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9話 《神vs天使》


 とある昼頃



「緊急報告を致します!」


 ノックもせずにウリエルの部下であるサンダルフォンが慌てた様子で俺の自室に入ってきた。


「むぅ、何ですかぁ? 今、正に私とりょう君の甘い一時を過ごしている最中なんですよ」


 いや、お前ゲームしていただけだろ。その手に持ってるコントローラーは何だ?


「で、何があった?」

「はっ、神と名乗る人物が突然現れ、メタトロン様の管理する区画で暴れまわっておるのです。そして今、ウリエル様、メタトロン様、ミカエル様、ラファエル様が対峙している状況になっております」


 やはり神か。

 先ほど何かが俺の結界の中に入ってくるのを感じた。パラスたちは来るであろう予想はしていたので分かったが……誰が来たんだ?


「神であるなら失礼な対応をしてはダメだと言った筈だが何故そんな状況になっているんだ?」


 俺は疑問に思いそう問いかける。


「はい! どうやらその神はメタトロン様を見た途端に戦いたいと言い出し、それに応じた事により今の状況になっている様子であります!」


 戦いたい?

 何ともバトルジャンキーな神もいたものだな。


「んー、戦いが好きな神ですか。思いつくのはアレスかヘファイトスでしょうか? というか何、人の庭に勝手に入ってやがるんですか。みんなを呼んで行きましょう!」



♢♦♢



「おい、こいつは一体どういうことだ?何でこんな処に原っぱなんかがあるんだ?」

「ふぉっふぉっふぉ、ワシの予想が当たっちゃったぞ。流石はワシじゃ」


 そう、私、アポロンもこの状況に驚きを包み隠さない。一体どうすればこんな事になるんだ?


 風になびく草原が目の前に広がっている。

 風の音が心地よい。



 グルワァァァァ


 後ろを振り向くとそこにはドラゴンがいた。何故こんな処にドラゴンがいるのだろう?


「ほぅ、ドラゴンか。珍しいものがおるのぉ」

「おい、じいさん。俺がこいつをやっていいか? こんな面白そうな奴がいるんだ。さっきから戦いたくてウズウズしてるんだ」


 このバトルジャンキー。ほんと酒と戦いしか興味ないのか。


「ふぉっふぉっふぉ、まあ、よかろう。相手さんもやる気のようじゃ。存分にやるが良いわ」

「ガハハ、そう来なくっちゃなぁ。わかってんじゃねーかじいさんよぉ。それじゃあいくぜ! オラッ!」


 ヘファイトスは手に持つ槌を振りかざす。


 ギャウ!


 ドラゴンも負けじと牙を剥く。


 ガキッン!


「お、やるじゃねぇか。いいねぇ、なら俺も本気になろうか。オラオラオラ!」


 どうやら本気でやる様だ。

 殴っては殴られの繰り返しの攻防が続く。だが明らかに押しているのはヘファイトスの方だ。



 ギャウン


 ヘファイトスの槌がドラゴンの腹に直撃した。


「さぁ、止めだ」


 あの馬鹿、本当にる気か?

 私は止めようとヘファイトスとドラゴンの間に入ろうとした。

 そこへ何か嫌な気配がするのを感じた。

 何かまずい!


「下がれ! ヘファイトス!」

「あ?」


 次の瞬間、天から一筋の光が降り注いだ。


「うおっ!」


 間一髪ヘファイトスはそれをかわす。


「一体なんだ? こりゃぁ」



 私は上を見た。

 そこには12羽翼の天使がいた。

 天使?

 何故そんな存在がここに居るんだ?

 ここにはそんな存在は居なかった筈だが……。

 すると執事服を着た男が前に出てきて話しかけてきた。



「お初にお目にかかります。まずは先の無礼を謝罪いたします。申し訳ございません。しかしそのドラゴン、あぁ、名前をファーブニルというのですがそれは我がマスターの創り出したもの。流石に殺されては私たちは我がマスターに合わせる顔がありません。あぁ、申し遅れました。私はミカエル。ここの最高責任者の1人に御座います。どうぞお見知りおきを。さて、あな……ヘブッ!」


