表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
191/349

第百五十話 エルミアの帰郷


 カオルとエルミアを屋敷に残し、ヴァルカンとカルア・エリーの3人はエルヴィント城へ登城していた。

 城内に響く、乾いた4人の足音。

 随伴(ずいはん)の近衛騎士に案内され、エルヴィント帝国皇帝アーシェラの私室へと歩みを進めた。


「待っておったぞ」


 室内に入ると、アーシェラは嬉しそうに3人を迎えた。

 会釈をして立ち去る近衛騎士。

 後に残された3人とアーシェラに、侍女のメイドが紅茶を差し出した。


「それで、どういったご用件でしょうか?陛下」


 仏頂面(ぶっちょうづら)のヴァルカンが、アーシェラを見ながら問い掛ける。

 大テーブルを挟んで座るアーシェラは、そんなヴァルカンを意味ありげに見詰めた。


「実はの。今日呼び出したのは他でもない。カオルの決闘の件じゃ」


 アーシェラが切り出したのは、案の定先日の件であった。

 晩餐会の後に行われた夜会で、ヴァルカンと踊っていたカオルは、酔ったヘルマン・ラ・フィン子爵から難癖(なんくせ)を付けられた。

 普段とは違う、煌びやかな衣装(ドレス)で着飾ったヴァルカン達。

 元々美麗である彼女達は、この日、誰よりも輝いていた。

 ヘルマンは、そんな彼女達を独り占めしているカオルに嫉妬し、自家が降爵(こうしゃく)させられた事も相まって、カオルに喰ってかかる。

 だが、愚行はそれだけに止まらなかった。


 事もあろうにヘルマンは、声色を強めたカオルを心配して近づいた、メイドのアイナにこう告げたのだ。

 『なんだぁこのみすぼらいしガキはぁ~。ああ?なんだ奴隷じゃないかぁ!!ハッ!こんなガキを従者にするとは、香月家も程度がしれるぅなぁ~!!』

 それは、カオルが一番気にしていた事だった。


『奴隷』


 人が人を金の力に任せて支配する。

 アイナを助けた事に後悔は無いカオルではあったが、アイナを救う為にとった手段は人として最低な行為だと考えていた。


(なぜ、同じ言葉を理解する人同士が、他人を蔑み(えつ)に浸るのだろう)


 もちろん、奴隷に身を(やつ)す者にはそれなりの理由がある。

 両親が奴隷で、生まれながらに奴隷の者。

 他者の財を盗んだ者。

 他者の身体を傷付けた者。

 そして、他者の命を奪った者。

 奴隷にも優劣はあるだろう。

 快楽的に他人を傷付ける様な者に、救う価値など存在しない。

 だが、物を盗むなどの軽度な犯罪や、生まれながらに両親に売られた奴隷などは、救う価値があるのではないだろうか。

 

 カオルは常々悩んでいた。

 そこへ、ヘルマンが放った言葉で、カオルの枷が外れた。


『ボクと決闘をしろ』


 普段、温厚なカオルが、自身から刃を抜いたのだ。

 とても冷徹な瞳をしたカオルを、間近で見たヴァルカンやアーシェラは、言葉を掛ける事を戸惑った。

 そのまま成り行きに任せた一同。

 結果、カオルとヘルマンは決闘する事となる。

 逆恨みに燃えるヘルマンと、様々な感情が入り混じったカオル。

 2人の決闘を執り行うため、ヴァルカン達はアーシェラに呼び出された。


「...一月後と、書簡には(したた)めてありました。なぜ、それほどまでに時間が掛かるのか。教えて下さるのですね?」


 どうせ(女狐が考える事だから、ろくでもない事だろう)と、ヴァルカンは思っていた。


「うむ。決闘など久方(ひさかた)ぶりじゃからな。派手にやろうと思うのじゃ!!」


 満面の笑みを浮かべて、楽しそうにアーシェラは話した。

 予想が的中したヴァルカンは、嫌そうに眉間に皺を寄せる。


(女狐め...カオルが落ち込みでもしたら、切り刻んでやる)


 大切なカオルが、この事で心を痛めている現状にヴァルカンは辟易(へきえき)としていた。


『奴隷の街を造る』


 カオルは想い悩み、こんな事を口走るほどだったのだから。


「それで、陛下。『派手に』とは、どういった意味なのでしょうか?」


 不思議そうに、アーシェラとヴァルカンの会話を聞いていたカルアが、首を傾げて問い掛ける。


「派手は、派手じゃ!!円形闘技場(コロセウム)も使用する。数十年ぶりじゃからの。管轄管理の貴族達が、大変喜んでおったわ!!」


 アーシェラの言う通り、数十年ぶりに使用される事になった円形闘技場(コロセウム)

