第三十六話 カオルの帰還
カルアまで・・・・『残念美人』に・・・・・伝染病なんでしょうか?
私とカルアは無事『エルフの里』でエルフ王と会い、霊薬『エリクシール』を手に入れた。
もうすぐオナイユの街が見えてくる頃だろう。
大変だった・・・・
行きよりも帰りの方がとんでもなく大変だった・・・・
エルフ王と王妃にお願いされ、なぜかエルフの王女エルミアと帰らなければならくなくなった。
このエルミアがもう、大変なのだ。
初めてあの塚の前で出会った時、私はそこそこ使える戦士なのだと思った。
だが戦闘は出来るかもしれない。
所作からわかる。
問題は・・・頭の中身だ。
エルミアは何も知らない、良く言えば『箱入りのお姫様』だ。
一般常識を何も知らない。
私達が馬を繋いだ場所まで行くと「私も馬を呼ぶ」と言って口笛を吹き、呼び出したのは霊獣『ユニコーン』だ。
私は頭を抱えた。
そんな物に乗っていけば、あっという間に人だかりが出来てしまう。
カルアは呆然として、何も言わなかった。
一歩間違えれば、王家の血を引く彼女もこのエルミアと同じ運命だったからだ。
私はやんわりとその事を伝え、荷物持ち用の馬から荷物を下ろしそれに乗せた。
初めからこの調子じゃ、この先が思いやられる。
私は人の見る目の無さに、ほとほと呆れた。
『ユニコーン』に乗れるくらいだ、乗馬はできた。
だが、少し進んでは休憩し、そして優雅に紅茶を飲み始めたのだ。
どうしたいいのかわからなかった。
行きは、なんとか馬を休めつつ向かい、どうにか2日で『エルフの里』に辿り着いた。
だが、帰りは5日もかかった。
普通に進んでも4日で済む行程が・・・なぜ1日増えるのだ。
はやくカオルに会いたいというのに・・・・
私はホトホト呆れ、注意するのもバカらしくなった。
あと半時も進めば、オナイユに着く。
だがその前に「お茶にしましょう」と、悪びれた様子も無く言い出すのだ。
はぁ・・・・カオル・・・・・
カオルきゅんの匂いをクンカクンカしたい。
もう、私の心は病んでしまっているよ?
早く私を抱き締めておくれ・・・
そしてキスを・・・・
あの夜のように濃厚で甘いキスをしておくれ!
デュフ・・・・デュフフ・・・・・
ヴァルカンが現実逃避している頃、カルアも疲れ果て遠くを見ていた。
はぁ・・・・早く帰らなければいけませんのに・・・・・・
でも、エルフ王が語った言葉・・・・
私がエルフの王族だと言う言葉・・・・
父も母も普通の治癒術士でしたのに・・・・
ああ、でも、これをネタにすればカオルちゃんを私の物に出来るかもしれませんわ♪
「カオルちゃん、実は私、エルフの王族なの♪」
「そうなんですかカルアさん」
「ええ、だ・か・ら、私と結婚すればカオルちゃんがエルフの王様よ♪」
「ボクがエルフの王様ですか!?ステキですね!」
「ええ♪ええ♪それではさっそく、子作りをしましょうね♪」
「はい!カルアさん!」
なんてなんて!
ああ、カオルちゃんったらそんなに激しいなんて♪
あらあら♪
まぁまぁ♪
あらあら♪
両手を頬に添え、ヴァルカンと同じくカルアも現実逃避していたのであった。
「そろそろお茶にしましょう」
エルミアが唐突にそう言うと、馬を止める。
ヴァルカンとカルアは、ぐったりとうな垂れてそれに付き合った。
それからきっかり2時間後、やっとの思いでオナイユの街へ辿り着く。
空はもう夕日が沈み、キラキラと星が輝いていた。
「やっと・・・・着いた」
ヴァルカンはあまりの疲労にぐったりとしていた。
カルアは遠くへ逝ってしまったようだ。
ずっと「あらあら♪」しか言わなくなった。
大丈夫だろうか?
まぁそんなことはどうでもいい。
早くカオルのもとへ行かなければ!
