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第二百五十四話 第九幕

 諸々の約束――強引な契約――を取り付け、光希達と合流したボク。

 魔剣ソウルイーターは隠し戸棚へ仕舞い、ボクの本体が動けるようになったら改めて【城塞都市アヌブルグ】を訪ねる事に。

 もちろん、ハリアーシュの"右手の呪い"もその時に癒す。

 ノワールの肉体で聖魔法なんて使えないからね。


 で、ハリアーシュの屋敷を出たところなんだけど....


「「グルル」」

「「クワァ」」


 2頭の幼竜クロとアカ。

 それと鷲獅子(グリフォン)のファルフに、魔鳥が1羽。

 じゃれあってるんだろうけど、規模がヤバイ。


 体躯20m近いドラゴンが飛んだり跳ねたり....

 ファルフなんか、魔鳥と空中で追いかけっこしてるし....

 地響きが凄いし、庭が削られて――何してるのかな?


「いやぁ、壮観ですな!」

「ええ、まったくです」


 背中に両手斧(ポールアクス)を携え、鋼鉄鎧(キュイラス)を纏ったドワーフの男性。

 その隣で、腰に片手剣(ロングソード)を帯剣し、騎士盾(カイトシールド)を背中に装備し、豪華な板金鎧(プレートアーマー)で着飾ったエルフの男性。

 見覚えがあるなんてものじゃなく、ボクの友人、赤火騎士団長アドルファス・ラ・レムル伯爵と、赤石騎士団長ベート・リ・ポージュ子爵その人だった。


「....何してるの? アドルファス。それと、ベート...で、合ってたよね?」

「これは香月伯爵! ふむ、暗部の者達の言う通り、事前に説明されねばわかりませんな!」

「ええまったくですね。ですが――面影はあるかと」

「確かに...輪郭に柔和な顔付き、間違い無く我が友、香月伯爵だな!」


 「ハッハッハッハ!」なんて声を合わせて笑うおじさん2人。

 ボクは何をしてるのか聞いたんだけど、なんなのさ?


「いやぁ何ですな! はっきり言って、我々に戦争をする気なんて無かったものでな! 香月伯爵が解決してくれるとは、まさしく晴天の霹靂(へきれき)ですな!」

「まったくですね。」

「そうなんだ?」

「ええ、砂漠の王国なんて、我々に不要な代物ですからね。おかげで早く息子に逢えますよ」


 まぁそうだよねぇ。

 【イシュタル王国】は、砂漠以外にコレと言った資源なんて無いもんねぇ。

 せいぜい『オムニスの地下迷宮(ダンジョン)』くらい?

 アレもさっさと踏破して、"偽りの火竜王バハムート"を()(たお)さないと。


「さてっと! それでは時間が無いのでボクはこれで。行くよー? クロ! アカ! ファルフ!」


 ボクの呼び声に答え、じゃれ合いを止めてバッサバッサと飛んで来る2頭と1羽。

 ブレンダが連れてきた魔鳥も一緒に来ちゃって...どうしよう?


「では、行くとするかのぅ? カオル?」


 後ろから聞こえた声。

 振り返る必要も無くブレンダだった。


「はいはい。一緒の方が説明しなくて済むし助かるよ」

「じゃろう?」


 ホビットの小さい身体で妖艶に笑うブレンダ。

 可愛いとは思うけど、大人の魅力は皆無だよ?

 少しはローゼを見習ってみたら?

 寝起きとか凄いから。


「それじゃ、またね! アドルファス! ベート!」

「またの! 我が友! 香月伯爵」

「ええ、お気を付けて。それと、ありがとうございます」


 豪快なアドルファスと、腰巾着――何故かそう見える――のベートに別れを告げて、ボク達は【城塞都市アヌブルグ】を飛び立った。

 屋敷の2階の窓からハリアーシュが手を振っていたから、振り返して。

 約束は守るよ! クローディアにもお願いされたしね!




















