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141 水着回

さて、しばらくシリアス回とかありますし、地上でのハーレムラブコメ回はどこで使いましょうか



 あぁ心がフワフワするんじゃぁぁ



 ゴホンッ!

 危ない危ない、気を抜きすぎて禁止ワードに接するところだったぜ。

 しかし、そんな考えにもなる。


 今何しているかって?

 浮き輪の上に乗ってます。

 流れるプールに身を任せて漂ってますわぁ。

 こんなに平和な日は初めてかもしれない。


 先に準備しているはずのエリスたちはいない。

 あいつら遅いな。

 かれこれ30分は過ぎているはずなんだが。

 俺としてはのんびりと過ごせるから問題ないんだけどね。


「主様」

「お飲物です。それからエリス様方が呼んでおられます」

「あー、分かった。すぐに行く」


 水面歩行で目の前のガブリエルから飲み物を受け取って俺も水面に立ち上がる。

 ゆらゆらと揺らめく水面の上に立つとは、いつやっても不思議な感覚だ。

 ちゃぷちゃぷと音を立ててプールの間を通り過ぎる。


 すると2人の女神……いや、あのアホアテナじゃない。

 世の男性の心を射止める事が可能なほどの美しさを持つ2人が立っていた。

 1人はフィルフィー。

 白にレースの入ったビキニを着ている。

 淡い緑の髪とエメラルドグリーンの瞳、そして2つのメロンと称していいほどに巨大な2つのメロンが女性らしさを醸し出している。

 対してエリス。

 こちらはパレオ。

 ビキニに似ているが、腰にスカートを巻きつけるタイプの水着だ。

 薄いピンクの花柄と白がアクセントとなりより一層の美しさを際立たせている。

 というか、疑問なんだがエリスってこんなに胸あったっけ?

 前までガリガリだったから一切そんな感じはない。


 あー、これはあれだな。

 いわゆる胸バッ……。


「あなた、失礼な事を考えていたわね」

「ひゃんなひょひょない! (そんな事ない)」

「なら触ってみなさい」


 エリスが俺の手を強引に掴み自分の胸へ押し付ける。

 むにゅん、と、肌触りの良い出来立ての餅のような感触が俺の手を包み込む。反射的に全神経を両手に集中、思わず一揉み、二揉みしてしまう。

 え、てかマジか。

 これは間違いなく本物だぞ。


「エリスの胸は成長しているぞ」


 フィルフィーからのお墨付きすら貰った。

 これは成長というよりは、栄養失調だったころから本来あるべき姿に戻ったと考えるべきなのか。異様に食欲も湧いているみたいだし吸収速度が凄いのかなぁ。


「どう?」

「そ、その。ありがとうございます」


 思わず敬語を使ってしまう。


「ふふっ、あなたが落ちるのも時間の問題ね」


 舌を唇に這わせ、人差し指を右ほほに突く。妖艶な雰囲気すら醸し出している。

 俺へ身を寄せているエリスの手は胸からゆっくりと這わせ、俺の顎下に添えられた。

 いや、まてまて。この状況はおかしい!

 違うんです!

 抵抗しようにも、エリスの力が強い(5%)+吸い込まれそうな瞳(95%)によって動けないんです。


「ふふっ、これはあなただけの……もの」


 お互いの距離が近づき、唇と唇が重なり合うであろう距離。



「むぁーーー!」

「おわ!」

「あら」

 

