬あたり一帯を包み込む。

私は即座にそれを鑑定してみた。



『エリクサー(微小):あらゆる怪我や病気また、回復効果を生み出す。性能の差によって効果は変化』



エリクサーってあれよね。

なんかゲームとかで出て、飲んだだけで全回復させる万能薬。

そんな物が現実にあるとは驚きを禁じ得なかった。

しかし、微小とは言え間違いなく完成されたそれはエリクサーに違いない。

配分は分からないのだが、作り方としてはこれが一つの正解ルートなのだろう。

私は水筒に流し込んだ魔力回復薬にも同じ分だけの魔法をかけて、エリクサーを生成する。

小皿の方は今使い、残りは取っておく事にする。


ゆっくりと喉に通していくと、疲弊していた体が熱くなっていく。

感覚的には無くなりかけの水が入ったペットボトルに大量の水がフルチャージされる感覚に近い。



「ーーーーッハ!ハァハァ……何と出来たわね」



♢♦︎♢



体も全快したことだし、洞窟内を散策しようとしたのが運の尽き。

目の前には緑色の肌に腰巾着を巻いた生物。


ゴブリンだ。


私がこの世界に来て、初めて遭遇した人間や亜人とは全く別の存在。

その姿には嫌悪感すら覚える。

それが二匹とは、どうすればいいのだろうか。


そう考えているうちに二匹のゴブリンは私の存在に気がついて、手に持つ棍棒を片手にダッシュしてきた。

武器は調合の間に離れた場所に置いていたからない。

私は横に大きく身を投げ出した。



「ーーッアァ!」


右足に棍棒が振り下ろされ直撃した。

今までに経験した事がない強烈な痛みが私を襲う。

間違いなく折れた。


しかし、そんな余裕を生ませる隙すら与えるのを許さない様に、ゴブリンたちは同時に2撃目を繰り出す。



「いやぁぁぁーーッ!」


私は目の前の敵を振り払うように、空間を手で搔き切る。

すると私の声に応えたのか、ガキッと膜のようなものが広がりゴブリンの攻撃を防いだ。

代わりに体の中から魔力が大幅に奪われる感覚が襲う。

これは一体なんなのだろうか。

以前にも王様がいた時の最後に感じたアレ。

防御障壁というスキルなのだろう。


まぁらそんな事はどうでもいい。

隆起した筋肉は私の筋力ではどうにもならない事が一目瞭然だ。

なら、どうすればいい?

まともに戦っても勝てる気がしない。




…………そうだ、正面から勝つ必要なんてないんだ。




私はイメージを行う。

すると、手から薄紫色のスモッグが噴出され、私たちを含めた空間全てを埋め尽くす。



ギ、ギギギ……ギッ?



効果はすぐに現れた。

ゴブリンたちは手に持つ棍棒を地に落として、その場に倒れ込んで自身の喉を掻きむしる。

しばらく、打ち上げられた魚のように痙攣したが、体感で十数秒後にはゴブリンの体は脱力して動かぬ身となった。



『レベルアップしました』



「はぁはぁ、何なのよ」


やはり、自身で放った毒の効果は無いと判断するべきなのかな。

取り敢えず、毒で攻撃すれば力の差があろうが倒せる可能性は高いようだ。


私は先ほど折られた足を見る。


「…………え?」


目を丸くして驚きを禁じ得なかった。

折れて青く腫れ上がっていたはずの足が一瞬とまではいかないが、時間を巻き戻すように回復して、完全に元に戻ったのだ。



「これもスキル……なのかな?」



流石はファンタジー、

地球にいた頃の常識が全く通じないことを私は再度確認したのであった。

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