 で、【カムーン王国】の王都へ向かって飛んでいるんだけど...


「やっぱり演出は必要だと思うんだ!」


 突然――ではないけど、ボクはそう提案した。


「あの...カオル様? 意味がわからないのですけれど...」

「えっと...私も...」


 困り顔のルチアとルーチェ。

 そりゃボクも変な事を言ってるってわかってるけど、アスワンの知識ではそういった演技とかもすると良いって...

 お父様も、『相手に侮られない様にするには、過剰に演出するのも手だぞ?』って教えてくれたし。


 ちなみに、ファルフ組は、ボクと、ルチアと、ルーチェに、くノ一の薊達5人。

 【カムーン王国】が誇る魔鳥組は、ブレンダと、光希と、千影と、天音。

 なにやら千影姉妹がブレンダを凄腕の武人として慕ったらしく、例のご高説を拝聴してる。

 光希も微笑ましそうに和んでるけど、ボクの予想だとブレンダ並に光希も強いんじゃないかと踏んでる。

 だって、あの扇子(せんす)...鉄扇(てっせん)だよ?

 しかも、なんかやたらと大きいし。どんだけ重いかわかんない。

 近接格闘にあんな武器を選ぶとか、普通じゃないと思う。


 重量=攻撃力 なんだけど、ボクとローゼは軽さを重視した戦い方をしてる。

 軽量=速度  だから、手数の多さと認識出来ないスピードで相手を翻弄するのがローゼ流の戦い方だ。

 もっとも、軽量の魔法霊銀"白銀(ミスリル)"が有るからこそ出来る戦闘術なんだけど。


「それでね? まぁ、まだ秘密にしておいて欲しいんだけど、ボクは国を興す。そうしなければならない理由があるからね」

「「エッ!?」」


 驚くルチアとルーチェ。

 薊達は頭巾でわからないけど、無言を貫いて耳を傾けている。

 【エルヴィント帝国】の皇帝アーシェラ様の私兵である、ルチアとルーチェに何でこんな秘密を打ち明けているかと言うと、試しているから。

 この先、ボクがやろうとしている事に、この2人の力は必要になると思う。

 と言うより、各国が軍事的にも国力を上げて貰わないとどうしようもない。

 "ヤツ"を引き摺り降ろすんだから、追随して"部下"も降りてくるはずだから。


「と言う訳で、秘密ね? それと、現状で【エルヴィント帝国】、【カムーン王国】、【聖騎士教会】、【エルフの里】、【イシュタル王国】、【アルバシュタイン公国】の6大勢力は、ボクに返しきれない大恩があるからね。

 ついでに言うと、【ババル共和国】も【ヤマヌイ国】もボクに従わざるを得ない状況に為るよ?」

「「「「「っ!!」」」」」


 目に見えて目の色を変えた薊達。

 鎖国状態の自分達の国まで何かが起きるなんて、思ってもいなかっただろう。


「それと――薊達が受けた密命? ソレ、もし行動に移したら【ヤマヌイ国】を潰すから」


 怒気を込めて目を射抜く。

 ボクにばれているなんて思わなかったはず。


「...いつ、お気付きに?」

「最初に会った時から」

「左様でございましたか...」


 くノ一の忍者から連想される言葉。

 それは当然、"暗殺"だ。

 そして、国主の娘でお姫様の光希がボクに固執する理由。

 ソレ自体は謎のままだけど、ボクに『輿入れする』なんておかしすぎる。

 要するに、ボクの子供が欲しいんでしょ?

