第二百九十六話 束の間の夜会
夜会。それは女性が煌びやかに着飾り男性は引き立て役としてエスコートする為の催し。
中には将来の相手を見付ける為に血走った目をしていたり、かと思えば穏やかな表情でほくそ笑んでいたり。
大人同士のやり取りはお互いの腹を探り合うなどと実に無粋である。
そして香月伯爵領にある【ソーレトルーナの街】でも夜会を開催する事にした。
『でも』というのは帝都で【エルヴィント帝国】が【イシュタル王国】を称え夜会を催しているから。
悔しい訳では無い。ただ、生徒達の晴れ舞台を用意したかった。
日頃花嫁修業を欠かす事無く勉学に励む彼女達だ。
デザインもなかなか優秀で、教師陣とドレスの縫製も努力した。
その成果を見る為に【カムーン王国】より来賓を招いたのが丁度良いタイミングだった。
な~に、気後れする必要はない。相手が女王だろうと王女だろうと、所詮は同じ血の通った人だ。
幸運にも【カムーン王国】の女王エリーシャ・ア・カムーンも居る。
幸運にも【カムーン王国】の第1王女ティル・ア・カムーンも居る。
幸運にも【カムーン王国】の第2王女エメ・ア・カムーンも居る。
幸運にも【アルバシュタイン公国】の女王ディアーヌ・ド・ファムも居る。
幸運にも【聖騎士教会】の教皇アブリルも居る。
幸運にも【ヤマヌイ国】の姫君、鳳光希も居る。
幸運にも【エルフの里】の王女エルミア・リンド・メネルも居る。
幸運にも【マーショヴァル王国】の王女ローゼ・ハトラ・マーショヴァルも居る。
幸運にも変装して紛れ込んでる女神が2人居る。あと水の精霊王も。
そして、ボクは次期【竜王国】の王様だ。
ほーら、怖くない怖くない怖くないよー。
「ふふふ...."魔神"が抜けているわよ? お兄様♪」
ボクの髪と同じ漆黒色の胸を強調したハートカットネックのドレスを纏い妖艶にしな垂れ掛かる妹ノワール。
一方のボクは純白のドレス姿。もちろんウェディングドレスではない。
背中丸出しのホルターネックのAラインドレス。裾に向かって直線的に広がる形でシャープなラインは身体を華奢に見せてくれる。
そして此処は宮殿にある2部屋続きの食堂。もちろん間仕切りのごとく立ち塞がる壁は柱を残して取っ払った! 土魔法の《建築創造》で!
立食形式の夜会で畏まった場ではない。誰でも話せる和やかな空間。
たとえ中空にヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ及びコントラバスが浮かび音を奏でていようとも、コレは立派な演出で弦楽合奏をしているだけだ。
なにせ管弦楽団にしようとすると吹き手が足りない。風魔法で複数のフルートやらオーボエやらは吹けないのだ。故に弦楽合奏。《魔透糸》で楽々弾けるからね♪
「どうした? フェイ? 何をそんなに悔しがっているんだ?」
「ウゥゥゥゥゥ.....」
ローゼが親友で好敵手のフェイをからかう。
亡国の王女で未来の王妃。しかも実力はかつて剣聖をしていた時の数倍。
不死鳥のアクイラと契約し、魔力でさえもフェイを凌駕している。
悔しいのは当然で、そろそろ止めた方がいいかな?
「こうなったら自棄食いよ!」
「ハハハハ!! 犬の様に喰らうがいい!!」
「犬人族をバカにするなー!」
「クククク!! 聞えんなぁ?」
「ガルルル!!」
なんだかんだ言いつつ仲良いなぁ。放っておいて平気か。
ローゼもドレスを着てくれた。真紅の薔薇をイメージしてボクが作ったマーメイドラインのドレスを。
何時かの夜会以来だね。そして約束を守ってくれた訳だ。うんうん、綺麗だよ? ローゼ。
「「.....」」
こっちは険悪だねぇ。ティルと光希よ。睨み合うな! 火花が見えるよ!?
