第三十九話 皇帝からの召喚状
宿屋で夕食を食べているとカルアとエリーがやってきた。
「え?」
ボクが驚いていると
「家族なんですから、一緒にいるのは当たり前です♪」
と、満面の笑みを浮かべたカルアに言われた。
いや、家族って言ってくれるのはすっっごく嬉しいけどいつのまにエリーまで家族に?
師匠がすっごく嫌そうな顔をしていた。
まぁ・・・・・なんとなくわかるけども。
エリーに目を向けると、なんだか気まずそうな顔をしていた。
「エリーどうしたの?」
気になったので聞いてみる。
「カオルどうしよう・・・」
ん?
「どうしようって、なに?」
ボクが聞き返すと、おずおずと羊皮紙の巻物を渡してきた。
なんだろう?
開けて中身をみる。
エルヴィント帝国からボク宛の召喚状だった。
「えっと・・・どういうこと?」
意味がわからなかった。
「冒険者ギルドのヤームが、今回の戦闘報告書を帝国の冒険者ギルドに送ったの。」
ふむふむ、それで?
「その報告を聞いたギルドの偉い人がね、皇帝陛下に進言したところぜひカオルに会いたいって・・・」
おおおう・・・・
「だから、カオルに親しい私がそれを預かってきたの」
親しい・・・うん。
親しいですよ!
可愛いと思ってますよ?うん!
「それでどうする・・・?」
伏し目がちにこちらを見てくるエリー。
う~ん、どうしましょう?
「私は、一緒に行ってあげても・・・・いいわよ?」
ツンデレエリーさん御帰りなさい。
師匠に顔を向け聞いてみる。
「師匠、どうしましょう?」
少し悩んで
「いいんじゃないか?褒美とか貰えるかもしれないぞ?」
褒美かぁ・・・・オーブンください。
「じゃぁ、行きます」
ご褒美はオーブンでお願いします!
オーブン基金が全然貯まってないのにゃー。
「そう!じゃぁそう伝えておくわ!」
エリーが嬉しそうな顔をした。
「もちろん、おねぇちゃんも行くわね♪」
カルアがついてくると言う。
「おねぇちゃんは行けないでしょ!治癒術士のお仕事どうするのよ!これ以上休めないじゃないの」
あらま・・・
「うぅ・・・おねぇちゃんだって、カオルちゃんと旅行したいもの」
いや、旅行じゃないんですが・・・
ハンカチを顔に当て、泣いたふりをするカルア。
バレバレですよ?カルア・・・・
「おねぇちゃん、嘘泣きはずるいよ!」
エリーが指摘し、舌をペロッと出して「えへ♪」と悪びれた様子もないカルア。
とりあえず、なんだかよくわからないので師匠のグラスにお酒を注ぐ。
師匠は嬉しそうにそれを見詰め、笑顔を向けてくれた。
うん、美人さんだ。
だまっていれば・・・・
エルミアはボク達がうるさくしていても、我関せずな態度を貫いていた。
うん・・・・さすが王女様。
立ち居振る舞いも優雅だし、さすが・・・の一言ですね。
「エルミアも一緒についてきてくれる?」
ボクは話しかけると、そっとハンカチで口を拭い「もちろんです」と肯定してくれた。
「よかった♪」
ボクが嬉しくて笑顔を向けると、顔を赤くしてうつむいてしまった。
あれ?やっぱりツンデレ?
エリーより無口だからわかりにくいけど、ボクが話しかけると嬉しそうにしてくれる。
う~ん・・・・いまいち謎だ。
「それでいつ出発するんだ?」
ワインを飲みながら、師匠がそうエリーに聞く。
「そうね・・・明日返事を送るから、早くても明後日には出発する事になると思うわ」
エリーがそう話し、それまでの間に準備をすませることになった。
「ねぇ、そういえばカイとメルは?」
最近見ない彼らが気になった。
「あの2人ならギルドで本の整理してるわよ」
エリーはつまらなそうにそう言った。
「本の整理?」
首をかしげてそう聞き返す。
「ええ、ギルドも人員が減ってね。それでカイとメルの両親が手伝いに狩り出したのよ」
ほほー
まぁ、あの2人なら大丈夫だろう。
なんだかんだ仲良いし。
ああ、それでエリーが不貞腐れているのか。
「エリーは寂しいんだ?」
ボクが核心をついたからか、エリーは慌てて「ち、ちがうわよ!ばか!」と顔を赤くして言っていた。
うん、本家ツンデレさんだ。
耳元に近づいて「ボクがいるよ」と囁いたら、顔を真っ赤にして煙を出していた。
うん、相変わらずチョロイ。
余計な事を考えさせなくするには、これが一番いいですね。
師匠とカルアは仲良くなったようで、一緒に酒盛りを始めていた。
う~ん、いいんだけど飲み過ぎないようにしてもらわないと・・・・
宿代はかかりませんが、食事代はちゃんと取られるんですよ?
カルアさんはいいけど、師匠無職でしょ?
そんな感じで、みんなで楽しく食事をした。
そして宿屋の大部屋。
うん、5人部屋の理由がわかった。
ボク・師匠・エルミア・カルア・エリーが泊まる事に・・・
宿屋の主人すごいな・・・・なんでしってるの?
まぁいいや・・・
ボクは一番先にお風呂をいただく。
一番風呂~!
いいよね~
ぬくぬくだねぇ~
たっぷり30分かけて出てきた。
本当はもっと長く入りたいんだけど、みんなも入るし・・・・
というか、誰か入ってきそうだし・・・
部屋に戻ると、師匠とカルアはまだ酒盛りをしていた。
「・・・・師匠、いい加減飲みすぎですよ?」
師匠に歩み寄りそう伝える。
「い、いや・・・これはね・・・・」
しどろもどろになる師匠。
次にカルアに目を向ける。
「カルアさん?怒りますよ?」
びっくりしたカルアは「あ、あらあら・・・え、エリーちゃん一緒にお風呂に入りましょうね~・・・」とエリーを連れて逃げていった。
エルミアは既に、ベットの上で船を漕いでいた。
眠かったのだろう。
残された師匠と対峙する。
本当にもう!なんでこんなにお酒ばっかり飲むんだか!
テーブルに置いてあるワインに目を向ける。
瓶にはデカデカと『ノンアルコール』の文字が。
こんな物飲んで美味しいのだろうか・・・・
カチンときたボクは「こんなもの・・・!」と言い、瓶の中身を呷る。
「わっ!か、カオル!?」
師匠は慌ててそれを止めるが時既に遅し。
ボクは瓶に残されたノンアルコールのワインを、全て飲み干した。
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