 管轄管理という名の清掃などしか仕事が無かった貴族達は、この一大イベントに大盛り上がりである。

 さらに、先日の戦争特需で沸いていたエルヴィント帝国は、目減りした国庫の為に、決闘を利用して財源を確保するつもりであろう。

 一時的とはいえ、円形闘技場(コロセウム)の警備や、街の憲兵隊も新たに組織される。

 利権を求めた貴族達が、我先にと無心するのは言うまでも無い。

 カムーン王国でこういった行政を目の当たりにしていたヴァルカンにとって、こんな事は容易(たやす)く予想できた。

 だからこそ、アーシェラに召喚されてから、ずっと不機嫌なのだ。


「神聖な決闘を、見世物にするおつもりなのですか?」


 ヴァルカンの不機嫌さを不思議に思っていたカルアであったが、アーシェラの発言でその理由を理解し、ヴァルカンと同じ様に顔を顰めた。

 隣に座るエリーも同様だ。


「それはすまぬと思っておる。じゃが、事は貴族同士の決闘じゃ。御五家(ごごけ)であるフィン子爵家が改易する様な事になれば、民衆にも黙っている訳にはいかぬのでな。それならば、実際に見届けて貰う方が良いじゃろう」


 もっともらしく語るアーシェラだが、ヴァルカン達は実に面白く無い。

 どうせカオルとヘルマンの勝敗も、帝国が胴元と成って賭け事にするつもりだからだ。


(この女狐は、やはり油断ならん。カオルが聞いたらどう思うかなど、容易に想像できるだろうが...)


 ギリギリと歯軋りをするヴァルカン達。

 臆面(おくめん)もなく語るアーシェラは、やはり腹黒い皇帝なのだろう。


「...それで、なぜ私達を呼んだのですか?わざわざ『カムーン王国親善大使』などと担ぎ出して来たのですから、その決闘を見届ける為に、王国から王族でも呼ぶのでしょうけどね」


「察しが良くて話が早いの。まさにその通りじゃ。既に打診はしておる。誰が来るかは返答待ちじゃがな」


 ヴァルカンの予想はことごとく当たった。

 いや、当たってしまったと言った方が良いであろう。

 ヴァルカンにとっては喜ばしき事ではないからだ。


(くそっ!誰が来るんだ...順当に行けば、ティル王女かその妹君だろう。まさかエリーシャ女王が、わざわざこんな事で他国に来るわけはないはずだ...)


 元剣聖ヴァルカン。


 カムーン王国の女王であるエリーシャに恩義はあるが、とても苦手としている人物だ。

 いったい誰が来るのか。

 それが判明するまで、胃の痛い思いをするのは必死だ。


「という事は、聖騎士教会からも誰か参られるのですね?」


「うむ。我が国に居る、エリゼオ司教の名で、ファノメネル枢機卿宛てに文を送らせた。こちらもそのうち返事があるじゃろう」


 嬉しそうに語るアーシェラは、待ち遠しいとばかりに胸を弾ませていた。

 カルアに引けを取らない、大きな胸が跳ねるたびに、無乳のエリーは目が吊り上がる。


(わ、私だって、脱いだらそこそこあるんだからね!!カオルだって張りがあって柔らかいって言ってたし!!)


 一緒にお風呂に入るのを嫌がるカオルではあったが、事あるごとにスキンシップはしている。


『家族だから当たり前だよ♪』


 可愛らしい笑みを浮かべてそう話すカオルは、他人から見たら小悪魔に見えるかもしれない。


「...一つ、お伺いしますが、『フィン家』とは、私が倒したあの『フィン家』ですね?」


 選帝侯(せんていこう)であり、御五家に連なる人間族(ヒューム)のフィン家は、アーシェラを皇帝の座から引き摺り下ろそうと暗躍し、魔族(アスワン)の力を借りてカオルを『ego(えご)黒書(こくしょ)』に閉じ込めた。

 アーシェラは、腹心の部下である魔術師筆頭のアゥストリや、蒼犬(そうけん)のルチア・ルーチェの活躍でそれを突き止め、ヴァルカンと剣騎グローリエルの協力の下、当時フィン家の当主であったアベラルド・ラ・フィンを亡き者とする。

 そして、その嫡子であったヘルマンが後を継ぎ、今回の決闘という騒動を巻き起こしたのだ。


「うむ。ヴァルカンの言う通りじゃ。あのヘルマンは、ヴァルカンが倒したアベラルドの子供じゃな」


 この件については思うところもあり、アーシェラは申し訳無さそうに肩を落とす。


(...そういう事か。大方、降爵(こうしゃく)でもさせられて、逆上してカオルに噛み付いたんだろうな。くそう...益々カオルに言えない事が増えていくじゃないか...)


 重苦しい空気が立ちこめ、誰もそれ以上言葉を発せずにいた。


 そこへ...