「カオルちゃんはなんでもできるのねぇ♪」
「そうね。本当に器用で....頭も良くて実力もあってこんなに巨大な都市を持つ国王ね」
「うふふ♪ 【アルバシュタイン公国】の復興も近いかしらぁ?」
「いいえ、それはまだよ。私が女王足る資格を得るまで、カテリーナが公国民を集めてアーシェラが領地で保護してくれてるから」
「そうなのぉ♪ 大変ねぇ♪ いつでも頼ってくれていいのよぉ♪」
「ええ...その時は"お願いする"わ....」
「うふふ♪ 立派な女王ねぇ♪」
だろうね。他国の女王に『お願いする』なんて普通口に出来ないから。
交渉事を優位に立ち回るつもりなら同格でなければいいようにされて終わる。最悪乗っ取られる。
ディアーヌは『僻地だから大丈夫』と踏んだのか、エリーシャの人柄を認めての発言か。まぁ後者かな?
そもそも復興に力を貸すとボクが約束してる。今なら一瞬で城が建ち、防壁を備えた都市が建設出来る。
まぁディアーヌから『お願い』された時に行動へ移すよ。それまでボクは待つ。彼女が自分を認められる時を。
「ごはんにゃごはんにゃ美味しいにゃ♪」
「猊下! はしたないですよ! ほら、せっかくカオルさんが作って下さった服に染みが!」
うん、こっちは平常運転だ。ファノメネルの心配は無用なのだよ?
そーれ《浄化》っと。
「ふふふ...甘いんだから。私」
「染みを気にして食べられないよりはいいんじゃない? ペットだし」
「どういう意味で『ペット』なんて口にしてるのかしら?」
「さ~て? どういう意味だろうねぇ?」
「ふふふ....」
「ハムハム」
ノワールは何でも押し付けようとするねぇ。ん? ハムハムさんを気にしてはいけません。
エルミアはボクの願いを叶えた報酬を得ているのです。神なので髪は唾液程度へっちゃらです。
「ん!」
「(コクン)」
「ああ、申し訳ございません。エメ王女様」
「? フランチェスカも王族」
「そう...なるんですけど....」
「お姉ちゃんは自信が足りない。胸も足りなかった」
「い、今は大きいもん!」
「アイナもエメも大きくなる」
「(コクン)」
馴染んでるなぁ...エメ。アイナと仲良さそうだ。同い年の10歳だからね。
お姉ちゃんのフランが手を焼いてる様に見えるけど――オレリーお義母様が頷いたから平気か。
いや、若返ったからって近づいて来なくていいです。『母子共々』は勘弁して下さい。フラン~? 出番ダヨー!?
「おかーさん!!」
「....ちょっとくらい、いいじゃないのさ」
「そうさね! 義母子の他愛も無いスキンシップじゃないさね!」
「メリッサさん!」
「よしとくれよ。メリッサでいいさね」
「メリッサ! 今夜は飲むよ!」
「そうさね!」
一瞬で仲良くなったね? ボクとしては嬉しいけど。
しかし飲むねぇ....メリッサ。さすがドワーフ。頼もしいよ。
「おねぇちゃん。恥ずかしいよ...」
「あらあら~♪ と~っても似合ってるわよぉ♪」
「はい! カオル様の縫製は寸分の乱れも無く丁寧ですからね! それにデザインも私と違って斬新でいつも驚かされてばかりです!」
「ボクはアーニャの作る服が好きだけどね? 白い騎士服を見た時に一目惚れして買ったくらいだし」
「か、カオル様....」
「ちょっと! 私も褒めなさいよね! せっかく頑張って着たんだから....」
「あはは♪ 照れたエリーも可愛いよ? それに良く似合ってる。赤い髪に黄色いドレス」
「そ、そう? ならいいんだけど....」
「カオルちゃん~? 誰か忘れてないかしら~?」
「カルアは美人。包容力もあって比べるべきじゃないから敢えて言わなかっただけだよ? ね? 聖女様♪」
「もう~♪ 煽てるのが上手いんだからぁ~♪」
本当に美人だからね。胸が大き過ぎて青いドレスを作るのが大変なんだよ。
いっその事、布一枚のドレープにして肩で吊るしてしまおうかと思うくらいに。
「それで? その服がアーニャの新作かな?」
「は、はい! どうですか?」
「ん~....いつもならもっと大胆なデザインで、立体裁断に優れたアーニャはフリルもふんだんに使うはずだ。もしかして、あの子達に合わせた装いなのかな?」
視線を移しあの子達――生徒のアリエル達へ。
アーニャと同じワンピースドレスを基調に彼女達なりにアレンジした装い。
リボンを巻いたキャノティエや、レースのお袖留め。カチューシャにヘッドドレスと実に個性的。
縫製自体はまだまだだけど、今後が楽しみな感じ。
そしてやっぱりアーニャの作品は『秀逸』の一言。
今回は刺繍に拘ったのかな?
