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第二百ニ十三話 留学の前に その六


 ディアーヌの部屋を辞した後、城門へと向かう最中に剣騎のセストとレイチェルに出会った。

 2人はボクの髪を見て驚き、どうしたのと聞かれたけど、「街を歩く時様の変装だよ」とはぐらかしておいた。


 そして、なぜか感謝された。


 聞けば、ボクのおかげで白銀(ミスリル)の武器をアーシェラ様から下賜される事になったみたい。

 別にボクのおかげでも何でもないのにね?

 大体、誉れ高き剣騎の2人が、いつまでも鉄製だか鋼鉄製だかの武器っていうのもどうなんだろう?

 今は鍛冶ギルドに依頼してて、近々2人の手元に届くらしい。

 なんでも、高名な鍛冶師が作ってくれているそうだ。


 もしかしたら、ボクの知り会いかな?なんて思った。

 

 オナイユの街に居る鍛冶師のレギン親方は、エルヴィント帝国では有名らしいしね。


 簡単な挨拶をしてセストとレイチェルと別れ、ボクは城門を抜けて『雷化』の魔法を使った。

 向かう先はボクの家。

 領地に造ったソーレトルーナの街。

 ちょっと恥ずかしい命名だけど、ボクは気に入ってる。

 なんたって、ボクの名前から1字取ったくらいだしね♪


 あっという間に宮殿前へ帰ると、丁度馬車が2台第1防壁前に到着したところだった。

 続々と降りてくる人々。

 

 ん?続々と?


 おかしい....

 今日は、オレリーお義母様とイライザとレーダの3人だけが来るはずだ。

 なのに、どう見ても8人は居る。

 遠目でわかるのは、帝都冒険者ギルド長のエドアルドさんだ。

 真っ青なコートを羽織ってるからわかりやすい。

 隣のホビットと猫耳族の女性は、イライザとレーダだよね。

 ん?

 奥の女性達は、なんで全員メイド服着てるの?

 1人はオレリーお義母様だろうけど....

 あとの4人は誰?


 『雷化』したまま光速移動し第1防壁前へと移動する。

 落雷の衝撃音に全員驚き、『雷化』を解くとボクの銀髪を見てまた驚かれた。


「いらっしゃい♪」


「か、カオルさんでしたか....驚きました....」


「ごめんね?丁度みんなが見えたから――」


 そこでようやく気付いた。

 オレリーお義母様の周りの女性は、迎賓館で働いてたメイドさん達だ。


「えっと、オレリーお義母様?どういうことですか?」


「私は止めたのですけれど....カオル様。実は、この子達もここで働きたいと言っていて.....」

 

 いつもは尻尾をブンブン振り回しているオレリーお義母様が、今はシュンと垂れ下がっている。

 どうやら、先日フランが何か隠していたのはこの事だったみたいだ。

 

 まぁ、人手が増えるのは問題無いんだけどね。

 でもメイドさんが4人か。

 とりあえず、名前でも聞こうかな?


「えっと、うちで働きたいって事ですが、まずは名前を教えてくださいますか?」


「は、はい!!1番、イルゼ21歳。フランと同じ猫耳族です!!」


「2番、ヒルデ17歳。人間(ヒューム)です!!」


「3番、ナターリエ21歳。ドワーフです!!」


「4番、サビナ23歳。犬耳族です!!」


「「「「よろしくお願いします!!」」」」


 なんだかよくわからない連携をされた。


 聞いてないのに、年齢と種族まで言って。

 なぜか、フランと同じ猫耳族を強調された。

 しかも、既に雇う事になっているみたいだ。

 別に良いんだけどね。


「わかりました。4人共、今日からボクのものです。給料は後で決めます。

 仕事は.....オレリーお義母様とフランとアイナで割り振ってください。

 学校の手伝いでもいいですし、メイド業をしていただいても良いです。

 住む場所は、宮殿の空き部屋が沢山あるのでそこでも良いですし、家が欲しければ造ります。そんなとこかな?」


「わ、私達、香月伯爵様のものなんですか!?」


「う、うそ!?」


「そういう事なの!?」


「なにそれ!?」


「そうですよ?ここで住むという事はそういう事です。だから、イライザとレーダもボクのもの。わかった?」


 エドアルドさんの影に隠れて、コソコソしていたイライザとレーダの2人。

 ボクにそう言われてビクッと身体を揺らし、おずおずと前へ出てきた。


 なんで逃げようとしてるのかな?

 この期に及んでみっともない。

 大体、1冊だけじゃなくて2冊目を発行するなんて、どういうつもりなんだろう?

 印税全部取り上げてしまおうか....