「コンコンッ」


 扉を叩き、アゥストリが現れる。

 アーシェラはアゥストリを招き入れると、隣に座らせメイドに紅茶を淹れさせた。


「...なにやら重苦しい雰囲気ですが、ヴァルカン殿にご相談がありましてな」


 空気を読んだアゥストリが、重々しくも口を開く。

 彼の頭が薄い原因は、気疲れから来るものであろうか。


「相談だと?」


「はい。カオル様の件です」


 アゥストリはそこで話しを区切り、紅茶を一口啜ると、改めて話し始めた。


「現在。カオル様には寄り子が居ません。ですから、我がエルヴィント帝国の下級貴族達が、こぞって縁を結ぼうと、毎日カオル殿の屋敷に足を運んでおります。ですが、カオル様は屋敷を出る事無く、篭っておられる様子。戦争が終わり、帰ってきたばかりか先日の件もある事は十重理解していますが、このまま放置すれば、新興貴族であるカオル殿を快く思っていない、一部の貴族達が文句を言い始めるでしょう。屋敷の周りの上級貴族は良いのです。引越しの際に、直接カオル殿と対面し、その人柄に触れたからか全幅の信頼を置いています。ですが、カオル殿を知らない一部の下級貴族は、カオル殿をあまり良く思ってはおりません。『若くして伯爵に成るとは生意気だ』などと、口々に嫌味を言っているのが現状です。そこで、これを打破すべく、何か作戦を練らなければなりません。何か、良い案はございませんか?」


 アーシェラとカオルが初めて謁見を行った際に、カオルに食って掛かったアゥストリ。

 あの一件以来、カオルの事を心配し、影ながら手を貸していた。

 だが、彼がヴァルカン達にこう相談したという事は、もう彼の手では収拾が付かない状態になってしまっているのだろう。

 だからこそ、こうしてカオルに内密で相談したのだ。


「言いたい事はわかった。だが、突然相談されても、私達にはどうする事もできないぞ。下級貴族達をカオルに会わせれば良いのか?そうではないのだろう?」


「はい。おそらく、ヴァルカン殿ならば薄々気付いておられるようですが、在爵期間が短かった事は考慮しても、カオル殿は名誉貴族である男爵の頃から、家臣がおりません。ヴァルカン殿.カルアさん.エリーさん.エルミア様は、カオル殿にとって家族なのでしょう?メイドの2人はあくまで使用人という立場です。家令や執事などのカオル殿を補佐する者は必要です。通常であれば香月伯爵領の中から雇い入れるのですが、カオル殿が陛下から下賜された所領には、今現在誰も住んでおりません。帝都から程近く、交通の便も優れている土地なのですが、以前領主を務めていた貴族家が膨大な税を課した為に、領民が逃げ出しました。以降、誰も住む事なく野ざらしの状態です。時折、許可を得て漁などを行っていましたが、先日の『シーサーペント』がトドメとなり、誰も寄り付かなくなってしまいました。そこで、『自家の三男や四男を』と考えた下級貴族達が、カオル殿の屋敷に詰め掛けたのです。私は(うれ)いているのです。このままでは本当に、あの人柄が良く、優しくて素敵なカオル殿が、影でコソコソ陰口を言われてしまいます。どうか、カオル殿に家臣を持つよう言ってはくださいませんか?カオル殿の屋敷で出される紅茶は、本当に美味しいのです」


 最後に我欲を出したアゥストリではあったが、心からカオルの心配をしている事は、ヴァルカン達には伝わった。

 エルヴィント帝国、魔術師筆頭兼魔術学院長のアゥストリ。

 3人の嫁を貰い、皇女フロリアに頭の上がらないハゲメン。

 カオルの良き理解者であり、また協力者でもあった。


「...言いたい事はわかった。カオルには私から話そう。だが、決めるのはカオルだ。そこだけは理解してほしい」


 アゥストリの言葉を紳士に受け止めたヴァルカンは、そう答えると頭を下げた。

 カオルの事を本気で心配し、苦言を口にしてくれたアゥストリに感謝したからだ。


「ありがとうございます。これでよろしいですよね?陛下」


「うむ。もっとも、カオルが家臣を雇わなくても問題は無いのだがの。何か言われたら、わらわに申すと良い。皇帝の権限を大いに振るってくれようぞ!!」


 せっかくのアゥストリの思い遣りを、アーシェラは粉々に打ち砕いた。

 どうやら、自分が言いたかった事を言われてしまい、頭にきたようだ。


(...貴族達に絶大なカリスマを持つお方なのだが、こういう子供っぽいところは治してください)


