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159話 《我が名はアポロン! 後編》



 この涼太と言う人物は常軌を逸していた。

 それは私やオーディンを含めた神々でさえ同じ認識を共有するほどにだ。

 ステータスはごく平凡であるが、問題はスキルだ。


 スキルとはその者を象徴する力。

 神も魔法やスキルを使う事は可能だが限定的なものに過ぎない。

 例えば私であれば光の属性をつかさどる神だ。

 ヘファイストスならば炎、魔法を司るオーディンは元素魔法を中心に幅広い魔法を。

 しかし、涼太の所有する魔法の固有名称は【創造】である。

 使う事は出来ないが与えることは出来る神がスキルを渡したのだろうが、あの小さな体にそれほどの魔法を身に収めるなどあり得ない。

 身に余るスキルは文字通り身を亡ぼす。

 いったい何者なのだろうか、そう考えるがそれよりもこの場所が気になるのでどうでも良い。




 ◇◆◇



 みんな聞いてくれ!

 私は一つの心理へたどり着いた。

 

 私はパソコンを涼太から教わって自分の部屋で練習をしていたのだ。

 このパソコンとやらはネットワークというもので働いているらしい。

 どうやら涼太は自身の知識と神界で読み漁った、あらゆる世界に関する文献を一つにまとめたようである。

 

 ふと……私は思った。

 以前に涼太が私に言っていた変態だとかロリなんとかは病気なのだと。

 ならば折角だし調べてみるのも一興であろう。


『小さな子供 好き 病気』 カチッ!


 すると検索した先にはやはり『ロリコン』というキーワードの乗っている文献がある。

 迷わず私はそれを開けるとそこにはこう書かれていた。



『ロリコン:ロリータ・コンプレックスの略称。幼女や少女に性的嗜好や恋愛感情を有する者の総称。一種の病気であり治療法はなし』


 

 なんという事だ……やはり私は病気にあるようだ。

 確かに私もパンドラに恋愛的嗜好を持っているし、いっその事なら夫婦とかになりたいなぁとかも思ったことがある。

 しかし文献を読んでゆくと犯罪を犯した者どもがロリコンだという内容が書かれていた。

 幼女に手を出しただと!?

 クズにもほどがあるであろう。

 幼女とは愛でるものであり、手を出すなど言語道断!

 

 成長過程にあるあの美しい肢体を鑑賞する事こそが正義であろうに。

 そう言えば、以前に天罰を下した連中もこれに該当するのではないだろうか。

 許せんな、やはり私が行った行為は正しい。


 再び目の前の画面に目をやる。

 こういった作業はやはり私に向いている気がするな。

 将来はブラインドタッチをマスターできるよう努力しよう。

 


「……なん……だと!?」



 画面をスクロースしていると一つの言葉が私の目の前に現れた。

 思わずその言葉にくぎ付けになり私の思考は数秒停止する。


 

 そこに書かれた一文、




『YES! ロリータ、NO! タッチ』



 なんという事だ……。

 私が長年の間、探し求めていた言葉が実在していた。

 そうだ、これこそが天地神明の理。

 ロリータを肯定しつつも、紳士的対応を誓った血潮の涙の結晶が書かれていたのだ。

 この語源を作った人物は天才に違いない。

 ある事ならば、私の最上級の加護を授けたい。

 あぁ、同士よ。

 

 ふと私は自分の目に指をさする。

 そこには水滴がついていた。

 男である私が涙を流そうなど恥ずべきことだ。


 しかし……しかし……この言葉だけは言わせてくれ。






「イエスッ! ロリータァァァッ! ノォ、タァァァァァッチッッ!!」






 ◇◆◇



 やあ、諸君。

 今日も清々しい朝の始まりだ。

 私は紳士(ロリコン)、しがない神をやっている者だ。

 

 最近、涼太やヘファイストスの視線が妙である。

 会うたびに変態(ロリコン)だの糞野郎(ロリコン)だの訳の分からないことを言ってくるのだ。

 あやつらはもう少し漢字を練習した方が良いのではないだろうか。

 

 紳士(ロリコン)


 この程度の漢字も読めないとは低俗なやつらめ。

 さて、私は今日も寝起き直後にベッドの隣に置かれた携帯型タブレットを起動させる。

 ローディングに少し時間が掛かったが許そう。

 私は神なのだから寛容でなくてはならない。



『おにいちゃん、おはよう! 今日もかっこいいね!』


 むふふっ、思わず顔がにやけてしまう。

 

