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第四十話 夕食は盛大に

◆の部分は調理過程です。

面倒でしたら飛ばしてお読みください。

エルヴィント帝国から届いた召喚状により、皇帝へ会いに行くことになった。


今日はエリーがギルドへその返事をしているところ。


日ごろの感謝を込めて、聖騎士団の方へ夕食をご馳走する事になった。




朝起きてから、なぜかみんなが余所余所しい。


う~ん・・・・イビキが五月蝿(うるさ)かったのかな?


まぁ5人も一緒の部屋なんだもの、それくらいは許してください・・・


カルアは治癒術士の仕事があるとの事で、そそくさと礼拝堂へ行ってしまった。


エリーもギルドに返事を出しに行くと言ってさっさと出かけてしまった。


取り残されたボクと師匠とエルミア。


日ごろ馬などを貸してもらっているので、騎士団の方へ夕食をご馳走する事になった。


「ねぇ師匠?」


なんだか朝からぎこちない師匠に話しかける。


「な、なんだい?」


一歩下がって師匠が聞いてくる。


むぅ・・・なんだか寂しい・・・・・


師匠に近づいて手を繋ぐ。


師匠はビクッ!と一瞬驚くが、逃げはしなかった。


「むぅ・・・朝から余所余所しくありませんか?」


ジーっと師匠を見詰める。


師匠は慌てて「そ、そんなことないぞ!?」とごまかす。


ふむ・・・・


手を離して後ろを歩いているエルミアのもとへ行く。


そっと手を繋いでみる。


どこか遠くを見ていたエルミアが、慌てて手を握り返す。


なんだろう・・・?


何かしたのかなぁ・・・


「ねぇエルミア、ボク何かした?」


顔を近づけて聞いてみる。


「いいえ、カオル様はすばらしい方です」


なぜか頬を赤く染めて、チンプンカンプンの事を言われる。


なんなのさ!


「むぅ・・・・・」


ボクは両頬を膨らませて、前を歩く師匠の手を繋ぐ。


丁度、ボクを真ん中に3人で手を繋ぐ形だ。


2人共いぶかしげにこちらを見ていたが、膨れているボクをみて笑顔になっていた。


大通りを歩き、騎士団の詰め所へ行く。


ノックをして扉へ入ると、白い騎士服姿のレンバルトがいた。


夕食をごちそうしたい旨を伝えると、快く快諾してくれた。


「いやぁ、たすかります。カオルさんが手料理をご馳走してくれるなら大変喜ぶと思います!」


ニッコリ笑顔でそう言われた。


悪い気はしないさ!


腕によりをかけて作らさせていただきます!


「がんばります!」


と言い、お昼過ぎに料理を作りに来る事を伝えた。


詰め所の食堂にはオーブンがあるらしいしね。


ぜひ利用させていただきますとも!


とりあえず食材ですね。


「師匠、食材取りに行きましょう」


ボクが提案すると


「ああ、わかった。」


そう師匠が言ってくれた。


街の出入り口まで歩き、そこから飛翔術を使う事になった。


エルミアは飛翔術を使えないとの事だったので、ボクが挙手し抱える事になった。


師匠は少し怒った目をしていたが、エルフのお姫様を抱っこ出来る機会なんて、なかなかないのでここは譲れない。


いいよね~絵本の中みたいでしょ?


あこがれちゃうよね!


「それじゃいくね?」


そう告げてエルミアをお姫様抱っこする。


身長差は10cmくらいだからそれほど違和感はないはず。


問題は・・・・すっごい軽いのだ・・・・・


ちゃんとごはん食べてるのだろうか?


心配になっちゃうよ?


「重くないですか?」


なんて聞いて来たので「軽すぎて心配になっちゃうよ?」と聞き返した。


顔を真っ赤にしてモジモジする姿がなんというか、おいしそう?


寂しそうにしていた師匠の手を繋いで、森に向かった。


森に入って驚いたのはエルミアの力だ。


獲物を見つけると、背中のバックパックから折りたたまれた弓を取り出した。


弦の無い弓を獲物に向けると、まるで弦があるかのように引くと見えない弦が現れそして矢を放つ。


現れた獲物は見えない矢に撃ち抜かれ絶命する。


呆気にとられたボクと師匠が慌ててエルミアに問いかける。


「その弓・・・どういう仕組みなの?」


弦の無い弓を指差し聞いてみる。


エルミアは大事そうにかかえ


「これは風の矢を放つ魔弓(まきゅう)です」


なんじゃそりゃー!


