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151話 登録のため

遅れました。

すいません、予約投稿がズレていました。

明日も1話投稿します。


 涼太が居なくなって数日、

 以前から休学すると申請していたクリスたちは除いて、ロゼッタとシャルロットはある程度の区切りがつくまで学園に登校している。

 そのため先に始めてくれて構わないとの知らせを聞き、クリスたちは予定していたあることを今、実行しているのだ。

 

「では第一回、レベリング対策会議を始めたいと思いまーす!」

「いえーい!」


 いつも通りの涼太のマイホーム、リビングにて緊急会議が開かれていた。

 クリスのテンション高めの合図に、乗り気なエリスが返事をする。

 残りの2人は八音符で拍手をして反応だけはしているようだ。


「何ですか、何ですか! ミセル、フィルフィー。テンション低いですよ」

「そうよ、ようやく戦闘が出来るのよ! もう学術だけは嫌なの。実戦経験がしたいのよ!」


 もう待ちきれずに今からでも行こうと尻尾を振っている2人をミセル、フィルフィーはため息をつき見ることしか出来なかった。


「お嬢様、そもそも戦闘とは武器、防具、メンバー、特に情報を頭に入れて挑むものです。エリスもそんな身勝手では困ります」

「私は迷宮攻略までは保護者みたいなものだからなぁ。正直、準備は別に必要ない」

「ダメです。念には念を、最高の状態で挑むのが常識です」


 どうもミセルは必要以上に過保護なところがあるようだ。

 フィルフィーは言うまでもなく、レベルが異常に高い故にクリスたちに合わせる際には後方支援がメインになる。


「それに関しては問題無いんじゃない?」

「どう言うことですか、エリス」

「あなたたち、涼太からの選別の中身は見た?」

「いえ、まだです」

「それなら見て見なさいよ。ほら、パーッと全部出して」


 エリスはミセルが取り出した涼太の選別を強引に取って逆さまにして振る。

 すると次々にアイテムや武器、防具が。

 ミセル自体も予感はしていたのだろう、しかし実際にそれを見て見ると呆気に取られてしまう。



「これは……」


 おそらくクリスと自分の物なのだろう。

 いつも自分が騎士団の遠征などで着用している防具に似ている。

 しかし、見ただけで圧倒的な性能差がなるのだと分かってしまう。

 防具というよりは魔道具と称したほうが良いかもしれない。


「わぁ、凄い綺麗」


 クリスはその中にあった指輪を自身の指にはめる。

 サイズはちょうど収まるほどだ。


「フィルフィー、これって」

「うむ、全ての武器、防具、魔道具にエンチャントされているな。今、クリスのはめた指輪は魔力の総量を三倍にする。あとは物理攻撃50%カットとか、不壊属性と雷属性を合わせたレイピア、セーフティードア、即死無効の腕輪が10個ずつ、流水の聖杯……数えきれんな」


 予想以上にアイテムが多過ぎる。

 涼太のことだから心配しての策なのだろうが、それでも過保護すぎる装備に驚きを隠さずにはいられなかった。


 クリスたちにとって、ダンジョン攻略で最も悩んでいた生活用品すらもセーフティードアのおかげで異空間で安全に寝ることが出来る。

 流水の聖杯とは文字通り、魔力を流せば聖杯の中から水が出てくるものだ。

 これで水分補給も問題ない。


「ほんっとうに準備がいいわね」

「一個一個が国宝級に成り得る品ばかり……本当に呆れを通り越して笑いすら込み上げてくるわ」

「さて、どうしましょうか。取り敢えず、自分の装備を装着して荷物確認をしてから冒険者ギルドに行きましょうか」

「「さんせーい!」」




 ♢♦︎♢



 と言うわけで、クリスたち4人はフル装備とまではいかないものの、最低限必要な武器と防具のみ付けて冒険者ギルドにやって来た。

 正直な話、フル装備だと手応えが無さすぎる結果になりそうだからだ。


「そう言えば、冒険者ギルドって男しかいないのかしら。ミセルは女性を見たことある?」

「はい、主には弓や魔法などの遠距離攻撃を専門にしている方が多いですね。少なくはありますが、レイピアや双剣使いもおられます」

「ふぅん、まあ仲良くする気はないから別にいいっか」

「お嬢様、情報交換も含めて交流は最低限必要かと思われます」

「うーん、気が向いたらやろうかしら」


 クリスはめんどくさそうだが、ミセルが言った正論に反感できずに黙り込んでしまった。

 女同士ならば情報の交換くらいはするが、男の冒険者にろくなのがいない事くらいは一般常識からも分かる。


 涼太がいればコネと実力でねじ伏せることができるが、今のクリスたちは一介の人だ。

 やろうと思えば出来るが、極力は目立つ行動をしたくないのも本音に含まれている。



「百聞は一見に如かず。とりあえず入ってみましょうよ」

「うむ、それが良かろう」

「そうですね」

「りょうかーい」


 エリスを先頭に少しの緊張をもって冒険者ギルドの中に入っていく。

 