 アーシェラの物言いに苦笑いを浮かべるアゥストリ。

 ヴァルカン達もそれに気付き、アゥストリの心労に同情するのだった。











 魔鳥(まちょう)姿のファルフに乗ったカオルとエルミアは、オナイユの遥か南に存在するエルフの里へと向かっていた。

 時々、魔物のハーピーや、どこかに巣があるのか魔獣である巨大な怪鳥(ルフ)などに行く手を遮られるが、器用にファルフの背に立ったエルミアが放つ魔弓や、カオルが放つ雷撃魔法(イカヅチ)でことごとく倒される。


「この魔獣、美味しいかな?」


 焼き落ちる怪鳥(ルフ)を、ファルフを器用に操りながらカオルがアイテム箱に仕舞う。


「そうですね。美味しいのではないでしょうか?後で食べてみましょう」


 カオルと2人きりという状態で、普段無表情が多いエルミアだが、嬉しそうに顔を綻ばせていた。


(もうすぐ、カオル様が私を....)


 あくまで『ある物』を作る許可を貰いに行くつもりのカオルだが、エルミアは『婚約の挨拶』に行くものだと勘違いしている。


「じゃぁ、さっき獲った魚と一緒に、お土産にしようか?エルフの里って川はあるけど海は遠いんでしょ?」


「はい♪海魚は喜ばれると思います。さすがはカオル様です。お気使い下さって、ありがとうございます♪」

 

 ひさびさの帰郷に喜んでいると勘違いしているカオルは、声を弾ませるエルミアを眩しく見詰めた。


(親元を離れるって、やっぱり寂しいもんね。ボクもそうだし...)


 両親を想い出して悲しくなったのか、カオルはそっとエルミアと手を繋いだ。

 飛行中もなぜか温かく、それほど寒くは感じないファルフの背ではあったが、繋がれた2人の手から感じる温もりは、心を温かくするものだった。


(か、カオル様...そんなに私の事を....)


 勘違いし続ける2人。

 この後エルフの里に着いて、ひと波乱ありそうだ。


「カオル様。見えてまいりました。あれがエルフの森です」


 エルミアが指差したのは広大な森だった。

 魔境の様に薄暗い森ではなく、どこか神聖な雰囲気を纏っている。


「キレイな森だね」


「はい♪代々、エルフの里の民が守り続けてきた土地ですから♪」


「じゃぁ行こうか。ファルフ!!」


「クワァ!」


 エルフの森中心を目指し、カオルはファルフを急かした。

 嬉しそうに声を弾ませるエルミアを、一刻も早く両親に合わせたかったからだろう。


「あの!!カオル様!!結界があるので、直接は行けません!!」


「え?なに?聞こえないよ!!」


 全速力でファルフを飛ばした事により、エルミアの言葉はカオルに届かない。

 エルフの森には結界が張られ、正しい手順を踏まなければ、容易にエルフの里へは辿り着けないようになっている。

 森の中ならば迷うだけで済むのだが、上空から進入しようものならば、結界に阻まれ墜落する事になるだろう。


「か、カオル様!!止めてください!!!」


 必死に話し掛けるエルミア。

 だが、その声は遥か後方に流れていった。

 やがて、眼前に迫るエルフの森。

 視認する事すらできない結界の壁が、ファルフに触れたかと思うと、なぜかすんなり通り抜けた。


(なぜ!?)


 エルミアには皆目検討がつかなかった。

 ありえない事が、起きているのだから。

 カオルとエルミアが乗るファルフは、木々の枝を巧みに避わし、エルフの里へと辿り着いた。

 精霊に愛され、自然と共に生きるエルフの里。

 上空からも、エルフの森の周囲からも、結界により見る事のできない巨大な樹が中央に聳え立ち、土壁に囲まれた、藁葺きの家々が立ち並んでいる。

 そして、巨大な樹の一部が刳り抜かれ、見事な屋敷が建てられていた。

 巨大な魔鳥姿ののファルフが広場に舞い降りると、驚愕の表情を浮かべたエルフ達が建物の影へと一目散に逃げ出した。


「エルミア。手を」


「は、はい」


 先にファルフから下りたカオルは、紳士的にエルミアの手を取ると、ファルフからそっとエルミアを地面へ導く。

 その姿を影からこっそり覗き見ていたエルフ達は、王女であるエルミアの登場に安堵し、ゆっくりと近づいてきた。


「素敵な所だね」


「そう言っていただけると、嬉しいです♪」


 自身の育ったエルフの里を褒められ、エルミアは嬉しそうに破顔した。


「え、エルミアか!」


 突然の魔鳥の登場で騒然としていたエルフ達。

 騒ぎを聞き付けてやってきた、1人の妙齢のエルフの男性が、エルミアにそう告げた。


「お父様!」


 エルミアはカオルの手を離してその人物に抱き付く。

 どうやら、この男性がエルミアの父でありエルフの王の、リングウェウの様だ。


「や、止めないかエルミア。(みな)の前ではしたない」


「ご、ごめんなさい。お父様」


 リングウェウに窘められ、おずおずとエルミアが離れると、ひさびさの再会で嬉しそうに微笑む。


「初めまして。エルフの王、リングウェウ様。ボクは香月カオルと申します。突然の来訪をお許し下さい」


 いつぞやにヴァルカンから習った通り、カオルは地面に片膝を突き口上を述べる。

 相手は王であり、自分は他国の貴族なのだ。


「おお!!そなたが婿殿か!!遠路はるばる良くぞ参った!!歓迎するぞ!!」


 カオルの後ろで退屈そうに毛づくろいをするファルフ。

 周囲のエルフ達が見守る中、カオルとリングウェウの初対面は行われた。


 そこへ....