「ふむ・・・魔剣(まけん)(たぐい)か?」


師匠はしげしげと魔弓を眺めそう言う。


「はい、私が10歳の時にお母様からいただいた物です」


エルミアは、大事そうに抱えた魔弓に目を向けそう説明した。


ほぇ・・・


魔剣とか魔弓とか・・・さすがファンタジー世界ですね。


それを知ってる師匠もさすがというか、なんというか・・・


博識なのは前から知っていただけども。


「師匠、魔剣ってなんですか?」


ボクがそう聞くと


「魔剣というのは、魔力の無い者でも魔法を使えるようになる物だ」


そう語ると「ほしいか?」


と聞いて来た。


少し悩んだ。


あれば便利かもしれないけど、師匠に作ってもらったこのファルシオンより魅力的には思えなかった。


「ん~、ボクはこのファルシオンの方が良いです」


ファルシオンの柄に手を当てそう言う。


「そうか」


師匠はその様子を見て満足そうにそう言った。


手に馴染む良い剣だしね。


それから3人で、誰が一番獲物を狩れるかお昼まで競争しながら狩り続けた。


勝敗はなんとエルミアが一番多かった。


う~ん・・・無尽蔵にあれだけ矢を撃たれたら勝てないよ。


エルフの森では、毎日狩りをしていたそうだし。


「他にやる事もありませんでしたし」とか言ってた。


3人で騎士団の詰め所へ戻り昼食をする。


昼食は簡単に、バジルソースのパスタを作りみんなでいただいた。


まぁ、麺さえ茹でれば後は簡単だからね。


レンバルトに騎士団の人数を聞いたら、今日集まるのは40人だそうだ。


ふむ・・・・師匠は料理できないし、エルミアに聞いたら作った事無いと言われた。


さすが王女様。


きっと、料理人とかのお付きの人がいるんでしょうね。


さて、じゃぁ・・・1人か・・・・・


5時間以上あるし大丈夫かな?


師匠とエルミアに食堂の片付けを頼んで、足りない食材を買いに行く。


基本的に野菜と調味料だ。


獲れた獣も、野豚・鹿・猪・野鳥くらいだし・・・・う~ん魚欲しいな。


魚屋さんも見て行こう。


急いで買い物を済ませ詰め所へ戻る。


ちょっと高かったけど、良いサーモンが手に入った。


さぁ調理開始だ!