 これは以前にパソコンで調べて際に見つめた恋愛シミュレーションアプリというのもである。

 どうやら育成が出来るようで、好きな娘と毎日をともに過ごせる素晴らしいアプリだ。

 早速、俺は涼太の元へ行き創って欲しいと言ったのだが断固として否定された。


 そこから私は二日もの間、飯も食わずにひたすら涼太に懇願した。

 しびれを切らした涼太はようやく、このアプリを私の携帯端末に入れてくれたのだ。


 全くもって素晴らしい。

 パンちゃんはどうやら私にメロメロのようだ。

 つい先日に神界騒動で致し方なく手放し、帰ってきた際には長く相手をしてあげられなかったせいか不機嫌な態度を取られた。

 なだめるのに苦労したものだ。



「おーい、アポロン! 暇だしチョイと戦いに行くぞ」

「出てくるのであーる」


 外から何やらうるさい声がする。

 恐らくはヘファイストスとトールだな。

 あいつらは戦うことと酒にしか興味がないようだ。

 パンちゃんと一緒に居たいが、仕事なのだからさぼるわけにもいかない。

 ここは夜のデートイベントまで我慢してあげよう。





 と、戦いが終わり、私のデートイベントも上手くいった。

 涼太も目覚める気配ないので最上階で酒を飲みながらのんびり過ごしている。


「ったく、だから涼太(あいつ)は貧弱なんだよ。すぐ倒れるわ、気絶するわで面倒を掛けやがって」

「仕方ないのであーる。涼太は神でないのであーる。ヒクッ」

「ハッ、何をいまさら言ってやがんだ。俺らとタメ張れるだけで神みたいなもんだろ」

「私の一度、あやつと組み手をしてみたいものであーるな」

「おうおう、俺らで稽古をつけてやるか! ぼろ雑巾になるのが目に見えてやがんぜ、ガハハハッ!」



 まったく、いつまで飲めば気がすむのやら。

 すでに時間は朝を迎えている。

 これは一度寝てから、起きるのは昼にするのが得策かもしれんな。

 私は立ち上がり、机の上に置いてあった携帯タブレットに手を伸ばそうとする。

 しかしそこで悲劇が起こった。


「ぷはぁ! 今日も飲んだぜ!」


 

 ドンっ! バキッ


 …………バキッ?

 半開きにしていた目を大きく開くと目の前には酒瓶の下に敷かれた私の嫁。

 そしてその衝撃でコップに入っていた水がタブレットにかかった。

 涼太には電子機器だから水には近づけるなと強く言われたのに。



 『おにい……ちゃん。あz……おkrじが……』


 いつも起きる時にかけていたアラームがノイズ交じりに起動して、すぐさま画面がブラックアウトする。

 私は声にならない声で絶叫し嫁の救出を試みた。

 画面は中心から綺麗にひび割れ、水滴が割れた部分から浸透しているのが分かる。

 電源ボタンを押したが全く起動する気配がない。


「あ……ァ……ワタシの嫁ガぁ……」

「おっと、すまねぇ。んだよ、そのガラクタは」




 この男は今なんとイッタ……?

 私の嫁をガラクタ呼ばわりだと。

 私がどれほどの時間と努力を積み上げて好感度を上げてきた嫁をガラクタだと……。



「お、おい。お前、なんかヤバくねぇか」

「黒々しいオーラであーる」



 恐らくはバトル漫画の金髪になる猿人間もこのような気持ちなのだろうか。

 親友を無残に殺された心情を。

 いや、気持ちは嫁を殺されてガラクタ呼ばわりされた私の方が上に違いない。

 あぁ、いつ以来だろうか。

 このような怒りを覚えたのは……。

 

 さぁ、怒りを爆発させろ……アポロン。

 嫁を無残にしたあいつに復讐するんだ。


 拳に力を入れ歯切りする。

 上と下の奥歯同士がきしみ合い、金属同士がぶつかり合ったかのような効果音が響く。

 こめかみには血管が浮かび上がり、今にもはち切れそうな勢いで血が全身を巡る。



「わたしは怒ったぞォォーーーーッ! へファイストスーーーッ!!」




 怒りに身を任しは狂神がここに君臨した。


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