「格子ドロンワーク。見事だね」
「あ、ありがとうございます! ちょっと熱が入っちゃいました....」
「普通に縫うと大変だからね」
なにせフィリング・ステッチだ。小さな四角をいくつも作り、残った織り糸をかがったり、織ったりして、バーの形に刺繍する。
手間隙掛けて作り出される幾何学模様。ボクが作るとしても熱中するのは仕方が無いよね。
「....料理の次は服作りよね」
「いや、エリーは先に座学だよ。魔闘技術と一緒にね?」
「うん....」
「カオルちゃんは手厳しいわぁ♪」
「エリーは『第1級冒険者に成る』って言ったからね。ボクは応援するし手助けもする。産まれて来た子に恥じない女性になってほしい」
「が、頑張るわよ!」
「あらあら♪ おねぇちゃんも負けていられないわぁ♪」
「私もです! カオル様の為に頑張ります!」
「頼りにしてるよ。大切な家族だからね」
なので、そろそろハムハム止めませんか? もう少しだけ? わかりました。
エイネちゃんはフェリスと再会して喜んでるし、ソファアもながーいお話を生徒達としてるし、エルザは何故壁に向かって話し掛けてる....酔ったのか? ありえないけど放置しよう。
ルルは傍で警護中。グレーテルはアイナとエメへ突貫して和み始めた。小さいからのぅ。
ちなみにセシリア達と朱花は呼んでいません。そもそも第1防壁に入れるのが暗部の薊達のみだから。
まぁそれぞれに酒宴をしている。オルブライト邸や朱花の宿舎で。
もちろんマリアが視てボクがスフィアで観察中。
燃え尽きてたオルブライトも復活したよ? マリリンさんの"改心の一撃"で。
いやぁ、見事だったね。助走を付けてからの胴回し蹴り。アレは格闘術を齧ってますな! 空手的な何かを!
なるほど。セシリアを王立騎士学校へ通わせた理由も察しが付いた。危険だからねぇ....そういえば、来月に野外訓練をするんじゃなかったかな? コレは是非参加せねば。留学中の身だし? 休学中だけど。
朱花のみんなは....うん、女性だけの集団は恐ろしい。
ボクが与えた衣服一式の他に宝飾品やら日用品やら買ってきたのか。
そして必需品を取り合いに....ジャンケンからのハリセンアタック。避けられないと品物を取られる。
直接的に殴り合いできないからハリセンなんだ。正式に暗部所属の薊達5人の速度が....アッ! 八千代が気絶した。
「薊よ」
「ハッ!」
「ハリセン使うなら気闘術禁止」
「「「「「エッ!?」」」」」
「わかった?」
「は、はい! もしかして視ていらっしゃるのですか?」
「うん。和装、洋装用の下着も明日渡すよ。だから取り合いしないように」
「「「「「御意っ!!」」」」」
「じゃぁそういうことで」
パパっと終わらせ溜息ひとつ。
サラシじゃダメだったか。人形君に頼んでサイズを計りに行かせよう。
ボクが行くとこの家族達は怒るからね。現在進行形で小言を呟いているもの。
でもさ? そもそも『服くらい作ってやったらどうだ?』って言い出したの家族じゃん?
服のカテゴリーに下着も含まれるはずだ。
故にボクは抗う! 徹頭徹尾ボクは悪くない!