「うぅ...ごめんなさい....」


「ど、どうしよう!?わ、私達も香月伯爵様のものだって!!」


 ホビットの小さな身体が、さらに小さくなってるイライザ。

 レーダはなぜか嬉しそうで、猫耳がピーンと突き立ってた。


 何を考えているんだろう?

 オシオキをした方がいいのかね?

 誰が主人が、一度きちんと教えようか....


「カオル様?その、『もの』というのはどういう意味なのですか?」


「言葉通りの意味ですよ?オレリーお義母様。

 ここに住むということは、ボクのものになり、3つの約束事を守ってもらいます。

 1つ目は、喧嘩してもいいけど、殴り合いはダメ。

 2つ目は、イジメはダメ。

 3つ目は、ボクの許可なく死なない事。

 この3つが守れないのならば、ここに置いておく事はできません。

 みなさんは守れますか?」


「「「「「「........」」」」」」


 深い沈黙が訪れる。

 

 頭の中では、ボクの言葉が渦巻いてる事だろう。

 最後の約束はボクの我が侭。

 そんな事、できる訳がない。

 ボクだってわかってる。


 だけど、嫌なんだ。

 

 突然の別れを、二度と経験なんてしたくない。

 寿命なら仕方が無い。

 でも、万が一殺されるなんて事があったら、ボクは自分を許せない。

 お父様とお母様の様な出来事は、二度とごめんだ。


 しばらく沈黙していた彼女達は、やがてお互いの顔を見合わせて頷く。

 どうやら、決心してくれたみたいだ。


 どっちだろうか?

 ボクにはわからない。

 だけど....


「「「「「「約束します!!」」」」」」


「よかった......」


 思わず、安堵の声が出た。

 溜息混じりの声に、エドアルドさんが何度も頷いてくれた。

 

 ボクの事、変な人だと思っただろうなぁ....


「カオル様?カオル様の気持ちは、よくわかりました。ですが、『もの』という意味を答えいただいていません。

 教えていただけますか?まさか、愛人にしようなんて思っていませんよね?」


「愛人?」


「そうです。カオル様には、うちのフランという婚約者が居るんですから....

 愛人をこんなに沢山抱えるなんて....お義母さんは許さないですよ?」


「えっと、そういう意味で言ったつもりはないです。

 なんと説明すればいいのかわかりませんけど、ボクのものに手を出したら許さないって意味です。わかりますか?」


「ん~....要するに、カオルちゃんのものに他の誰かが手を出したら、報復するって事なのね?」


「そうですね。それと、悪人に手を出させない為です。

 ボクはこれでも伯爵なので、そういう輩が寄って来る可能性があります。

 守る為と言えばいいのでしょうか?」


「そうなのね~♪あたしゃびっくりしたわよ~♪」


 どうやら納得してくれたようだけど、最後の方は下町の肝っ玉お母さん口調になってた。


 ま、こういうお義母さんが居てもいいよね? 

 なんか頼りになるし安心するし。


「では、簡単にこの街の説明をしますね。まずは、みなさんにこれを渡します。

 この腕輪には、裏に魔宝石が付いています。

 これをしていないと、この街を守るゴーレム君達に襲われる事がありますから、けして外さないでくださいね?」


 アイテム箱から白銀(ミスリル)の腕輪を取り出し、全員に手渡す。

 エドアルドさんには以前渡しているので、問題無い。


 次に説明したのは、この街の名前。

 ソーレトルーナという意味を言うと、感慨深そうにみんな頷いてくれた。

 ちょっと嬉しい。

 

「それと、ここまでの道中で見たかと思いますけど、この街には3つの防壁があります。

 ここにあるのが第1防壁。この中にはボクの住まいである宮殿と、生徒達が通う学校と宿舎があります。

 それと、家令のメルと補佐のカイの住まいもあります」


「「えっ!?」」


「なに?」


「あ、あの....メルとカイって、オナイユの街に住んでる?」


「冒険者ギルドで非常勤で働いてた、あのメルとカイ?」


「ああ、イライザとレーダは面識があったんだっけ。そうだよ?そのメルとカイだよ?ボクの親友なんだ」


「「ええええええ!?」」


 説明の途中で水を差した2人。

 盛大な雄叫びを上げて、ガックリ肩を落とした。

 

 とりあえず放っておこう。

 一々相手してたら面倒だ。


「....続けますね。それであそこに見えるのが第2防壁です。

 この中には、聖堂と迎賓館と警護団詰め所に宿舎など。

 それと、イライザとレーダが働く冒険者ギルドがあります」


「もしかして、あの大きな建物ですか?」


「そうです。隣が警護団の詰め所です。後で、エドアルドさんとイライザとレーダを案内しますね?2階と3階が住居になってます」


「あんなに豪華で大きな建物に2人だけですか....」


「まぁ、今のところは買取り以外の仕事は無いですしね。そもそも、ボクの領地は立ち入り禁止ですし。

 勝手に入ればゴーレム君達に掴まるでしょう。3千体以上居ますから」


「えっ!?そ、そんなに居るんですか?」


「そうですよ?.....ああ、以前エドアルドさんはアゥストリとグローリエルと来て、ゴーレム君に襲われたんでしたね。

 あの時よりゴーレム君達も強化してあります。腕輪、無くさない様にして下さいね?