 そういう事情なら、ボクの弱味を握って拉致監禁なりの手段を考えてもおかしくない。

 それに、ボクの弱味なんて、ローゼ達家族以外に考えられないもん。

 だから、薊達が受けた命令は、"暗殺"で正解。


「ご、ご慧眼、誠に感服いたしました」

「そんな動揺も世辞もいらないから。ボクの名に誓い、"言う事を利いてくれる"ね?」

「...御意に。我等、風牙衆くノ一が朱花。香月カオル様にお誓い申します――グッ!?」


 宣言した直後に胸を押さえ身悶える5名。

 ルチアとルーチェが慌てるも、ボクは平然と見ていた。


「ん。"無事に"誓いは果たされたね」

「か、カオル様...い、いったいなにを...」


 身に起きた謎の苦痛。

 一時的にうろたえるも、すぐに平常心を取り戻し、身体の苦痛も消えただろう。

 彼女達は誓った。

 "言う事を利いてくれる"ってね。


「なんて事は無いよ。薊も、香澄も、小夏も、早苗も、柚も....朱花に属する全てのくノ一が、ボクの物に成っただけの事だよ」

「そんなばかな!?」

「いいや、"そんなばかなこと"がボクには出来るんだよ? ちょっと強引だったけどね。

 でも――安心していいよ? ボクは君達を虐げるつもりも無いし、無理難題を押し付けるつもりも無い。これから先、"今まで通り"光希の護衛を続ければいい。

 ただね? 草とか奴隷とか、そういう風習が大嫌いなんだ。だからさ? ボクの下で幸せを模索して欲しい。身体だって治してあげるし、どうしても嫌なら開放してあげる。

 ボクの国に来ればわかるけど、住んでいる子達は悲惨な思いをして奴隷の一歩手前まで落ちてしまった。

 傲慢だってわかってる。身勝手だって知ってる。それでも――ボクは自分の手が届くなら、救って欲しいと願う人の手を握り返してあげたい。

 【アルバシュタイン公国】でも、【イシュタルト王国】でも、ボクは間に合わなかった。

 だから、せめて――薊達が心の苦しみを抱いているなら、ボクに出来る事をさせてくれないかな?」


 目を見詰め、自分の想いを吐露する。


 散々後悔した。

 今話すのだって躊躇った。

 だけど話しておかないと――間に合わなくなってからじゃ遅いから。

 叶えてあげられなかった沢山の想いが、ボクの肩に乗ってる。

 ボクはそう感じたから、話したんだよ。


「....我等、には。掟が、あり...ます」

「そうだろうね」

「...草として...やらなければ...いけない事が...あるんです」

「うん」

「草は、影で....人知れず...死に逝く定め....幸せなんて望んでいけないと...そう....教えられて...育ったんです」

「....でも...ほんとうは...」

「子供を...産んで...」

「家庭に入って...」

「お乳をあげて...」

「だけど...."こんな身体"では...」

「...それなのに」

「いい、のでしょうか?」

「わたし、たちが」

「...じあわ"ぜを...ねがっで....も...」


 咽び泣き、ボクの質問に答えてくれた。

 薊達も女性だもんね。

 子供を産んで、幸せな家庭を築きたいって想うのも、当然だよ。

 だから、良いんだ。もう泣かないでも。


「ありがとう。大丈夫。ボクが護ってあげるから。風牙衆の事も、【ヤマヌイ国】の事も心配要らないよ? それに、他の朱花の子達も、願うなら手を引いてあげる。だって――」