「さぁ! ハムハムエルミア踊ろう!」
「ハムハ――はい! 踊ります!」
「ハハハハ♪」
そうして誤魔化しみんなと踊る。
ローゼを始めエリーにカルア、フランにアイナと。エメやディアーヌ辺りに交代してから気付いた。
この場に男はボクしかいない。
カイはメルと2人きりでお楽しみ中。
つまり、ボクはたった一人で全員と踊らなければならない訳だ。
ノワールが不敵な笑みを浮かべていた時点で気付くべきだった。
でも仕方が無い。こうなればフェイじゃないけど自棄だ。
『蜃気楼の丸薬』を飲み《聖闘衣》でタキシード姿のカルロへ変身!
もう一度エルミアから踊りなおして全員と踊る。
基本的にベニーズ・ワルツを。踊りやすいからね。身長も高いし《魔透帯》で身体を持ち上げられる。
ところで『貴公子』って呼ばれてるんだけど、ボクもうすぐ王様なんだよ?
高貴な家柄の男子。貴族の子弟。どちらでもないんだが....いや合ってるのかな?
どうでもいいか。なんとでも呼べばいいさ!
オレリーお義母様とファノメネルは密着し過ぎ!
スローフォックストロットでゆったりした曲調に合わせるのは良いけど胸を押し付けるなー!
そしていつの間にかボクの演奏をノワールが代わってた!?
《常闇触手》で弦楽合奏を!? 見た目がちょっと怖い。
え? ウッドベースを出せ? 持ってる楽器を全て出せ? なんでこっそりメルに頼んでラメル商会から仕入れた品物を知っているのさ!
ああ、ボクだものね。記憶も知識も共有してるものね。はいはい。ご自由にどうぞ。
「....クイックステップが踊りたいの?」
「うふふ♪ そうよぉ♪」
エリーシャからのお願いです。
ボクが以前レオンハルトとベルから見て教わったのは、ウインナー・ワルツ、フォックストロット、スロー・ワルツの3種のみ。
他は知識があるだけで踊れません。それでも踊れとおっしゃる女王。
はいはい。《雷化》使って読みながら勉強しつつ踊りますよ~....
クイックステップは、細かいリズムを足で刻み軽快に飛んだり跳ねたり走ったりするダンス。
ノワールもノリノリで弾いたり叩いたり歌ったりと....むぅ。
香月家の男子として負けてられないね! 長男だもの! 兄だもの!
「....今度は何さ?」
「主君! ルンバを是非!」
「ヘルナは何故ルンバを知っている」
「なんや? 【イシュタル王国】で憧れる踊りなんやで? 知らんのかいな?」
「そうやで~?」
「乙女の憧れ」
「そ、そうなんだ」
当主呼びから薊達と同じく主君呼びに変わったアマゾネス達。
家臣の頼みならば答えねばならぬじゃろう。おじぃちゃんガンバル! 粉骨砕身!
愛と情熱の踊り。それがルンバ。
ラテンアメリカン5種目のひとつで、ゆったりと男女の切ない恋物語をダンスで表現。
大人の踊り。『好きだけど嫌い。でも...離れられないの....』みたいなそんな――
既成事実を作るつもりか!? 策士だ!! いや、ただの踊りか。でも『乙女の憧れ』ってサラがさらっと言ってたような...
「はぁ...で?」
「ジャイブを」
「乙女の憧れはどこへ行った!?」
「ジャイブを!」
「はいはい」
アガータとイザベラとも踊り終え、サラの番になったらジャイブだそうです。
完全にラテンアメリカや。そしてノワールがJAZZを歌い始めたんだけど....お母様と歌声がソックリだ!!
ジャイブはスイングという振り子の様な運動を利用して踊るダンスで、足を蹴り上げて跳ねるように踊るのが特徴的。
陽気なアメリカンダンスだね。で、楽しいんだけどノワールさんのウッドベースが本領を発揮されています。
重低音がズンズン響く。ピアノも触手がこれまた器用に弾いて....
「シャル? なんだって?」
「ですから、パソドブレを!」
「闘牛士なんて居ないよね?」
「なんですかそれは?」
「いや、なんでもないよ」
旅行好きのシャルからお願いされたパソドブレ。
スペインの闘牛とフラメンコをイメージしたダンスで、勇敢で誇り高い闘牛士の踊り。
居ないはずの闘牛士...そしてノワールがトランペットを吹き始め....木製の打楽器、体鳴楽器のカスタネットを触手が....
