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策士の母と恋する乙女


私は今あまりにも興奮していて、このままではどうにかなってしまいそうです。


なぜなら、私の想い人のカオル様が・・・・男性だったのです!


知りませんでした・・・


しばらくの間お会いできなかったのですが、昨日突然アゥストリとルチアに呼ばれて迎賓館のカオル様のお部屋に行ったのです。


そこにはカオル様の姿はありませんでしたが、なぜかお母様や剣聖ヴァルカン様・剣騎のグローリエル様達が思い詰めた表情でいらっしゃって・・・


あまりにも真剣な表情に、(おび)えてしまいました。


だって、お母様の顔色がとても悪くて・・・・


ここ最近、ちゃんとお休みになられていないようでしたし・・・・


うろたえている私を察して、お母様は皆様の前だというのに、私と2人きりでしか話さない優しい口調で「カオルの為に、あなたの力を貸してほしいの」なんておっしゃって・・・


私はそれを聞いて、ああ・・・お母様は今、私に助けを求めているとわかりました。


初めてでした。


いつも与える側だったお母様が、私に助けを求めるなんて・・・


私は1も2も無く、それに答えました。


嬉しかった。


お母様の役に立てる事が。


それに・・・・


私の愛しい人。


カオル様の為に何か出来るなら、喜んで力を貸します。


お母様に案内されて、なんだかよくわからない淡く光る黒い本を囲み、お母様と同じ様に、カオル様からいただいた黒い石で(かたど)られバラの刺繍が入ったハンカチを掲げました。


すると、本が突然光を増して輝きだし、あまりの眩しさに私は目を閉じてしまいました。


あまりにも一瞬の出来事で、私の思考は追いつかず、どこか夢心地(ゆめごこち)でした。


気が付いたら真っ暗闇の中にいて・・・・


でも、傍にお母様がやってきて、恐怖に震える私を優しく抱き締めて下さいました。


温かかった。


そんなお母様の手を握り、ヴァルカン様の案内で淡く光る場所へ向かうと、そこには変わり果てたカオル様の姿が・・・


私が何より驚いたのは、カオル様が何も纏わず、その・・・・生まれたままの姿で・・・・


そのですね・・・・・主に下半身の・・・・アレが・・・・


丸見えで・・・・キャッ♪


・・・凄かったんです。


ずっと同性だと思っていたので、まさかその・・・・男性だとは思っていなくて・・・・


身体中を怪我されていた事を心配しなきゃいけないのに、もうアレに目が釘付けになってしまって・・・・・


こんなはしたないリアをお許し下さい・・・・


でも、なんでカオル様は怪我をされていたのでしょうか?


怪我自体は、一緒にいらっしゃった治癒術師の方が治していましたけど・・・・


う~ん・・・・


でも、カオル様が無事でしたらそれでいいですよね♪


ああ、それにしてもカオル様のは・・・・凄かったです・・・・・


あんなに大きな物が、私の中に・・・・


ちょっと怖いですけど、愛しのカオル様の物なら・・・・


そこへ、扉をノックしてアーシェラがやってくる。


「リア?少しいいかしら?」


アーシェラがそう声を掛けると「お母様!?はい、大丈夫です」と答える。


ベットへ腰掛けるフロリアの傍にやってくると、隣に座り話し始めた。


「実はね、言い辛いのだけど・・・・あなたと、男爵であるカオルとの婚約をお願いしたいの」


アーシェラの言葉に、フロリアが歓喜の声を上げる。


「本当ですか!?嬉しいです♪」


フロリアの喜びようを見て、神妙(しんみょう)な面持ちをしていたアーシェラが安堵(あんど)した。


「よかったわ。政略結婚みたいで申し訳ないと思っていたの」


もう!お母様ったら・・・・本当は、私がカオル様をお慕いしていることなんて、とっくにご存知のはずなのに!


でも、私を気遣ってこういう演技をしてくださるのも、愛ゆえになのでしょうね。


それにしても、私がカオル様と・・・・


婚約だなんて・・・


ゆくゆくはカオル様とお子を・・・


もう!


きっと、私とカオル様に良く似た可愛らしい子が生まれてきますわ♪


そ、その前に・・・・・初夜を・・・


イヤン♪


温かく見守るアーシェラの隣で、恋する乙女のフロリアは両手を頬に添えて身悶(みもだ)えていた。


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