 薊と香澄の手を取り握る。


「――ボクがいつも見てるから」


 白髪から黒髪へ。

 赤目から黒目へ。

 ボクの本当の身体を模写し、液状生命体(スライム)のノワールの姿を変化させる。


「あなた...さま...が...」

「見た目だけ、だけどね? ボクが香月カオル。今日から君達の主だよ」


 そっと抱き締め涙を拭う。

 今はソレが精一杯。

 だから待ってて。

 君達の幸せは、ボクが叶えてみせるから。


「「「「「御意!」」」」」





















 大森林にポッカリと空いた空白地帯。

 背面に大きな崖を背負う【カムーン王国】の王都。

 深緑の城と比喩されるその城内で、慌しく歩く家臣達が大勢居た。


「なんだ。獣臭いと思ったら、お前か。エウセビオ」

「ああ、確かに臭いな」


 不敵に笑う人間(ヒューム)の男性2人。


 派手な赤い正装姿に、無駄に豪奢な金糸銀糸の刺繍。

 悪態を吐いて椅子へ座るも、2人の悪口は止まらない。

 周囲で苦言を呈したくても言えない貴族達は、その2人よりも階級が低かった。


「まったく、困ったものだ。"女王陛下"には」

「そうだな。"他国の伯爵"なんぞに入れあげおって。噂では"寝所にまで"入り浸ってると聞くぞ?」

「呆れて物も言えぬな、それは」

「そもそも、次代の第一王女にも困っておるというのに」

「そうよな。我が侭で奔放過ぎるという。亡くなられた、エイブラハム王が不憫でならん」

「うむ。第二王女は話もせんからな」

「だな。"我が王国"の危機だというのにな!」


 言いたい放題の往年の2人。

 名をセリオ・ラ・パニル侯爵と、リエト・ロ・ターニ侯爵と言う。

 それぞれ法衣貴族で、内務大臣と、外務大臣を勤め、先の内乱で自滅した宰相オルランド・ベ・ニタールの椅子を狙っている。

 内心、棚から牡丹餅程度に浮かれているのだが、他の貴族家からは嫌悪される存在であった。

 なにせ傲岸不遜(ごうがんふそん)で部下の信頼も薄く、先代に比べて遥かに劣る才能である。

 それでも貴族家の繋がりは面倒なもので、侯爵の2人は寄り親として、数多くの寄り子から無理矢理支持を得ていた。


「それにしても、今回の徴集は何事だと言うのだ?」

「フフフ...ついに"我等の時代"が訪れた。というところだとよいのだがな?」

「何か聞いておらぬのか? エウセビオ」

「...いえ、私は何も」

「まったく使えない奴だな」


 肩身の狭い思いをしている猫人族の青年。

 彼は女王エリーシャ・ア・カムーンの肝煎りで今の役職――事務次官――を得て各大臣の補佐を行なっている。

 元々は市井の出自で才能を買われたのだが...【カムーン王国】でも、"人間(ヒューム)至上主義"は根強く残っており、獣人の彼は格下の扱いをされていた。


 そして、彼の他にも政務次官としてバスコという名のホビットが雇われていたり、他種族の有能な人材を王制へ多数参加させていたのだが――


「やれやれ、ようやくお出ましか」

「まったくだな」


 王城の一画に設けられた大講堂。

 半円状で貴族を見下ろせる中心に、真っ赤なドレス姿のエリーシャが姿を現す。

 形式的に臣下の礼を取ったセリオとリエトも、野心丸出しの鋭い目付きでエリーシャを見据えていた。


「あらぁ~♪ 今日はい~っぱい人が集まったのねぇ~♪」


 飄々とした態度で能天気な間延びした声。

 場にそぐわぬ様子に初めこそ苛立ちを感じたが、"アレが女狸の手"なのだと誰もが知っている。

 なぜなら――王位に就いたその時から、【カムーン王国】は過去に類を見ないほどに激変したのだから。


「それじゃぁ~♪ あとはフェイちゃんにぃ~♪ まかせるわぁ~♪」


 エリーシャの隣で佇んでいた犬人族の女性。

 騎士であり、剣士として類稀なる才能を持ち、若くして剣聖の座を任命された強者。

 そして政治にも明るく、その手腕は留まる所を知らない。


「では、恐れながら...此度の徴集は【イシュタル王国】の動向から――」