「...ケテ」


 カオルの頭の中で、声が聞こえた。


「だれ?」


「...ケテ」


 カオルは立ち上がり周囲を見回す。

 突然立ち上がったカオルを訝しげに見詰めるリングウェウ達。


「誰かが...呼んでる」


「...スケテ」


「ほら!また!」


 誰にも聞こえない声。

 エルミアも不思議そうに周囲を見回すが、誰の姿も見付からない。


「カオル様?いかがなされたのですか?」


「聞こえないの?誰かが呼んでるんだ」


 お互いに顔を見合うリングウェウとエルミア親子。

 周りのエルフ達にも聞こえておらず、カオルの言動はおかしなものに見えただろう。


「...タスケテ!」


 一際大きくカオルの頭に声が響いた時、上空から風切り音と共に巨大な何かが落ちてきた。


「何事だ!?」


 広場を囲むように建てられた家々が押し潰され、盛大に砂煙が舞い上がる。

 崩れた土壁が吹き飛ばされ、ファルフの周りに居たエルフが何人か怪我をしたようだ。


「エルミア!!みんなの避難を!!」


 即座に異常事態を察知したカオルは、『桜花』を取り出し身構える。

 ファルフに命令し、周囲のエルフ達を庇う様に壁にした。


「い、いったい何事だ!?」


「お父様!ここは早く避難を!!何かが...居ます!!」


 カオルが気付いたように、エルミアも気が付いた。

 上空から落下してきたのが、人ではない何かである事に。

 カオルはエルフの避難をエルミアに任せ、呪文を唱え始める。


「巻き起こりしは風の渦!舞い上がりしは竜巻!」


 短文呪文。

 紡がれるは魔力とマナへの回路。

 狙うは土煙を巻き散らした中心。


「『シュトゥルム!!!』」


 その瞬間。


 巨大な竜巻が巻き起こった。

 土煙と周囲の藁葺きの屋根が吹き飛び、落下してきた存在を露にする。

 それは、体躯100mを超えるであろう、巨大な大蛇(ラハム)であった。

 しなやかで細長く(とぐろ)を巻いた胴体に、妖しく光る2本の牙。

 時折口腔から舌を突き出し、爬虫類特有の黄色い目は風竜を想い出させた。


「ま、魔獣だと!?なぜここに!?」


 あまりにも予想だに出来ない出来事に、リングウェウはうろたえる。

 腰を抜かしたエルフ達が、怯えながらも身体を地面に擦り後ずさると、大蛇(ラハム)はいやらしく舌を出した。


「早く避難を!!ファルフ!!みんなをお願い!!」


「クワァ!」


 誰もが対応できない中、カオルはその身に風を纏い、大蛇(ラハム)に向かって行く。


(ここで引けば、みんなが危ない!!)


 カオルを突き動かすのはただの自己欺瞞(じこぎまん)だろう。

 本当は逃げ出したいはずだ。

 だが、カオルは引けなかった。

 自分が逃げたら、ここにいる人達は殺されてしまう。

 なにより、カオルに『タスケテ』と救いを求めた声が、耳の奥から離れなかった。


「はぁあああああああああああああああ!!!!」


 一足飛びに近づくと、力の限り刀を抜き放つ。

 硬い鱗に守られた大蛇(ラハム)は、刀が交わう事無く跳ね返された。


(...かったい!!!)


 痺れる右手に姿勢を崩したカオルは、距離を取る為に大蛇(ラハム)の胴体を踏み台に飛翔する。

 離れる両者。

 大蛇(ラハム)の眼光が鋭く光ると、カオルを標的と見定めたのか、時の声を上げた。


「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


 大絶叫。


 空間をビリビリと振るわせ、周囲の木々がその身を震わせる。

 対峙するカオルと大蛇(ラハム)