 もし誰かが腕輪を無くしたら警戒レベルを上げますから」


「そ、その、レベルを上げるとどうなるのですか?」


「腕輪を持たない人は死ぬでしょうね?」


「絶対に無くしません!!」


 エドアルドさんはそう誓った。

 まぁ、殺すなんて事しないけどね。


 オレリーお義母様達も怯えていたけど、丁度近くを屈強なゴーレム君が通り、それを見て安心したみたいだ。

 頼れる守護者だからね。


「あとは、第3防壁ですけど、今は何もありません。強いて言えば、他よりゴーレム君が多いです。外に出ているゴーレム君の方が多いですけどね」


「外に出ているゴーレムは、何をしているのですか?」


「狩りですよ?」


「狩りとは、魔物や魔獣の類を狩っているのですか?」


「はい。魔物とかを狩って、ここまで運んでくれます」


「.....冒険者ギルドの職員として言わせていただくと、とんでもないですね」


「そうですね。冒険者要らずですからね」


「だから、領内を立ち入り禁止にしている訳ですか?」


「それもありますけど、一番の理由はみんなを守る為です。

 ここには、ボクの大切な人が沢山居ます。だから、不審人物をここへは近づけたくないです」


 ひと通りの説明を終えると、丁度フランとアイナとカルアとエルミアが来てくれた。


 師匠とエリーは、リアのところか警護団詰め所に行ってるのかな?

 ルイーゼ達の修練をするって言ってたし。

 後で顔を出しに行こっと♪


「みんな遅かったね?」


「も、申し訳ございません。ご主人様」


「ご主人。ごめんね?」


「あはは♪言ってみただけだから気にしないで♪一応当主だからね♪新人さんの前で、威厳をみせないと♪」


「も~♪カオルちゃんは、立派なご当主様だってわかってるわよ~♪」


「はい。カオル様は、素敵なご当主様です。それと、将来は私の夫です」


「エルミアちゃ~ん?なんでわざわざ『夫』って強調したのかしら~?」


「カルア姉様。別に深い意味はありません。ただ、悪い虫が付かない様にしただけです」


 エルミアが、ジロリとイルゼ達を一瞥する。

 どうやら、ボクの新しい愛人候補だとでも思っているみたいだ。


 たしかに、イルゼ達も可愛いとは思うけど、さすがにボクも.....

 犬耳良いなぁ....


「あ、あの......ご主人様?そ、それで、みなさんを雇っていただけるのでしょうか?」

 

 恐る恐るフランが聞いてくる。

 

 昨日内緒にしていたのは、やっぱりイルゼ達の事だったのか。

 まったく、ボクに隠し事をするなんて、フランにはあとでオシオキだね!!

 たまには(くすぐ)ってみようかな?

 それか沢山甘えるか。

 ま、後で考えよっと♪


「.....うん。4人共雇う事になったよ。仕事の割り振りは、オレリーお義母様とフランとアイナで相談して決めてね?」

 

「は、はい!!」


「フラン!!またよろしくね!!」


「また一緒に働けるね♪」


「でも、馴れ馴れしくしない方がいいんじゃない?フランは、香月伯爵様の婚約者なんだから」


「そ、そうだね.....未来の伯爵夫人だもんね....」


「や、やめてよみんな!!私はまだ、ご主人様と結婚してないんだし!!」


「そうねぇ....仕事中は、今まで通りにしましょうか。その方が、フランもイルゼ達も働きやすいでしょうし」


「お母さん.....」


「じゃ、けってーい♪フラン♪またよろしくね~♪」


「一緒だー!!」


「うん....うん....みんなよろしくね!!」


 和やかな再会を楽しむ、フランとオレリーお義母様達。

 ボクはとりあえずフランとアイナに後を任せ、カルアとエルミア。

 それにエドアルドさんとイライザ・レーダを連れて、冒険者ギルドの建物へと向かった。


 堅固な石造りの3階建ての建物。

 この街の建物は、宮殿以外そのほとんどが3階建てに揃えてある。


 それは景観を損ねない為。


 様々な高さの建物が乱立すると、見栄えがとても悪い。

 だから、外壁の色も屋根の色も統一しているし、違う物と言えば、宮殿と迎賓館と聖堂と学校くらいだ。

 これから建てる建物は、全て冒険者ギルドと同じ色に統一する。

 見分けが付き易くする為に、でっかい看板も掲げてあるしね。


 冒険者ギルドには、『冒険者ギルド ソーレトルーナ支部』と書かれている。

 

