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今日から学校と仕事、始まります。①莞

決断する強さ

作者: 孤独

彼は強さという概念を壊した。


「くっうぅ~、相変わらず楽しませるわね」

「灯、……まさかそれでへばったのか?」


”強者”

周囲にいる生物達の中で、自分自身を一番の強者にする能力。


「そんなわけないでしょ!行くよ、藤砂!」

「そうこなくちゃな、……む!」


”強者”である男の名は、藤砂空。

誰であろうが、どれだけの数であろうが、彼は能力というルールの中で、どの生物達の中で一番強くなる。人がこれまで歩んだ軌跡を遮断する絶望的な強さ。超えられない頂点を持つ。

今、彼は自分の彼女と戦い、定まった強さを持ってして、返り討ちにし、痛めつけてしまった。


そこから生まれた物語は、いかに強かろうが関係のない事だった。


◇    ◇


「なんとかならないか、……ミムラ」

「藤砂さんが私に相談するなんて、珍しい事もあったと思ったんですけど。私がどうしろと?」



後日。ファーストフードにて。

藤砂はこともあろうか、別の女性と会っていた。藤砂と灯の仲間だ。


「アカリン先輩のスカートを買って来てくれなんて、おかしすぎますよ」

「俺が買いに行くのは変だろう、……さすがにな」

「だからといって、アカリン先輩の彼氏は藤砂さんですよ。アカリン先輩の身体の大きさくらい知っているんじゃ?」

「知らん、……俺も服に興味などない」


彼女のプレゼント的な物を買おうとする優しさか


「あいつは戦っているとだな、……身体のことはもちろん、服が破けようが、下着が見えようが戦いに全てを注ぐんだ」

「あ、アカリン先輩らしいです……」

「俺の彼女ならその辺の身の振り方を考えて欲しくてな、……スカートとか履けば恥らって気を遣うと思っているのだが」

「アカリン先輩にスカートですか!ぶふっ、絶対に似合わないですよ。想像しただけで笑っちゃう」


そりゃまぁ、……俺も分かっている。

ヒラヒラした服はまったく、……灯には似合わない。短めの金髪、狐みたいな細い目の頭に、動きやすい格好が常にであり、……隠してるとはいえ、しかと厚い筋肉もついているし。幼馴染の記憶を辿っても、……まったく普段着でスカートを履いてた姿を見た事がない。


「そんなに似合わないかしら?」

「似合わないですよ!スカートは私とか、のんちゃんとか、裏切ちゃんは大丈夫ですけど、アカリン先輩はさすがにねー」

「アカリン先輩はさすがに?」

「!、……」


その殺意は一瞬にして、ファーストフードの中に居る人々を気絶させるほど、惨くおぞましく、ミムラも震える声を発する。


「に、似合ってますよ~きっと」

「へ~。後輩に嘘を言われると腹が立つわね」


山本灯は自分の悪口を言った、後輩に制裁を降す。失言を取り消せば良かったという反省をしろと、込めて。ミムラの顔に拳をぶち込んで、そのパワーを持ってして店の外へと吹っ飛ばした。


「何を話していると思えば、あたしにスカートが似合わないって?」

「当たり前だろう、……自覚してるはずじゃないか?」

「まぁね。でも、さすがに彼氏と後輩に言われるとムカつくんだけど?」


ご機嫌斜め。戦えばどうにかなる事はあっても、こーゆうことにはまるで強さが役に立たない。


「そうね。じゃあ、捜しに行きましょうか」



◇   ◇



そんなわけでこれから灯にピッタリなスカートを捜そうという事になった。言いだしっぺの藤砂が灯に合うスカートを選び、そのスカートを買うのがミムラである。


「私が財布役ですか~」

「別に良いでしょ。スカートだけしか金は取らないわよ」



酷い痣ができたミムラは半泣きながら、財布を出していた。一方でスカートを選ぶことになった藤砂は、初めてこーいった事をするのであった。

スカートといっても、色々と種類があるものだ。


「灯に合うスカートか、……かなり難しいな」

「彼女の前でその発言って酷くない?」


それは灯の普段着がいつもジーンズとか、ホットパンツばかり付けているせいだ。上はTシャツやら、ポロシャツ。迷彩服とか特攻服を選んだ方がよっぽどしっくり来る、体つきなんだ。自分でそーゆう体に鍛えているわけだし。



「むぅ、……ホント難しいんだが」

「男ならさっさと決めなさい!決断力がない奴は強くても、反応を遅らせるわよ!」

「決断しやすくないアカリン先輩の普段着が悪いですよ、藤砂さんの気持ちが分かります」

「あんたは言って良い事と悪い事の分別をつけなさい!」


そう思って言えるのなら、普段からスカートを履け。そして、少しは服が破けたり、パンツが見えることに恥じたりしてだな。


「!そうか、……お前にスカートを着けてしっくり来る格好があった」


全然、色気が皆無だが。よく考えれば3年間は、見た事がある格好があった。


「なによ?」

「身長はそんなに伸びてないし、……変わったのは体重くらいだよな?」

「増えました!」


そんなわけで1時間後。3人は一度、灯の家に行って。久しぶりに試着してみる。

懐かしいと言っても、2年ぶりくらいだ。これは見慣れた格好。


「高校時代の学生服、……今も着れるじゃないか」

「可愛いですよ、アカリン先輩!全然いけます!」

「うーっ、そりゃ。私もこれで行ってたけど。改めて思うけど、スカートで私。高校に通っていたのね。凄いわね」

「しかしだが、……それがお前に似合っている」

「……そ。ま、私はやっぱり、スカートなんて履かないわ。早々にはね」


どうやら、高校時代のスカートで納得してくれた。


「よかったです。それじゃ、邪魔者なミムラは帰りますね」

「あんたはダメよ。スカートを買わなかったけど、これから私達にお昼を奢りなさい!」


逃げようとしたミムラであったが、灯は簡単には彼女を許す気はなかった。




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