第五話 第十九部 収録と集中
「準備はいいね。それでは始めるよ。」
私たちはガラスの向こう側にいるアイリングの四人を見つめた。イヤホンを片手で抑えるようにして楽しく歌っている。だけどもちろんながら踊ってはいない。各々が体を揺らしながら歌ったり、笑顔を見せている。私たちもウキウキするように体を揺らしてしまう。これはライブでやっていた「エレガントガール」だ。踊っていない分、綺麗に聞こえてくる。当然のことかもしれないけど…とにかく皆上手い。アイドルの鏡って言いたくなりそうなぐらい…聞いているだけですごさが分かりそうなぐらいだ。
「うん…。」
隣で楓は目を瞑りながら聞いている。音だけに集中しているのかな。恭花さんもじっと見つめながら聞いている。アリスにいたっては声は出さないものの、体を動かしていたりファンの人たちがやりそうな行動をとっている。どこいっても変わらないのね。そして…聞きながら調節したり、音波を見ている人たちはかなり集中して聞いている。これがプロ…素晴らしすぎる。それでも…やっぱりダメなところはしっかり言うのだろうか。
曲が終わるとアイリングの人たちが一息ついた。そしてプロの人たちからの指示を待っていた。
「ちょっともう少し力強さを入れて歌ってみて。二つを聞き分けてみるから。」
「わかりました!」
そしてまた録音が始まる。続けてやるのか…それがどれだけ大変なことなのかは分かるけど…あの人たちは楽しくやっている。それが…プロというものなのかな。
「千代乃、頑張ろうね。」
恭花さんが私の肩を叩いて声をかけてくれた。うん、私たちもこれから同じようなことをするんだ。だから…頑張らないと。