 エルミアが書いてくれたんだ。

 とっても字が上手くて、さすがは王女様って思ったよ。

 隣の、警護団詰め所の看板もエルミアが書いてくれたしね♪

 

 入り口の、両開きのスウィングドアを開き中へと歩み入る。

 ピカピカの鏡面仕上げの石畳に、入って右手には大きな丸テーブルが5つ。

 そこに椅子を並べて、すぐ近くにはバーカウンターが設置してある。

 軽食も作れるように、魔導コンロを3つとオーブンを置いておいた。


 そして、中央には冒険者ギルドに無くてはならない木製のカウンター。


 ボクが作ったからちょっと不出来だ。

 家具職人のヴィーリさんに依頼したかったけど、こんな大物だと時間が掛かるだろうし。

 まぁ、使えるしいいよね?


「これはまた、内装も立派ですね」


「っていうか、オナイユの冒険者ギルドそっくり」


「こっちの方が大きいけどね....」


「はい。イライザとレーダの使い慣れた、オナイユの冒険者ギルドをイメージして造りました。2階と3階は見た事が無いので、勝手に作りましたけどね?」 


「すごーい!!カウンターがピカピカだよ!!」


「ホントだ!?木製なのになんでなんで!?」


「あはは♪適当に大きな木を斬って磨いただけなんですけどね♪」


「いやいや、これは見事な品ですよ!!帝都の冒険者ギルドにも欲しいくらいです!!」


「エドアルドさんにそう言っていただけるなら、良い品なんでしょうね♪造った甲斐がありました♪」


 ボク作成のカウンターは好評だった。


 カルアとエルミアもなぜか満足そうで、ウンウン頷いてた。

 本当にただ斬って、サンドペーパー代わりに土魔法で砂の粒をぶつけて磨いただけなんだけどね。

 仕上がりにはそこそこ満足してる。

 土台も石で造ったから、頑丈さだけは自信があるよ。


「しばらくは、魔物の買取り以外に仕事は無いと思います。せいぜい、うちの警護団員が飲みに来るくらいでしょうか?

 お酒の仕入れはエドアルドさんの伝手でも良いですし、うちの御用商人のラメル商会のジャンニ代表に頼んでもいいです。

 毎週日曜に行商を連れて、第3防壁内で青空市を開いてくれるそうなので」


「そうなんですかぁ....」


「なんか楽しそうね♪」


「すごいですね.....着々と街ができあがっていますね....」


「はい。全てみんなのおかげです。それと、第1防壁と第2防壁の中には、ボクが認めた人しか入れないので、友達とかを連れてくるなら第3防壁までにしてくださいね?ゴーレム君達が暴れる事になりますから」


「わ、わかりました....」


 一応注意をしておいた。


 いずれは、領民を募り第3防壁内で生活をしてもらうつもりだ。

 嫌だけど、男性も入れようと思う。

 でも第2防壁から先には絶対に入れない。

 そこから先は、ボクの聖域だから。


 聖堂とか冒険者ギルドがあるけど、ボクが認めた人しか入れない。

 一般の人には不便かもしれないけど、嫌なら余所へ行けばいい。

 『ポーション』の販売も始まるし、治癒術師が必要なら出張所を開けばいいんだ。

 礼拝したいなら、簡単な礼拝堂を造ればいいだけだしね。

 そもそも、街の周囲にはゴーレム君達が沢山居るんだ。

 冒険者の出番は無いし、必要なら帝都の冒険者ギルドに行けばいい。

 近いんだからね。


「それで、イライザとレーダの食事なんだけど、どうする?」


「どうするって言われても....」


「お店なんて無いんですよね?」


「うん。今は何も無いよ?」


「飢え死に....」


「兵糧攻め....」


「ま、そんな事はしないけどね。隣の警護団詰め所で、朝昼晩にボクの人形君達がごはんを作って出してるから、そこで食べるといいよ。

 代金は....別にいいよね?女の人2人だし、アブリルみたいに体重の倍とか食べないでしょ?」


「体重の倍!?」


「そんなに食べたら死にます!!」


「じゃぁいいよ。食事は当家で負担します。でも、掃除と洗濯は自分達でやってね?