騎士団の詰め所へ行き、馬を返す。
その足で、カオルがいる教会の一室へと入って行った。
中では、相変わらずカオルが身動きひとつせずに眠っていた。
その傍でエリーが甲斐甲斐しくカオルの世話をしてる。
「カオル!」
私は焦りからか強めに声を出していた。
驚いたエリーと目が会う。
エリーは涙を流しその場に座りこんだ。
カルアがエリーに寄り添い、そっと肩を抱いた。
私はカオルに近づき、そっと頬を撫でる。
「待たせたね、カオル・・・・今起こしてあげるからね」
自分でも驚くほど優しい声が出た。
「エルミア様、お願いします」
エルミアを見詰めそうお願いする。
「わかりました」
そう言い、懐からガラスの小瓶を取り出す。
ツカツカとカオルに近寄ると・・・・・
辺りが不意に暗闇に閉ざされる。
「なんだっ!?」
私はそう叫び辺りを見回した。
周りの景色が先ほどいた教会の一室から、真っ暗な空間に変わっていた。
「これは・・・」
エルミアも驚き、周りを見ている。
その時、とても低く大きな声が響いた。
「待っていたぞ」
大きな声が周囲に反響し頭の芯が痺れる。
「だれだ!」
声を出した次の瞬間、カオルが淡く光それは現れた。
30mはあろう体躯に大きな翼を広げ、黄色い瞳をした『ドラゴン』が現れたのだ。
それはまるで、カオル守るように、抱きかかえるようにしてこちらを見ていた。
私達はあまりの出来事に驚愕とし、そして呆然とその光景を眺めてしまった。
「ぐるる」
ドラゴンの鳴き声がする。
「待っていたぞ、さぁその霊薬を・・・・いや、ダメだな。ヴァルカンよ、その霊薬に血を与え幼子に呑ませるのだ」
ドラゴンは私を見詰めそう話す。
なんだ・・・このドラゴンがカオルの言っていた風竜なのか?
「その前に話したい。オマエが風竜か?」
私はいつでも抜刀出来るように愛刀に手をかける。
ドラゴンは、その黄色い瞳を細めこちらをいぶかしげに見詰める。
「そうだ。我は偉大なる風の竜」
風竜はひときわ大きく翼を広げそう語った。
対峙する私とドラゴン。
一触即発の状況で
「お話中失礼します。」
エルミアが話しに割って入る。
どういうことだ?
エルミアは風竜を見詰めて話し出した。
「私は父エルフ王リングウェウより言伝を預かってまいりました。あなた様は偉大なる風の竜王、風竜王ヴイーヴルではございませんか?」
風竜はエルミアの話を聞き「ぐるる」と鳴いている。
風竜王ヴイーヴル!?古代聖典に出てくる神の御使いか!?
このドラゴンがそうなのか!?
「いかにも。我は風竜王ヴイーヴルと呼ばれていた。だが、既に肉体は朽ち果てもうこの世にはない。今はただの風竜だ。」
風竜がそう答えると周りにいた者は言葉を失う・・・・
「我のことなどどうでもいい、この幼子に早く呑ませろ!」
風竜は焦っているのか、捲くし立てるようにそう告げる。
エルミアから霊薬を受け取り、指を噛んで血を垂らす。
ガラス瓶の中でエリクシールと血が混ざる。
風竜に抱えられたカオルに近づき、飲ませようとするが・・・
意識が無いのだ。
このままでは飲むことができない。
一瞬考え、霊薬を口に含むとカオルに口付けをし、直接送り込む。
エリーが「あっ」とため息のような声を出すが、それに意識を向ける事がもどかしい。
眠ったままのカオルの喉が「コクン」と一飲みすると・・・・・・
ドクンッ!とカオルの心臓が跳ねる。
カオルの顔をじっと見詰める。
次第に血色が良くなり、赤みがかってくる。
「あっ・・」
艶かしくいやらしいほど淫靡な声が漏れ、私の情欲を掻き立てる。
こんなときに、なんていやらしい声を出すんだ、カオルは・・・・
悶々とした気持ちを抑え、カオルの顔を見詰めていると・・・
静かに目が開けられる。
愛らしく端正な顔立ちをした目が、私を見詰める。
「師匠・・・?」
ああ、カオル!
よかった・・・・よかった!
「カオル・・・おはよう」
私はやっとの思いで声を絞り出す。
「師匠!」
カオルが私に飛び付き胸に顔を埋める。
ああ!カオルだ!私の愛するカオル!
思いきり抱き締め「二度と離さない!」と声を出していた。
カオルは私を見上げ首に手を回し、そのまま思いきり力を込めた。
あれ?これって・・・
そのまま顔を近づけ唇を奪われる。
「ひゃう」
私は突然の出来事に声をあげてしまった。
って・・・舌が・・・・・カオル!?
「ちょ・・・ま・・・・・ん!」
カオルは執拗に舌を絡め、私を逃がさない。
あれ?これデジャブュ!?
ん・・・・・あ・・・・・・だめだ・・・頭が・・・・おかし・・・く・・・
私はそこで、軽く意識が飛んだ。
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