第四十一話 夕食会は大惨事!?
しばらくすると、レンバルトが騎士達を連れて食堂に来てくれた。
テーブルの料理を見て「こ、これは!?」とビックリしていた。
うんうん、予定通りです。
入り口でお酒のグラスを渡し、料理の前へ集まって貰う。
なんだか、40人以上いるようにみえるけど、沢山作ったから大丈夫だと思う・・・・
騎士達がニコニコと嬉しそうにしているのはいいんだけど、なぜか恐怖を感じたので師匠とエルミアの間に逃げ込む。
なんだろう・・・・
獲物を見る目というのだろうか・・・
う~ん・・・・
まぁいいか。
レンバルトがグラスを掲げ「本日は、剣聖殿とカオルさんより我々に食事をご馳走してくださる!」と言う。
そこで騎士達がボクらを見やる。
おおう・・・一斉に見られると威圧感がすごいです。
やめてください・・・・
「カオルさんには先の戦闘でも大変お世話になった。この料理も含めて感謝を・・・それでは、乾杯!」
レンバルトがそう言うと「乾杯!」と騎士達も声を合わせる。
掲げたグラスからワインを一気に飲み干し談笑を始めた。
師匠はさっそく手近にあったサーモンのマリネに飛びつく。
サラダからじゃないの!?
まぁいいけどね・・・
師匠の魚好きも知ってるし。
エルミアと一緒に料理を食べる。
優雅に食べるエルミアといると、なんだか落ち着くんですよ。
「おいしい?」と聞くと「はいとても」と笑顔で返してくれた。
うん・・・・師匠とはまた違った美人さんだ。
師匠は、お酒を片手にムシャムシャと食事をしていた。
足をパタパタさせて・・・
治ってないじゃん!
成長したと思ってたんだけどなぁ・・・
ボーっと師匠を見ていたら、レンバルトがやってきた。
「カオルさん、本日はこんなにおいしいごちそうをありがとうございます。皆も大変喜んでおります」
と綺麗な一礼をしてくれた。
「いえ、普段お世話になっていますしこれくらいのことしかできませんので」
なるべく丁寧に返すと「いやいや、先の戦闘でも大変お世話に」となぜかペコペコ合戦が始まった。
最後はレンバルトが大笑いしていたけど。
その後も、次々と騎士達がボクへ挨拶に来ていた。
なぜか全員と握手をするはめになってしまったけど。
というか、みなさんなんでそんなにねちっこい握手をするんですか?
あれですか?
クレープ屋の時もそんな感じでしたけど、それが騎士流なのですか?
う~ん・・・・
む!この人は「ちょっとトイレ行ってくる」とか言ってた人だ!
トラウマになりましたよ?
どうしてくれるんですか?
オーブンくれますか?
ねぇ!オーブン!
はぁはぁはぁ・・・・
挨拶しすぎて疲れているようだ。
そこへカルアとエリー、それに司教のニコルがやってきた。
「カオルちゃん!」
カルアがボクに抱きつく。
むぅ・・・朝は素っ気無かったくせに・・・・
ボクはぶつぶつと呪詛を振りまく。
エリーはモジモジしたまま、ボクの顔をチラリ、チラリと見ていた。
なんですか?
やっぱりイビキが五月蝿かったですか!?
むぅ・・・あとで師匠に聞いておかなきゃ・・・
「カ、カオル・・・」
エリーがおずおずと聞いてくる。
「どうしたの?」
ボクが聞き返すと「召喚状の返事は出しておいたから、明日の朝には返事が来るはずよ」と言いながらずっとモジモジしていた。
う~ん・・・なんだろう?
近づいて、きらい!って言われたら立ち直れ無いから止めておこう。
師匠にならできるんだけどなぁ・・・
なにしても嫌がらないし・・・
あ、でも前に針で刺した時に喜んでたのはちょっと恐かったかも。
師匠の事は大好きだから、今は平気だけど。
っと、それよりも今はエリーの返事だ。
「ありがとう。エリーも食べていってね」
食事を勧めたら「うん♪」と喜んでいた。
うむ・・・・エリーは物で釣った方がいいのかもしれない。
そんなことを考えていた。
師匠はカルアと合流し、全料理制覇を目指していた。
飲み過ぎないようにだけ気をつけてくださいね?
エルミアとエリーと並んで食事をする。
エリーは好き嫌いもなく、元気に食べていた。
うん、こういうハツラツとした姿はエリーらしくていいよね。
エルミアは物静かに、料理を小さく切り口へ運んでいる。
優雅ですねぇ・・・・
ボクがそんな2人をのんびり見詰めていると、いつのまにか師匠と騎士が飲み比べを始めていた。
あー・・・・・
うん、張ったおそう。
席を立つと、ツカツカとその現場へ歩き出し飲み比べ中の2人の頭にチョップを食らわす。
面食らった2人が、呆然とボクを見詰めるが気にしない。
「お酒の一気飲みは身体に悪いんですよ?わかってるんですか?」
多少声を大きくしてそう告げると、周りで嗾けていた騎士も啞然としていた。
「まったく・・・」
そう言いながら飲んでいたお酒を見る。
ノンアルコールの赤茶色をしたエールだ。
ここは騎士団詰め所ということもあり、ノンアルコールが提供されている。
まったくなにがおいしいんだか・・・・
叩かれた2人がシュンとした表情を見せ、うつむいていた。
ボクは、イライラが納まらず師匠が手に持っていたエールを強奪し一気に飲み干す。
炭酸がすごい・・・・
あれ・・・・
目が・・・・・回る・・・・
そこで意識を失った。
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