 人手が欲しいなら、週に3日の放課後にうちの生徒達がお手伝いする事になったから、そこで頼んでみて。

 あ、お小遣い程度でいいから報酬は渡してね?詳しくはメルに聞いて」


「わかりました!!!」


「やった♪無料(ただ)飯だ♪」


「コラッ!!カオルさんの好意なんですからね!!まずはお礼を言うのが筋でしょう!!」


 ギルド長らしいエドアルドに怒られて、イライザとレーダが姿勢を正してお礼を言った。

 しばらくは仕事らしい仕事も無いはずだから、のんびり過ごしてもらおう。

 小説の件は忘れてないけどね。


 その後、冒険者ギルドの地下へ案内した。

 そこには、買い取ってもらう魔物や魔獣を保管できる巨大な冷蔵庫がある。

 地下室全体を氷で覆い、扉は凍らない様に火魔法を魔宝石に込めた白銀(ミスリル)製の代物。

 厚さがそれほど無いので、女性でも簡単に開けられる。

 防犯用の魔導具も内部に設置しておいた。

 もし盗む様な人が居たら、数体のゴーレム君が襲い掛かってくる。

 たとえアイテム箱に入れてもね。


「これはまたすごいですね.....」


「さ、寒いです....」


「ちょっと!!イライザ!!私の尻尾掴まないで!!」


「だって寒いんだもん!!」


「あはは♪まぁ、これだけ寒ければ、簡単には腐らないでしょう?」


「そ、そうですね。いやしかし、これはすごい....」


「さっき通ってきた通路を真っ直ぐ行くと、外部へ続く扉があります。内部からしか開かないので、防犯の心配は無いと思います。

 搬入の時はそこを使えば、ギルドの建物内を通る必要も無いでしょう」


「なんと言うか、何から何までありがとうございます。カオルさん」


「いえ、ボクの領地ですからね。それに、あげたのではなく貸与ですから。まぁ、返してもらうつもりはないですけど」


 ボクが造ったこの建物は、冒険者ギルドに貸与する事になっている。

 本来であれば、冒険者ギルドが予算を組んで支部の設置をしなければいけないのだが、ここはボクの領地であり、大工などの職人を入れたくはなかった。

 だから、ボクが全て造って貸与という形式を取る事にした。


 言った通り、返してもらうつもりないけどね。

 正直いらないし。

 魔導具だって、自前だし、魔宝石だって自分で取ってきた物だからね。

 お金と言ったら....家具くらい?

 それも、ジャンニさんのところで安かったヤツだし、ぜんぜん金銭的には痛くない。

 それに、ボクの我が侭でイライザとレーダは来る事になったんだもん。

 これくらいの譲歩はしてあげないとね?

 何度も言うけど、小説の事は許さないけど。


「ああ、ついでだから買取りしますか?いっぱいありますけど」


「「「えっ!?」」」


「あ、エリーがいないからダメですね。呼びましょうか?」


「いえ!!カオルさんでしたら、ポイントは差し上げられませんが特別に買取させていただきますけど....

 そんなに沢山あるんですか?」


「はい。千体近くありますね」


「「せ、千!?」」


「それでしたら、ぜひ帝都の冒険者ギルドで!!コレを見せれば、カオル様だけでも買取させていただきますので!!」


 エドアルドさんは、懐から1枚の羊皮紙を取り出し、ボクに押し付ける様に手渡した。

 内容を抜粋すると、『香月カオル伯爵からの魔物・魔獣の買取りは、冒険者の有無に関わらず受け入れる事』と書かれている。

 

 というか、コレを最初から渡すつもりで持ってきてたんだね。


 .....なるほど。

 

 ボクが持ち込む魔物・魔獣は数が多いから、冒険者ギルドの利益が多いんだ。

 高価な素材は、直接商家に持ち込む冒険者が居るくらいだし、冒険者ギルドも必死なんだね。


「う~ん....いいんですか?こんなことして」


「はい!!カオルさんは、冒険者ギルド連盟からも特例で認可されていますので!!」


「....どういう事ですか?」


「実は、以前カオルさんがオナイユの冒険者ギルドに、オークキングを持ち込んだ事が広まりまして....」


「ああ、そんな事もありましたね。あの時は、イライザが買い取ってくれましたよ?」


「は、はい!!私が対応させていただきました!!」


「それでですね....カムーン王国とババル共和国の冒険者ギルド長から、不満が出まして....」


「不満、ですか?オークキングを売っただけで?」


「い、いえ。先日、帝国で決闘が行われた際に見物ついでだからと言って、各国の商業ギルド・鍛冶ギルド・冒険者ギルドなどの各ギルド長が一堂に介して大商工会議が行われたのです。

 そこで、我が帝国冒険者ギルドの業績がですね....

 その、前年比6割益しだったのです」


「えっと、それはエドアルドさんの努力の賜物(たまもの)なのでは?」


「そうだと良かったのですけど....全部、カオルさんが持ち込んだ魔物・魔獣の売り上げが原因でした....」


「あー....そういえば、何回か師匠とエリーと一緒に売りに行ってましたね」


「ええ。確かに戦争があったのですから、前年比を越えるのは当たり前なんです。

 ですが、カオルさんが持ち込む物は状態も良くて、高値で売れたのが....