◆前菜


<イタリアンサラダ>


ほうれん草をよく水荒いし、葉の部分を持って茎を湯通しする。


一口大に切り、角切りしたトマト・モッツァレラチーズをバジルソース・塩・胡椒で和えてクルトンを載せれば完成。


<温野菜>


フライパンにオリーブオイルを敷いて、細かく切ったベーコン・にんにくを炒める。


ブロッコリー・パプリカ・しめじを加え火を通す。


塩・胡椒・パルメザンチーズをかければ完成。


◆スープ


<コンソメスープ>


お鍋に水を入れ、玉ねぎを厚切りし、細かく切り揃えたにんじんを鍋に入れる。


胡椒・コンソメ・砂糖・醤油・お酒を加え弱火でじっくり火にかければ完成。


<肉団子スープ>


鶏肉を叩き、みじん切りした玉ねぎとよく混ぜ合わせる。


お鍋に水・白菜を入れ、グツグツ煮込む。


お湯が沸騰したら、成形した肉団子を入れ塩・コンソメ・お酒を加えて煮崩れないようにじっくり火にかければ完成。


◆魚料理


<サーモンマリネ>


塩・胡椒・オリーブオイル・酢を和えてよく混ぜる。


刺身大に切ったサーモンに、先ほど作ったマリネソースをかける。


石櫃(せきひつ)に氷を敷きそこへしばらく入れておく。


十分ソースが浸透したら、器に盛りスライスした玉ねぎとディルを載せて完成。


<サーモンのムニエル>


サーモンに塩・胡椒をし小麦粉をまぶす。


フライパンに油を敷いてそこへサーモンを入れる。


両面しっかり焦げ目がつくまで焼く。


器に移し、一口大の水菜を添えて塩・胡椒をして完成。


<サーモンの酒蒸し>


サーモンに塩をまぶし、しばらくしてから水分を拭き取る。


陶器の器にサーモンを移し、そこに輪切りのにんじん・しめじを載せる。


お酒・塩・醤油・胡椒をまぶしてもう1枚の器で蓋をする。


熱したオーブンに入れて、蒸し上がれば完成。


◆肉料理


<アスパラと鶏肉のソテー>


は、以前作ったので省略。


<鹿肉のロースト>


うちもも部分に塩・胡椒をし、熱したフライパンに油を敷いて強火にする。


そこにお肉を入れ、全面に焼き色を付ける。


陶器の器に移し、そのままオーブンへ。


1~2分ごとに取り出し、両面繰り返して焼けば完成。


<鹿のステーキ>


しんたま肉(大腿骨に巻きつく部分)に塩コショウをして、熱したフライパンに油を敷く。


お肉を入れしっかり両面焼き上げれば完成。


付け合せに、茹でたじゃがいも・にんじんを添えれば見栄えよし!


<豚肉のロースト>


鹿肉ローストと同じ工程。


臭み取りに香草もお忘れなく。


◆チーズ


<カプレーゼ>


厚めにトマトとモッツァレラチーズをスライスし、バジルと重ねてオリーブオイルをかける。


仕上げに塩を振って完成。


<パルミジャーノチーズのカナッペ>


は、以前作ったので省略。


<チーズパラタ>


小麦粉・塩をボールに入れて、牛乳を少しずつ加えよく混ぜ合わせる。


ほどよいやわらかさになったら、生地を寝かせる。


寝かせた生地を麺棒を使い丸く伸ばす。


伸ばした生地の中央へパルミジャーノチーズを置いて、包み込むように端から折り返す。


丸く包み終えたら、厚みが出るようにもう一度麺棒で優しく伸ばす。


熱したフライパンに生地を入れ両面焼き上げれば完成。


◆デザート


<木苺のタルト>


まずはタルト生地作り


ボールに小麦粉・砂糖・塩・膨らし粉を入れてよく混ぜる合わせる。


別のボールにバター・卵を入れてよく混ぜ合わせる。


小麦粉の入ったボールに、かき混ぜながらゆっくりと流しいれ混ぜ合わせる。


出来上がった生地をしばらく休める。


丸型の金台に出来上がった生地を載せ、タルトの形に成形する。


温めたオーブンに入れ焼きあがれば生地の完成。


タルト生地に薄くバターを塗る。


そこにホイップクリームを万遍なく敷き詰め一口大に切った木苺を飾れば完成。


<リンゴのタルト>


ボールにバターを入れ泡立てる。


卵と砕いたアーモンドを入れてよく混ぜ合わせる。


仕上げにお酒と小麦粉を混ぜながら入れれば完成。


リンゴの皮を剥き芯を取り除く。


なるべく薄く切りレモン汁をかけておく。


タルト生地に先に作った、アーモンドクリームを流しいれ敷き詰める。


そこへスライスしたリンゴを飾りオーブンへ。


焼き上げれば完成。






なんとか夕食会用の料理か完成しましたよ!


残った食材は、ボクが大事に使います。


肉いっぱい余っちゃった・・・・


ボクが出来上がった料理を次々と食堂のテーブルに運んでいると、師匠がつまみ食いをしているのを見つける。


「師匠?」


ボクが怖い顔で睨むと「見つかった!?」と、驚きおびえていた。


なんでそういうことするのかな・・・


ここが家ならそんなに怒らないけど、今日は騎士団の人の為に作った料理なんですよ?


もう・・・


ビクビクと怯えている師匠にツカツカと歩み寄り、そっと耳元へ近づく。


口を開きアマガミをしてあげると、力が抜けたようでカクンとその場にへたりこんだ。


かわいい人だ。


「あ・・う・・・」


びっくりしている師匠はとても可愛いかったので、それで許してあげた。


エルミアにお願いして、テーブルのセットを手伝ってもらう。


さすがエルミア!という感じで、センス良く並べてくれた。


お酒も並べて、後はみんなが来れば夕食会の開始だ!


ご意見・ご想などいただけると嬉しいです。

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