 大きく(とぐろ)を巻いた大蛇(ラハム)がその身を解くと、周囲の家屋が倒壊し、再び砂煙を上げた。


「振り下ろされしは金色(こんじき)の刃!(うな)れ!『イカヅチ!!!』」


 先手を取ったカオル。

 雷魔法を繰り出し、大蛇(ラハム)の頭上から雷撃を放つ。

 だが、大蛇(ラハム)はその身を器用にくねらせて雷撃を避けると、身体を伸ばしてカオルに噛み付いた。


「ギィイイイイイイイ!!!」


 すんでのところで身を翻し、カオルは攻撃を避ける。

 大蛇(ラハム)は尚も身を縮こませると、執拗にカオルに噛み付いた。


「こんのぉおおおおおおおおおおお!!」


 起死回生とばかりに刀に魔力を帯びさせ、『風の魔法剣』を発動させたカオルは、小さい身体を巧みに使い、大蛇(ラハム)の攻撃を掻い潜り、巨大な体躯に一撃をお見舞いする。

 切り裂かれる身体。

 吹き出る血潮。

 返り血を浴びたカオルが、崩れた家屋で足を取られながらも、何度も大蛇(ラハム)の身体を切り裂いた。


「ギシャアアアアアアアアアアア!!」


 大蛇(ラハム)は大声を上げた。

 身体を傷つけられた痛みと、カオルに対する憤怒から、身をくねらせて絶叫する。

 

「婿殿に後れを取るな!!エルフの民よ!!今こそ立ちあがれ!!」


 エルフ王リングウェウが、カオルが稼いだ僅かな時間を使って、精鋭達を集め参戦した。

 周囲の木に登ったエルフ達。

 手にする弓矢を何度も番え、カオルの援護に名乗り出る。

 頭上より降り注ぐ矢は、大蛇(ラハム)の硬い鱗に刺さる事無く跳ね返されるが、その圧倒的なまでの物量を恐れた大蛇(ラハム)は、尾を伸ばして樹木ごとエルフ達をなぎ払った。


「ウワァアアアアアアアアアア!!」


 倒れる樹木から逃げ惑うエルフ達。

 怪我を負い、負傷した仲間を担ぎ出す者達に、大蛇(ラハム)は仕返しとばかりに尾を振り落とす。

 だがその時、数匹の光輝く蝶が尾を遮った。


「『フリンダラ!!!』」


 耳を(つんざ)く衝撃音と共に、はじき返されたのは大蛇(ラハム)の尾。

 カオルが放った光の蝶は、衝撃波を発する魔法だった。


 下体を打ち上げられ、森の中へと吹き飛ぶ大蛇(ラハム)

 のた打ち回り周囲の木々を押し倒すと、(とぐろ)を巻いて、カオルを見やった。


(でかすぎて、いくら斬ってもきりがない...それならっ!!)


 カオルは『飛翔術』で風を纏うと、上空へと舞い上がった。

 睨み合う両者。

 大蛇(ラハム)はその身をしならせながら塒を巻き、次の瞬間にはバネの様に飛び上がり、大口を開けてカオルに襲い掛かっていた。


(チャンス!!)


 カオルは『風の障壁』を展開し、大蛇(ラハム)の口内へ向けて最大速力で飛び込んだ。

 静まり返る戦場。

 勝ち誇った大蛇(ラハム)は、地面に着地すると、嬉しそうに舌なめずりをした。


「カオル様!!!!」


 あまりにも無謀な行為に、見上げていたエルミアが悲痛な叫びを上げる。

 だが、カオルの姿は既に大蛇(ラハム)の身体の中へと消えていた。


「カオル...さま....」


 消えてしまったカオルの姿に、大粒の涙を浮かべる。

 隣で佇むリングウェウも、「なんと無謀な行為を」と、カオルの身を案じ震えていた。


 その時。


 大蛇(ラハム)は大きく目を見開き、力の限りにのた打ち回った。

 あまりにも大きな動作に、何本もの木々が押し潰され、盛大に砂煙を巻き上げる。

 やがて、大蛇(ラハム)は横たわったまま動かなくなると、エルミアは駆け出した。

 父親であるリングウェウの静止も聞かずに、一目散に大蛇(ラハム)へと向かう。

 口腔内へと消えてしまったカオルを探しに、エルミアは走る。

 無残にも、なぎ倒された木々の上で、大蛇(ラハム)は身体を横たえていた。

 辺りには、焼け焦げた異臭と流れ出る鮮血が異様な空間を作り出している。

 そんな中、エルミアは必死に探した。

 

 愛しいカオルの姿を。


 がむしゃらに、カオルが切り裂いた、大蛇(ラハム)の傷口にレイピアを突き刺して。

 涙が止まらなかった。

 どうしたらいいのかわからずに、ひたすらカオルの名前を呼んだ。


「...カオル様....かおる..さま」


 すると、エルミアは背後から抱き締められた。

 何度も感じた事のある温もり。

 小さな手が、エルミアのお腹の前で優しく組まれる。

 