 各ギルド。特に、鍛冶ギルドから大絶賛されまして、当然いったい誰が持ち込んでるんだって話しになりまして....

 調べたら、全部カオルさんの持ち込んだ物で.....」


「それで、エドアルドさんは何も言い返せずに、ボクだけ特例で冒険者ではなくても魔物や魔獣の買取り許可を出す事になった。と?」


「はい....」


「ちなみに、ポイントって冒険者のランクアップのポイントですよね?」


「そうです」


「なら、問題無いですね。ボクは、冒険者に成るつもりないですし。だから、ありがたくいただいておきますね」


「そうですか!?いやぁ、よかった!!」


 それでいいのか?と思ってしまうけれど、ボクは年齢が足りなくて冒険者に成れない。

 エリーが居なくても買取りしてくれるなら、それはそれで便利だろう。

 魔宝石を抜いたサイクロプスとか、何に使うかわからないしね。

 細かく砕いて乾燥させて、畑にでも撒くのかね?

 オークの肉は、そうしてるらしい。

 元は人間かもしれないから。

 なんか怖いよね。

 本当は、全部――


 うぅん、今は止めておこう。

 ボクは人殺し。

 それでいい。


「じゃぁ、どうする?イライザとレーダの2人で、千体近く査定してみる?」


「「無理です!!ごめんなさい!!」」


 直角90度と言える、見事な謝罪を見せてくれた。

 しかも声までハモらせて。


 仲が良いんだろうね。

 まぁそうじゃなきゃ、共同で小説なんか書かないか。

 絶対いつかオシオキしてやる。


「冗談です。この後、帝都の冒険者へ行ってさっそく売らせていただきます。

 ただ、魔宝石は抜いてしまってますよ?街の設備とかで使うので」


「ええ。問題ありません。カオルさんが持ち込んでいただく物は、皮から何から全て無傷の物が多いですからね。

 服や装飾に、天幕や荷馬車の梁や骨組みに、それぞれ沢山の用途がありますから」


「そうなのですか」


 そこで話しは終わり、カルアとエルミアに頼んでイライザとレーダの2人を警護団詰め所へ案内してもらった。

 ボクは、「アゥストリが来てる」とエドアルドさんに告げると、案内して欲しいと頼まれて迎賓館へ送り届けた。

 アゥストリ達は、丁度学校へ訪問するところだったみたいで、メルが居たから後の事を頼み、ボクは『雷化』の魔法で帝都冒険者ギルドへ向かった。


 留学する前に、アイテム箱の整理もしたかったからね。

 

 留学中は、2つの腕輪と婚約指輪を合成して、二の腕部分へ隠すつもりだ。

 こんな高価な物を見られたら、すぐに貴族や高位の魔術師だとばれちゃうし。












 冒険者ギルドへと踏み入ると、沢山の冒険者でごった返していた。

 身長の高い色々な種族の男性や女性。

 屈強な肉体を持つ人が多く、見るからに強そうだ。


 ボクみたいな子供は視界に入らないのか、何度かぶつかりそうになる。

 

 師匠やエリーが居ないだけで、実に歩き難い。

 人の間を縫って進み、なんとか買い取り窓口へ辿り着いた。


「こんにちはー」


 ボクは、フードを被ったまま受付の女性に話し掛けると、女性はキョロキョロと周囲を見回し、最後に視線を下に移した。

 

 ちょっと失礼じゃないだろうか?