 淡々と行なわれる質疑応答。

 【イシュタル王国】の派兵は時間の問題だとか。

 アバーテ・ヌ・ボローン騎士爵領で大規模な山火事が発生したとか。

 エトムント・ロ・ボーデ騎士爵領で魔物が大発生したとか。

 クストディオ・ル・ラーデ辺境伯から鉱山の工夫補充依頼だとか。


 待てど暮らせど、セリオと、リエトの望む、"宰相の任命"については語られない。


「次に――」

「「お待ち下さい!」」


 とうとう痺れを切らした2人が、同時に声を荒げる。

 王都在住の彼等にとって、地方領主の嘆願などどうでもいい。

 ただ、自分達の野心さえ叶えば、それで全て納得するのだから。


「...なんでしょうか? パニル侯爵。ターニ侯爵」


 一瞬ニヤリを口角を上げたフェイ。

 "こうなる事"を知っていたかのように。


「永年の敵対国家、【イシュタル王国】が不穏な動きを見せている今こそ、我が【カムーン王国】には"宰相"が必要ではないですかな?」

「奇遇ですな? 私もまったく同じ事を思っておりましたとも」


 したり顔のセリオとリエト。

 門閥の貴族がそそくさと視線を落とし、他閥の貴族が忌々しく睨む。

 先の内乱で多くの貴族家が改易などの憂き目に合い、襲爵(しゅうしゃく)された新顔も多い。

 その中で古参の2人が我が物顔で大きな面をしているものだから、余計に目立ってしまっていた。


「なるほど。地歩を固める必要がある、と?」

「まったくもってその通りだと思われますが?」


 厚顔無恥(こうがんむち)で有頂天な者程、面白いくらいに掌で良く踊る。

 あまりにも"こちらの筋書き通り"に事が進むもので、ついついフェイは笑いそうになってしまった。


「...女王陛下。いかがいたしましょう?」

「そうねぇ~♪」 


 一礼しながらほくそ笑む。


 もう全て決まっているのだ。

 宰相が誰であるか。パニル侯爵と、ターニ侯爵の末路も。


「ところでぇ~♪ こんな物があるんだけどぉ~♪」


 ヒラヒラと数枚の羊皮紙を振って見せるエリーシャ。

 その手に持っている物は、未発掘のはずの鉱山の収支決済書。

 クストディオ辺境伯の領地にあり、"何故か"セリオと、リエトの紋章(きしょう)(いん)が押印されている。

 そうしてそれらを壁際に控えていた赤樹騎士団長のエーファと、赤衣騎士団長のイーナが貴族達に見せて回り、最後にセリオと、リエトが凍り付く。


「どういうことかしら~?」

「し、知らん! 私はこんな物など知らんぞ!」

「ぬ、濡れ衣だ! 私がこんな事をするはずが!」

「そんな言い訳が通用すると思っているのですか? 紋章(きしょう)(いん)は、貴族にとって命にも等しい物。そして――」


 さらに数枚の羊皮紙を取り出したフェイ。

 そこには内務大臣のセリオが、政商達から巻き上げた金銭授受の明細と、外務大臣のリエトが外交時に公費を着服した金額が記されていた。


「これだけの証拠を前に、まだ言い逃れをするつもりですか?」


 逃げ場も無ければ、救いを求める相手も居ない。

 そうしてエリーシャがダメ押しの一言、「勾留ね♪」と締め括った。


「グズグズするな!」

「貴族の面汚しめ!」

「報いを受けろ!」


 顔面蒼白のセリオと、リエト。

 衛兵に牢屋へ連れて行かれるまで、門閥の貴族が口汚い罵声を浴びせ鬱憤を晴らす。

 むしろ、新顔の貴族ですら汚い物でも見るかの様に蔑み、誰も同情しようとしなかった。


「それで、エリーシャ? この後は?」


 喧騒の大講堂に、声高な声が木霊する。

 見ればいつの間にかそこに1人の少女の姿が。


「もちろん、宰相を決めるのよ~♪」


 少女の質問に軽く答えたエリーシャ。貴族達に戦慄が奔る。

 なぜなら、【カムーン王国】の女王陛下に対し、敬語も使わず不遜な態度をとっていたのだから。


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