「ただいま。エルミア。心配させてごめんね」


 愛しい人の、声が聞こえた。


 捜し求めたその人が、自身の身体を安心させる様に包み込んでくれた。


「カオル様」


「エヘヘ。ちょっと危なかったけど、無事に戻ってきたよ?」


 エルミアの肩から顔を覗かせたカオルは、エルミアの耳元を鼻でくすぐる。


「本当に無事で良かった....もう心配させないでください...」


「うん。気を付けるよ。それより、怪我をした人の治療に行かなきゃ。エルミア。一緒に行こう?」


 自分の事よりも他人を気遣うカオル。

 エルミアはまたも涙を流して、カオルと手を繋いだ。


「おお!!婿殿!!無事でしたか!!」


 遅れてやってきたリングウェウ。

 側に2人の従者を連れて、カオルが倒した大蛇(ラハム)を見上げた。


「しかし、この魔獣はいったい....」


「リングウェウ王。今はこの魔獣の事よりも、治療を先にしましょう。案内をお願いします」


「あ、ああ。お前達、婿殿をお連れしろ」


「ハッ!!」


 リングウェウと従者の案内の下、カオルとエルミアは負傷した住民の下へ向かって歩いた。

 幸いな事に、大蛇(ラハム)が現れた時に押し潰された家屋には人が居なかった。

 飛び散った家屋の破片で傷を負った者と、カオルの援護に回った時に、樹木もろともなぎ払われて怪我を負った者のみであった。

 悲惨な出来事ではあるが、奇跡的に死者が出なかったのは、幸運としか言い様がないだろう。


「ボクは治癒術師です。治療をしますので、力を抜いて下さい」


 『魔装【信頼(フィデス)】』で、黒巫女服もとい、メイド服に着替えたカオルは、腹部に木片の突き刺さったエルフの青年の治療を始めた。


「一気に引き抜きます。ものすごく痛いので、暴れると思いますから、押さえてて下さい」


 カオルは、案内をしてくれたリングウェウの従者にそう告げて、胸骨の下を通る動脈を圧迫しならが、力いっぱいに木片を引き抜いた。

 悲鳴と共に吹き出る鮮血。

 カオルは即座に回復魔法を発動させる。


(腹部外傷から右腎臓損傷。鋭的(えいてき)外傷だから、たぶん腸も穴が開いてるはず。血管と一緒に縫合して、あとは...肋骨も折れてる)


「我慢してください。今治しますから!」


 カオルの両手が淡く緑色に輝くと、手を伝って青年の身体も光出す。

 みるみるうちに修復される身体。

 心地良い風がカオルの黒髪をなびかせると、淡い光は収まった。


「大丈夫ですか?他に痛いところはありませんか?」


 苦痛から悲鳴を上げていた青年。

 カオルの優しい問い掛けに、涙を流しながら「大丈夫です」と答えた。


「そうですか。よかった....失った血は戻りません。しばらくは安静にしてください」


「はい。本当に、ありがとうございます」


 付き添っていた女性が、青年と同じ様に涙を浮かべてお礼を述べる。

 リングウェウとエルミアが頷き、カオルは「お大事に」とだけ告げて、次の患者に取り掛かった。


「お、お願いします!私はどうなってもいいんです!子供だけは!どうか子供だけは助けて下さい!!」


 右足が折れ曲がり、額から血を流すエルフの女性。

 大きなお腹を抱え込み、必死にカオルに懇願していた。


(妊婦....だめだ...もう破水してる....)


 身に纏っていた長めのスカートが、びっしょりと濡れている。

 生臭い匂いがするのは、間違いなく羊水だからだ。

 大蛇(ラハム)による過度のストレスが、彼女の出産を早めてしまったのだろう。

 カオルは助産婦の経験など無い。

 骨折や裂傷ならば回復魔法で治療する事が可能であるが、臨月前の未熟児の状態で生まれるような事があれば、どうする事もできない。


「とりあえず治療を先にします」


 スカートを捲り上げ、右足を露出させる。

 足は、くの字に曲がっており、表皮を破って脛骨が突き出していた。


(靭帯で辛うじて繋がってるだけか...痛みを我慢してお腹の子供を心配するなんて....)


 涙が出そうになるのを必死に堪え、カオルは回復魔法を掛ける。


(飛び出た脛骨を押し込んで繋ぎ合わせる....あとは裂傷と額の傷も.....)