 確かにボクは、カウンターに頭部が少し見えているくらいだろうけど、ホビットの冒険者だっているんだから、すぐに気付いてよ。

 というか、この人見覚えがある。

 前に来た時に買取りの対応をしてくれた人で、名前は――


「ん~っと、レリアさん。買取りをお願いします」


「あら?私、君に会った事あったかしら....?」


「はい。以前、買取りをしていただいた事があります。あ、コレを読めばわかるはずです」


 懐から、エドアルドさんに貰った羊皮紙(買取り許可証)を取り出し、レリアさんに手渡す。

 レリアさんは訝しげにそれを受け取り、内容を読んで行くうちに顔を青ざめた。


 口を大きく開いて絶叫しそうになったから、慌てて魔力の帯でレリアさんの口を押さえた。


 突然の非常事態に、レリアさんがモゴモゴ言いながらカウンターの向こうで走り回る。

 同僚のギルド職員達がレリアさんに近づき、「どうしたの!?大丈夫!?」と心配そうに声を掛け始めた。


「ん~!!ん~!!」


「何よ?レリア?何が言いたいの?」


「どうしたの?なんか変な物でも食べたの?」


 このままじゃ、レリアさんが変人扱いされてしまう。

 ボクのせいで彼女の名誉が傷付けられるのはいたたまれない。

 だから、フードから顔を覗かせ必殺技をお見舞した。


「すみません。ボクが買取りをお願いしたのです。ちなみに、ボクの名前を叫んだら、エドアルドさんに言い付けますからね?」


 ニッコリ微笑んで、レリアさんの周りに集まる女性職員達を見詰める。

 突然ボクに声を掛けられた彼女達は、ボクの顔を見てウットリとした表情を見せた。


 うん。

 さすがは必殺『王子様スマイル』だ。

 効果抜群だね♪


「はぁ....可愛い.....」


「食べちゃいたいわぁ.....」


「お持ち帰りキボンヌ....」


「....それで、買取りをお願いできますか?」


 魔力の帯を解いてレリアさんに話し掛ける。

 レリアさんは盛大に深呼吸を繰り返し、羊皮紙を片手に「ひゃい!!」と元気良く答えてくれた。


 そして、なぜかその場に居た買取官全員と連れ立って、ギルド奥の倉庫の様な解体場へ移動する。

 女性達は、チラチラとボクに視線を送り、頬を赤く染めて潤んだ瞳を見せていた。


 どうでもいいけど、ボクの必殺技は効果ありすぎじゃないだろうか?

 師匠達はボクを好いてくれるからわかるんだけど、彼女達とは数回しか会った事が無いんだけど....

 使いどころを間違えない様にしないとね。

 浮気なんて言われたら、言い逃れできないと思う。


「では、レリアさん?査定をお願いしますね?」


「ひゃ、ひゃい!!」 


 解体場の奥から順番に買い取って欲しい魔物や魔獣を並べていく。

 トロール・オーク・ゴブリン・コボルド....

 クロウラー・大蛇・カニ・カエル・ワニ.....

 ノール・ハーピー・ダイアウルフ・グール・クァール....

 ミノタウロス・キュクロプス・アルゴス・サハギン・リザードマン....

 コカトリス・バジリスク・ヒポグリフ・マンティコア・サラマンダー・ワイバーン....


 その数、実に1051体。

 

 解体場には収まりきらなくなり、隣の第2解体場まで埋め尽くした。

 

「こ、ここ、こんなに沢山......」


「こんなに入るアイテム箱とか、見た事ないよ!?」


「わ、私達だけじゃ無理よ!?」


「休みの子も叩き起こしてきて!!」


「わかったー!!」


 大忙しのレリアさん達。

 

 査定には時間が掛かると言われたので、ボクは解体場の片隅に椅子とテーブルを取り出し、アイテム箱の整理を始めた。

 仕舞いっぱなしの、修練用の木剣や刃引きされた鉄剣達を縄で縛って一括りにする。

 常時使う物以外の紅茶のセットも箱に仕舞い、あとで宮殿に帰ったらアイテム箱から取り出せばいい。


 アイテム箱の中身は、必要最低限の物だけにしておこう。

  

 魔導カンテラと、2人用の天幕。

 携帯用魔導コンロに、各食器とカトラリー。

 生活用品一式に、着替えを数着。

 他の聖剣とかはさすがに持ち歩かないと怖いし、防具も入れっぱなしにしておこう。

 あとは....食料くらいかな?

 ああ、非常食も持って行かなきゃか。

 干し肉にパンとかの携行食品。

 こうして考えると、つくづく空間魔法のアイテム箱って便利だよね。

 普通の人は、こんな大荷物を抱えて旅をするんでしょ?

 そりゃ、馬車も必要だね。


 ひと通りアイテム箱の整理が終わった頃、査定を終えたレリアさんが羊皮紙を2枚手渡してきた。

 1枚は、エドアルドさんがくれた『買取り許可証』。

 もう1枚は、ボクが出した魔物と魔獣の一覧に、買取り金額が記載されていた。


 1051体で、合計1,286,400シルド。


 白金貨1枚に、金貨28枚に、銀貨64枚。

 白金貨が無いらしく、沢山の金貨を手渡された。


 上級の魔物が多いから金額自体には満足したけど、普段はこんなに持ち込む人は居ないそうだ。

 そりゃそうか。

 ほとんどフムスのダンジョンの奥深くに生息する魔物達だし。

 ボクみたいに、膨大な量を収納できるアイテム箱が無いと持ってこれないよね。


「確かに。ありがとうございます」


「はぁ....はぁ....いっ、いえ!!とても査定し甲斐のある魔物達でした!!」


 額に汗掻き、肩で息するレリアさん。

 後ろの同僚達もゼーハーゼーハー荒く息をしていた。


 職務だって事はわかってるけど、こんなに短時間で頑張ってくれてちょっと嬉しい。

 そうだ!!

 紅茶を淹れてあげよう。

 別に賄賂でもなんでもないし、紅茶の1杯くらい良いよね?