 すると突然横にいた少女の拳が執事服の男の腹にめり込んだ。


「長いのです。完結的にとっとと答えろです。私はウリエル。最高責任者の1人なのです。よろしくです」

「同じく、私はメタトロンにございます」

「あらあら、私はセラフィエルと申します。よろしくお願いいたします」


 どうやら、真面まともな奴らが出てきた様だ。


「ふぉっふぉっふぉ、すまんのぉ、儂はオーディンじゃ。しがないただのジジイじゃよ。そのスカした奴がアポロン。それからこの暑苦しいのがヘファイトスじゃ。こちらこそお主らのドラゴンを倒してしまいそうになってすまんのぉ。では謝罪の代わりといっては何じゃが、そこの戦闘狂と1つ戦ってはくれんかのぉ?」


 おい、爺さん。何でそんな気のくすぐるような発言を……。


「ガハハ、そいつはいい! 俺も暴れ足りなかったところだ」


 この戦闘狂……先ほど暴れたばかりだろう。まだ暴れ足りないのか……。

 それに答えたのは魔女の服を着た少女であった。


「分かったのです。今、マスターの元へ私の副官のサンダルフォンを向かえに出したのです。マスターがここに来るまでならいいです」

「私も問題ありません」

「同じく」

「私は回復専門だから離れて見てるわねぇ〜」


 どうやら向こうもやる気の様だ。


「おうおう! いいねぇ。全員まとめてかかってきな。遊んでやんよ!」






 先に動いたのはウリエルであった。

 ウリエルの周りに氷の矢が生成されていく。

 【氷の矢(アイスアロー)

 それは比較的に誰でも使える初級魔法である。

 天使の最上位の存在である熾天使セラフが使うには余りにも小さな魔法。

 しかし…。



「おいおい、何だこりゃ。どんだけ出てきやがるんだよ!」


 ヘファイトスの目の前には大気を埋め尽くす程の氷の矢が生成されていく。

 あまりの冷気にここ一帯の気温が急激に下がる。


「喰らうがいいです! 【億氷の矢(ミリオンアイスアロー)】!」


 空を埋め尽くす量の氷の矢がヘファイトスに襲いかかる。


「ちっ、だがこの程度でどうにかなる俺じゃねぇぞ」


 そう言い放ち、まるで大気ごとぎはらうかのようにヘファイトスは次々に氷の矢を地に落としていく。



「ふふ、やりますねぇ。流石は神である御身。では次は私の番ですね。あぁ、我がマスターよ! ようやく私の力を存分に振るえる時がきました。いいですねぇ。あぁ、いいですよ! 気が高まるぅぅ「早くするです」……はい」


「ではいきます。【灼熱の太陽(ライジングサン)】」


 すると辺りは一変。

 山の様に積み重なっていた氷が一瞬にして蒸発し灼熱の大地へと変わる。


「おうおう、すげーな。とんでもねーよ。だが残念。俺は炎と鍛冶を司る神だ。熱いのはお手の物よ! 」

「ぐふっ!」


 ヘファイトスの蹴りがミカエルの腹にめり込む。更に追い討ちをかける様に手にもつ槌を振りかざす。



 ガキッン


「させませんよ」


 それを止めたのはメタトロンであった。


「いいねぇ。次はお前かぁ」


 ヘファイトスの口角がまるで三日月の様につり上がる。


「ええ、私の力。存分にご覧に入れましょう。【雷化らいか】」


 瞬間。

 ヘファイトスの目の前からメタトロンが消えた。



 ガキッン


「おいおい、マジで見えなかったぜ。目じゃなく気配に気を配ってなきゃやばかったぞ。久しぶりに肝っ玉が冷えたわ」


【雷化】


 それは一時的に雷と同化するということ。

 すなわち光速の攻撃である。

 光速は音速の約80万倍。

 常人ならば何も出来ずに切られているであろう一撃である。


「確かにすげーが、俺は神だ。それじゃあまだ届かねぇよ。それにその技。相当体に負担がかかるんじゃねぇのか?」


 そう。

 雷化とは一時的に肉体の限界を超えるというものだ。

 即ち己の全てを一太刀に載せて放つ技。

 極限を超えた肉体が無事なはずがない。


「ええ、流石です。どうやら指一本も動かせそうにありません」

「くくっ、そうか残念だ。久々に楽しませてもらったぜ。じゃあな」


 そう言いヘファイトスは己の槌を振りかざした。



 ♢♦♢


 俺たちは今、サンダルフォンが言っていた区画に向かっている。


「なぁ、そのヘファイトスとアレスって神様はどんなひとなんだ?」


 先ほどの話に出てきたのでやはり気になる。


「うちが説明するっすね。ヘファイトスは暑苦しい野郎っす。酒好きで超が付くほどの戦闘狂なんっすよ。最高神オーディン様とよく一緒にいるっすね。アレスの方は基本的に根暗なんっすけど、一度戦闘モードに入ると人格が豹変するんっすよ。あと、いつも1人っすね」