 掲げた両手から魔力を送り込むと、淡く輝き徐々に傷が治療された。

 苦痛に歪む女性の顔。

 必死に何度も子供の心配を告げていた。

 怪我の治療を終えたカオルが、側で見守る男性に声を掛ける。


「助産婦はいないんですか!?」


「今は他の治療に当たっていて、手いっぱいなんです」


 大蛇(ラハム)との戦闘で傷付いた者は多い。

 仮設的に作られた治療所の中で、他の治癒術師は今尚治療を続けている。


「....わかりました。ボクが取り上げます。男性は出て行って下さい。エルミア!!お湯の用意と清潔な布を準備して!!」


 腹を括ったカオルは、エルミアにそう告げると、周囲に『浄化』の魔法を掛け清潔にした。


(本で得た知識をフル活用するしかない)と、この時カオルは思っていた。


「すぐに準備します。さ、お父様。みなさん出て行って下さい」


 エルミアに背を押され出て行く男性達。

 1人の男性が何度も振り返り、心配そうに女性を見詰めていた。


「待って下さい。あなたは旦那さんですか?」


「あ、ああ。そうだ」


「では、あなたは残って彼女の手を握っていてください。気絶しそうになったら、何度も名前を呼んであげてください。あなたと彼女の子供なんです。2人の力でこの危機を乗り越えてください」


 年はもいかない幼い子供の力強い声が、男性の心に深く突き刺さる。

 うろたえていた男性が意を決して女性に近づくと、お互いの手を取り見詰め合った。


「絶対に助けます。だから...負けないでください!!」


 カオルは、勇気を与えた。

 絶対諦めないという勇気を。











 それから4時間後。

 急拵えの仮設治療所で、無事に可愛らしいエルフの女の子が産まれた。

 「おぎゃあ」という元気な声が響き渡ると、外で待っていた男性達が、大歓声を上げる。


「ありがとうございます。本当に、ありがとうございます」


 エルフの夫婦は何度も頭を下げ、満身創痍(まんしんそうい)のカオルはヘトヘトになりながら微笑んだ。

 側で手伝ったエルミアも涙を浮かべ、手伝いに来てくれた王妃アグラリアンも、ハンカチで目頭を押さえていた。


(本当に、よかった...)


 目まぐるしく起きた出来事の数々に、疲労困憊(ひろうこんぱい)としたカオルは、仮設治療所の外に設けた椅子に、寄り添う形で座ったエルミアの肩へ頭を預けた。


「疲れたね。エルミア」


「はい。でも、カオル様のおかげで、エルフの里も、あの赤ちゃんも無事でした。本当にありがとうございます」


 絡まるように繋がれた2人の手。

 仲睦まじいその姿を、遠くからこっそり覗く影が2つあった。


「あなた」


「うむ。エルミアも成長したようだな」


「ええ。あんなに仲良さそうで、安心しました」


「そうだな。送ってきた手紙では『まだまだ進展しそうにない』などと書いてあったが、十分進展しておるではないか」


「ええ。早く孫の顔が見たいですね♪」


「いささか気が早くはないか?婿殿はまだ12歳なのだぞ?」


「何を言っているんですか。エルミアの子は、次期エルフ王なんですよ?早いに越した事はないではないですか」


「まぁそうだな。早く婿殿とエルミアの子が見てみたいな」


 カオルに好意を寄せるエルミア。

 エルフの里、特秘である伝書鳩を使い、手紙のやり取りをしていた。


「ねぇ、エルミア」


「なんですか?カオル様」


「お腹空いたね」


「そうですね。何かお作りしましょうか」


「ボクも手伝うよ」


 明るい月夜が照らす中、カオルとエルミアの2人は、リングウェウが住まう屋敷へと歩いて行った。











「あなた早く!屋敷に私達がいないとカオルさんが変に思うかもしれません」


「ま、待ってくれ。さすがに身体が....」


「まさか、歳だなんて言わないですよね?」


「う、うむ。つ、疲れただけだ」


「それなら早く!」


「わ、わかった....」


 実は、アグラリアン王妃の尻に敷かれているリングウェウ王。

 カオルとエルミアに覗きが気付かれまいと、懸命に屋敷へ走って行くのだった。


「ひぃひぃ....やはり歳か....」


「パシーンッ!」


「ひぃ!?」


 がんばれリングウェウ。

 負けるなリングウェウ。

 奥さんの尻に敷かれているのはお前だけじゃないぞ!


 時を同じくする頃、帝都南にある食堂の寮の一室で、カイとメルが雑談をしていた。

「うぉ!?」

「どうしたの?」

「なんか、急に寒気が・・・」

「風邪でも引いたの?」

「わかんねぇ」

「ほ、ほら。明日も仕事なんだから、一緒に寝てもいいわよ・・・?」

「ま、マジデ!?」

「う、うん・・・」

 自分で言っておいて恥ずかしがるメル。

 カイは嬉しそうにベットに潜り込むと、メルと抱き合った。

「あったけぇ」

「まったく、子供なんだから・・・」

 将来、メルの尻に敷かれる事が決定しているカイは、リングウェウ王と同じ道を辿るのだろう。

「ムニュッ」

「パシーンッ!」

「いてぇ!!」

 がんばれカイ。

 負けるなカイ。

 仲間はいるぞ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