輪廻
青すぎる空は好きじゃない。今日もまた憂鬱な気分でいることを咎められているような気になってしまうから。
しかし前から歩いてくる一人の女性に僕のそんな考えは停止した。まるですぐ新しいことに目移りしてしまう幼い頃の感覚に戻ったようなそんな不思議な懐かしさに包まれた。
「またそんなに石を積み上げて待っていてくれたのね」
彼女はそう微笑みながら僕の積み上げた石の塔のようなものを、空から降る雪を掴むようにそっと片手で崩した。
あぁそうだ、ちょうど一年前もこうやって終わりを告げてくれたのだと思い出した時には彼女はもういない。
僕は今度こそ忘れないようにとまた石を積む。