 アイテム箱から紅茶セットを取り出し、紅茶をカップに注いでテーブルに並べる。

 それをレリアさん達に振舞ったら、一巡悩んでからおずおずと手に取ってくれた。


「....エドアルドさんには、内緒にしておきますから」 


「あ、ありがとうございます!!」


「なにこれ美味しいよ!?」


「ホントだ!!」


「良い香り....」


「きっと、高い茶葉なんだよ!!」


「「「「「幸せぇ...」」」」」


 喜んでもらえたみたいで、ボクも嬉しい。

 お茶菓子にクッキーを出したら、あっという間にペロリと平らげてしまった。

 もうすぐ昼食の時間なんだけど、大丈夫かな?

 まぁ大丈夫か。

 女性には、不思議な器官『ベツバラ』とか言うのがあるみたいだし。

 そんなの無いけどね。


 好評だったクッキーを少し分けて、レリアさん達に渡しておいた。

 「食後にどうぞ」って言ったら、物凄く喜んでた。

 

 あれかな?

 

 帝都でお菓子屋さんとか開いたら、儲かるんじゃないだろうか。

 アーシェラ様とかディアーヌにも好評だったし、飛ぶように売れたり。

 学校の生徒達の就職先に、そういうのもいいかもしれない。

 エステと服とお菓子。

 独占だけはしない様にして、商業ギルドと仲良くできれば、彼女達の将来は安泰かもね♪











 その後、レリアさん達にお礼を告げて冒険者ギルドを立ち去る。

 突然街中で『雷化』を使うと驚かれるから、帝都の南門を抜けた先で急いで宮殿に帰った。

 宮殿ではフランとアイナが作った昼食が出され、師匠達家族だけではなく、アゥストリ達も一緒に食事を食べた。


 他愛もないおしゃべりをして、沢山の情報交換を行う。

 

 アゥストリとエドアルドは終始ボクの学校を褒めちぎり、魔術学院の生徒達もうちの学校の子達と仲良くなったみたい。

 同年代の子供だしね。

 皇女という高貴な身分のリアも、楽しそうに色々話していたらしい。

 ただ、なぜかボクの話題になると「火花が散っていた」とメルが言ってた。


 なんだろうね?


 質問してみたけど、はぐらかされてしまった。

 まぁ、仲良さそうだからいいか。

 それと、メルが指輪のお礼を言ってきたから、それは「カイに言いな」って言ってカイを押し付けておいた。

 お金は貰う事になってるしね。


 それから、今夜は宮殿の1階ホールで、留学するボクの送迎会を行ってくれる事になった。


 たった3ヶ月だけだし、週に1回は帰って来る予定なのにね。

 でも、嬉しかった。

 学校の生徒と警護団員達も呼んで、大人数でワイワイ騒ぐ。

 師匠とグローリエルも、アゥストリとエドアルドさんと一緒になってお酒を飲んで騒いでた。

 そして、なぜか暴食するアブリルに対抗意識を燃やした、エリーとイライザとレーダが物凄い量の魚を食べていたのが印象的だ。

 ルイーゼ達とヘルナ達も参加してたけど、あっという間に降参してた。

 まぁ、無理だと思うよ。

 アブリルはおかしいもん。


 終始和やかなムードで行われた送別会。

 アーニャが突然泣き出して、カルアとエリーが慰めてた。

 アリエル達は、ボクの為に当家の紋章(きしょう)(エーデル)(ワイス)』のブローチを作ってくれた。

 凄く嬉しかった。

 ボクも思わず涙ぐんで、師匠とエルミアが頭を撫でてくれた。

 アブリルは、お腹いっぱいになったのかスヤスヤ寝てて、ファノメネルが介抱してたし、オレリーお義母様はメイドのみんなと「良いところね♪」なんて言って喜んでた。


 こんなにも、善い人が集まってくれた。

 

 ボクみたいな子供のところへ、みんなが来てくれた。

 それだけで嬉しい。

 お父様とお母様は居なくなってしまったけれど、ボクは師匠や、カルアや、エリーや、エルミアや、フランや、アイナだけじゃなくて、リアに、ディアーヌに、アーニャに.....

 本当に沢山の善い人と巡り会えた。

 ここは、素敵な世界だ。

 ここへ来れて、本当に良かった。


 でも、まだ足りない。


 ボクは、これからも心善い人の為に頑張らないといけない。

 大切な人を守る為に、強くならなきゃいけない。

 家族をもっと愛する為に、勉強しなきゃいけない。

 そして、ボクの大切な風竜を迎えに行かないといけない。


 だから、告げた。


 「ありがとう」って。


ながなが続いてしまいましたが、これで留学準備は終わりです。

次話からは、カムーン王国編。


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