 隣にいたフィルフィーは今までに声に出したことのないような不満げな叫びを放って俺とエリスの距離を離す。

 エリスは計算通りだったのかヒラリと身を躱す。

 俺は予想していなかった事態に思わず尻餅をついてしまう。

 驚くことにフィルフィーは倒れ込んだ俺に騎乗する形で俺を抑え込む。


「はむっ」

「むぐっ!」

「あら」


 絶句。

 いや、実際に声に出すこともできない。

 突然の事態に頭が混乱し思考が追いつかない。

 隣のエリスは何とも楽しげな表情でこちらを向く。


 果たして何十秒、

 実際には数秒だったかもしれない。

 体感した時間はゆっくりと流れていたのは間違いない。


「ぷはっ」


 よくやく解放され、大きく息を吸い失った酸素を取り込む。


「やるじゃない、フィルフィー。まさかキスを先に取られるなんて」

「エリスばかりずるい」


 頬を膨らませ、不満げな表情を作る。

 しかし、いつも不機嫌そうで近寄りがたい雰囲気はなく、むしろ愛着すら湧く可愛げを感じてしまう。


「じゃあ、私もいいわよね」

「ちょっ……フィル!」


 これ以上はされたらマズイと逃げ出そうとした途端に、後ろにマシュマロのような、そしてメロンのような大きさの何かが当たる。

 その気持ち良さに一瞬たじろいでしまい、その隙にフィルフィーが俺の腕を後ろから抱きつく形でホールド。

 その瞬間に俺の唇は塞がれる。

 エリスから漂う何とも言えない女の良い香りが鼻腔をくすぐる。


「……んっ」


 その香りのせいか力が抜け、いつの間にか凝り固まった体の緊張もほぐれていた。

 フィルフィーの拘束もすぐさま外れ、俺とエリスの手が重なり合う。


「ふふっ、この続き……したい?」

「や、それは……」


 その問いに対する男の回答は決まっている。

 それをわざわざ聞いてくるあたり、この小悪魔は人のことを分かってらっしゃるな。


 しかし、そんな雰囲気も次の出来事で消え去る。




「おっきーー!」

「ひろーーーい!」


 2人の元気な叫び声がこの空間を包み込む。

 ソフィーアちゃんとルミアちゃんか。

 危ない危ない、あともう少しで結構危ないラインを走っていたかもしれない。

 その後に続いてプリシラさんたちも更衣室から出てきた。



「ソフィーア、走ってはダメですよ。あら? ……あらあらあら、これはお邪魔だったかしら涼太さん」


 流石に感が良かろうと悪かろうと今の状況を察するこは出来る。

 手を頬に当て、いつも以上にニコニコと笑顔を振る舞う。


 そこから次々と招待した王族ないし貴族の方々が現れる。

 となれば勿論のことレオンも来るわけで……。


「あ、姉上……涼太……」


 自分の友人と姉がイチャイチャしてた際の気まずさというのだろうか。

 エリスの王族としての権利剥奪が告げられた際に俺と共にすると実際にその場にいたのだから分かるだろうが、やはり現状を目にすると慣れないものだ。


「あら、レオンも来ていたのね」

「お元気そうで何よりです、姉上。それよりも……」

「涼太と私は夫婦よ? イチャイチャしても何の不思議はないでしょう」

「なる……ほど。確かにそうですね」


 おいこら、いつの間にそんな話が浮上してきやがったんだよ。

 百歩譲って恋人なら納得しよう。

 しかし夫婦なんぞに今は成る気は無い。

 それはあれだ……もうちょい先だ。


「おーい、涼太! あの高いのは何だ!」


 筋骨隆々な姿のガイア陛下が奥に見える全長何百メートルになるであろうか分からないウォータースライダーが密集している地帯を指差す。


 説明しておくと、この空間のプールは主に6つに分類されている。

 1つは流れるプールで、全長1キロほど、途中で緩やかな滝のような傾斜や河川に似た曲線を描き一周する。

 2つ目は子供用のプール、子供用アスレチックの他にも数種類の安全性を優先した設備が整っている。目玉は地球の大きなパークをパクった一定時間水が溜まるとバケツが倒れ、大量の水が降りかかって来るアレだ。

 3つ目、短いが多種多様なアトラクションがある。体が浮くほどの急斜面に設定した短いウォータースライダー、波乗りサーフィンなどなど。

 4つ目は波の巨大プールで、5つ目が食事や休憩で使う休憩所。

 最後の1つが、大目玉であり陛下たちも興味を示した超巨大ウォータースライダーがある地区。

上に登るために普通であれば階段を利用するが、人数も少ないことからエレベーターでスタート地点に行ける優れものスライダーだ。


「ウォータースライダーってやつです。水の勢いに任せて下まで降りることが出来るアトラクションですね」

「なんだ、そんなものか」


 あん?

 何がっかりしてんですか。

 説明聞いただけで判断すんなや。

 何が気に食わなかったんですかい。

 ならアレだ。


「ガイア陛下。右前方にある傾斜角度が70度の滑り台があります。行ってきてください。大丈夫、面白さは俺が保証します」

「むっ、ならば行くとしようか。ケネス!」

「おうよ! レオンも行くぞ!」

「え、ちょっ、父上! 引っ張らないで下さい」


 なんやなんやで陛下たちが一番楽しそうだ。

 ソフィーアちゃんとユミルちゃんは流れるプールに足をかけてパシャパシャと水面を叩いて楽しんでいる。


「涼太さん、子供用の遊び場はあるかしら?」

「はい、プリシラさん。勿論です。メイドをお使いください。案内を含め、お食事やお飲物も用意できます」

「あら、なら楽しませてもらうわ」



 そう言うと女性陣は俺が呼び寄せたメイドに誘導される形で子供用のプールの方へ向かった。


 さて、あらかたは片付いたな。

 残りは……ってあれ?

 グリムさんとジグルさんがいない。



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