 木造建築の広い空間だ。

 一階は主に冒険者ギルドの受付と素材の買取、アイテムの販売が行われている。

 二階からは何やら騒がしい音が聞こえる。

 どうやら飲食は二階でするようである。

 一階にもジョッキを持って飲んだくれている冒険者も数人目視できるが気にしてはキリがないので栗栖たちは受付のある場所まで歩こうとするが、


 予測はしていたが、こんなにも早く訪れるとは思わなかった事態に陥る。



「おや、お嬢さんたち。見ない顔だが今日はどうしたんだい? 依頼を発行しにきたのかな。良かったらこの後僕とお茶しないかい。特に桃髪の彼女は見たことのないほど麗しい」


 クリスたちを見ていたグループの一人が声をかけてきた。

 身長は180センチはあり、防具も最低限(・・・)の物は身に着けているようだ。

 この最低限とは、クリスたちから判断したもので、涼太の用意した防具を示す。

 つまり一般の常識から言うと、男が身に着けている防具は一級品と言える。

 おまけにイケメン顔で並みの女ならゴキブリホイホイの如くついて行ってしまうかもしれない。

 

 女なら見境なく声をかけてきそうなタイプだ。

 一般から比較しても顔面偏差値が65を超えているクリスたちを見つけて声をかけない理由がない。

 特にエリスなんかは【魅惑】なんてスキルもないのみ男を虜にさせるほどの美貌の持ち主。


 しかし、そんな暇を持て余すほど、

 何よりなんの魅力を感じさせない雑魚に構うほどクリスたちも暇ではないので邪魔だ。


 

 エリスが三人の前に出る。


「ありがとう、でも私たちは暇じゃないのよ。そこを通してくれないかしら」

「そこをどうか頼むよ。大丈夫、時間は取らせない」


 人差し指を立ててエリスたちの方へウインクをする。

 エリスは理解しない愚か者の対処が容易にいかなかったことに目を痙攣させる。

 

 気がつけば周りには男冒険者が群がっていた。

 本当にため息しか出てこない。

 

「どうしますか、エリス」

「本当に面倒よね」

「いいからついて来いよ!」

「キャッ」


 先の男とはまた別の男がエリスの腕を強引に掴んで引っ張ろうとした。

 しかし、男の行動は止められた。

 いや、止められたのは男の意識だ。

 その場に倒れこんで体を痙攣させる。


 クリスとミセルは「あーあ、しーらない」とそっぽを向く。

 

 そう、そこには一人の般若が立っていた。

 フィルフィーだ。

 


「この塵芥どもがッ! 誰の仲間に手を出したか理解しろ!」


 空間を埋め尽くすほどの殺気と魔力がフィルフィーを中心に広がる。

 近くにいた意志の弱い冒険者は次々と意識を手放していく。

 明らかに自分よりも強者だと本能的に察した冒険者は武器を取ろうとするが、フィルフィーの殺意の籠った眼力に体を震わす。

 それは魔王が唐突に表れたかのような錯覚にすら陥った。

 不意に目を受付嬢たちに向けると何が起こったか理解できていない表情。

 そこだけは怖がらせないように省いて殺気を放ったのだろう。


「あっ……あひ……」

 

 ナンパをしようとしていた冒険者も腰を抜かす。

 ズボンには湿り気のある大きな濡れが出来る。

 

「情けないなー」

「お嬢様、気にしてはいけません。さて、道は開けましたので行きましょうか」


 ミセルの案に三人は同意して、周りにいる冒険者を無視して進む。



「な、何事だ! とんでもない殺気じゃねえか。敵か!?」


 一人の男がギルドの奥からやってきた。

 どうやら面倒ごとは終わりを告げていないようだ。


涼太の選別アイテム

・流水の聖杯『魔力を流すと水があふれ出てくる』

・セーフティードア『壁などに設置可能。中は異空間となっている。快適な生活は保証付き。大抵の日用品や魔道具はあります。むしろこれ一つで十分』

・身代わりミサンガ×40個『致命傷になりゆる攻撃を一度だけ肩代わりする』

・血吸い『手に収まるほどのアイテム。死亡した魔物に付けると自動的に血抜きをしてくれる。人に付けると……』

・エリクサー×800個『かすり傷にも使いなさい』

・緊急ボタン『危機が迫ってる時にしか発動しません』

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