「カッコイイな」
「そうね!」
「カオルちゃん男前なのぉ~♪」
「はい。未来の夫ですから」
「ご主人様....」
「ご主人!」
「(コクン)」
「あの黄色い瞳がまた美しいです」
「ええ...姿は言うまでもないわね」
「あらあら~♪ カオルちゃんは凄いわねぇ♪」
「主様...」
「ローゼ...この怨みはいつか必ず....」
「カオルさんったら、胸を押し付けただけであんなに喜んで」
「大人の魅力で攻めればイチコロよ」
「なんさね? オレリーは本気さね?」
「母娘共々、ね...」
「そりゃまた凄い事になりそうさね」
「美味しいにゃ♪ 美味しいにゃ♪」
「ああ...なんて素敵な姿に....」
「面妖な....ですが見惚れてしまいます...」
「天音も....あの手に触れられたら....」
「マスター! 次はルルと!」
「ムニャムニャ」
「オーホッホッホッ! ワタクシもですわ!」
「その、なんだ。俺もな?」
「...フラウも」
「マリアもです」
「「「「主君! 私達もお忘れなく!」」」」
まさかのマリアまで来ちゃって...いや、順番に踊るからルイーゼ達の事を忘れてないよ。
アブリルはまぁネコだしグレーテルもよく寝る子だし。光希達にばれたけど問題はないかな。
ファノメネルとオレリーお義母様は本気でどうにかしないと....予防注射的な何かありませんか!?
「これは....強敵揃いよ....」
「アリエル! 弱気になっちゃだめだよ!」
「私達も並ぼう!」
「アトラお姉ちゃん...うん!」
「そうだね!」
「では私達も」
「そうね? 何せ王妃様方は私と同じエルフが多いんですもの....」
「ケレブリン....あなた....」
「もう乗り越えたのよ。だから平気。ディニエルこそどうなのよ?」
「...大丈夫。みんなも同じだし。一人だけウジウジしてるのもバカらしいもの。
お父さんもお母さんもお兄ちゃんもきっと『前を向きなさい』って励ましてくれるから」
「そう....私も....アイツの分まで楽しく生きてやるわ。じゃなきゃ誰も報われないもの」
「2人共....」
「だから、アリエルも一緒に行くわよ!」
「そうよ! いつものお礼をしなきゃね!」
「だいたい、アリエルが行かないと私達行けないし!」
「そうだよー?」
「イレイミーまで....」
「ほらほら! さっさとする!」
「うん!!」
「そんな健気な子供達にエイネちゃんからアドバイスをひとつしてあげましょう」
「「「「「アドバイス?」」」」」
「男はね? ギャップに弱いのよ?」
「エイネちゃん!? まさか!!」
「普段と違う自分を曝け出して演じてみなさい? そうすれば――」
「「「「「勉強になります!」」」」」
いやそんな勉強しなくていいから。手玉に取ろうとするなー! エイネちゃんは碌な事しないね!? フェリスもノリノリか!
ヤメロー! 朱花の房中術並にヤメロー! そんな恋の駆け引きを教えるなー! まだ早いから! 先に花嫁修業だから!
そういうのは最後に教えるから! そしてボクに夢中になるのをやめなさい! 大お見合い会をセッティングするからね!?
ちゃんと恋をして幸せになる約束でしょう!? ボクはもう手一杯です! 限界破裂です! ひぇぇぇぇ....
夜会は未明まで続き、気付けば人形君達とも踊っていた。
イルゼ達が職務を全うしていたのが印象的かな.....いや、途中で踊っていた気もしなくもない....女神の2人もこっそりと....解散した後ウンディーネとロキも居たような....
薊達が居なくてよかった。セシリア達も誘わなくてよかった。しばらく宴は結構です。とか言いながら建国宣言後にやるんだろうなぁ。
「さてと、踊りませんか? レディ」
「ふふふ....喜んで♪ お兄様♪」