 うわぁ、ということは今日来たのはヘファイトス様の方か。

 最高神と仲が良いってことは3つあった反応の内もうもう1つは最高神か。

 というかアレス。

 ボッチなのか、強く生きろよ。


「その最高神ってどんな人?」

「それはねぇ、もうただの変態爺さんなのぉ。いつも変な目で見てくるわ、お尻を触ってくるわで大変だったのよぉ」

「あー、やっぱりですか。私も困ってたんですよ」


 アテナとアディが珍しく意気投合している。

 それにしても、唯のセクハラジジイか。

 最高神の威厳もひったくれもないじゃないか。


「あー、その爺さんなんだが、多分今日来てるんじゃないのか?反応3つあったから」


 俺はみんなにそう言ってみた。


「え、やばいっすよ。何で来てるんっすか。帰りましょうよ。会いたくないっすよ」


 テミスの顔がみるみる内に青くなっていく。

 そんなに嫌か。


「涼太さん、今3人って言いましたか?」

「ん? あぁ、確かにそう言ったが……」


 みんながソワソワし始めた。


「あー、アポロンっすねー」

「あの人ですか……」


 明らかにみんなのテンションが低い。


「どんな奴なんだ?」


 俺は勇気を出して聞いてみる。3人の内、2人は色々とダメなやつだ。つまり……。


「ロリコンです。小さい女の子が大好きですね。恐らくパンドラを暫く見なかったから手がかりの2人について来たんですね」


 パラスが答えてくれた。

 ロリコンか!

 変態かよ!

 戦闘狂にセクハラジジイにロリコン。

 真面な奴いねーじゃん!


「あのひと……こわい」


 パンドラが怯えている。

 そりゃそうだよ。

 天敵だもん。

 許せん。

 俺の癒しには手は出させない。



 ドカッン!


 すると前方の方から何やら爆発音が聞こえた。


「おい、みんな急ぐぞ!」



 ♢♦♢



 暫く走っていると何やら人の陰が見えてきた。

 よく見ると戦士の様な体つきの男がメタトロンに槌を振りかざそうとしている。

 俺は即座に時を止めて2人の間に割り込む。


 ギャリッ


「おい、お前誰だ? 全く気配がしなかったぞ」


 それはそうだろう。

 時を止めてここまで来たんだ。

 気配がある方がおかしい。



「ちょっとー! ヘファイトス、何してるんですか!」


 俺の後に続いてアテナ達もやって来た。


「おう! アテナ。久しぶりだな」

「久しぶりじゃないわよ! この戦闘狂。私のりょう君に何武器チラつかせてんのよ」

「おっとすまねぇな。お前さんがこいつらの主人か。中々強かったぜ、ガハハハ」


 ヘファイトスは先ほどの覇気のある顔から一変し笑いながら俺の肩をバシバシ叩く。


「では皆さん。話は私の城に戻ってからでいかがでしょうか?」


 俺はそう3人に追求してみる。


「そうじゃのぉ。よろしく頼むぞい」

「私も問題ありません」


 了承は取れたようだ。


「では皆さん。ご案内いたします。ラファエル、3人の治療は任せた」

「承知いたしました。涼太様」



 そうして、新たな3人の神を城に招くことになだたのだった。



【言語完全翻訳】

【完全記憶】

【創造魔法LV.51】20up

【料理スキルLV.65】

【時空魔法LV.45】

【次元魔法LV44】11up

【回復魔法LV.22】

【元素魔法LV.42】

【召喚魔法LV.32】

【結界魔法LV.43】

【崩壊魔法LV.42】

【痛覚遮断LV.56】

【超再生.LV38】

【鑑定LV.42】

【隠蔽LV.15】

【 】

【 】

【 】

【 】

【 】


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― 新着の感想 ―
アレスって誰? 3人なの?4人なの? 超絶混乱中……… 直す気ないよね…?
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