第五話 第十部 収録と精神力
「ワンツーワンツー! 楓! ステップ遅れてる! 千代乃はもう少しキビキビと!」
「はっ、はいい!!」
楓は疲れた声で返事をしていた。私にいたっては疲れて返事すらできていなかった。それに比べてアリスは平気そうな顔でステップをしている。
「アリス! フワフワしすぎてタイミングがずれている!」
「ごめんなしあ!」
いったいどんな謝り方なんだろうか。方言? いや、この人はどんな人なのか私にも分からない部分がある。でも基礎ステップはカンペキにこなせていた。相当上手なのも分かっている。でもこのフワフワしたステップをどう変えていくのかがポイントになってきそうだ。とにかく今は自分が出来るようにならなきゃ!
「千代乃いいよ! あっ、そこちがう! 右足が変な動きになっているよ。」
「す、すみません…!」
「よし…休憩しよう。」
「恭花ちゃん、指導しながらダンスなんてすごい体力だね。」
「わ、私だってこれは疲れるわよ…。」
私たち全員が一斉に座り込んだ。息が荒くなり、呼吸するだけでも疲れているのが分かる。汗もダラダラと流れていてシャツはビッショビショになっていた。
「でもこうやってダンスするのってイイネ!」
「そうね。アリスも本当に上手だったよ。」
「エッヘヘヘン。」
私たちはそれぞれ飲み物を飲みながら休憩していた。こんなに大変な練習は初めてだ。あのときみたいなライブがいつでもできるように…常に練習していないと。
「それじゃあ続きいきましょうか!」
「も、もう!?」
「当たり前よ。こういう精神力も必要になるのよ。」
「恭花さん…すっごいですね。その集中力と精神力は私たちには無いですよ…。」
「そんなこと言っても千代乃もこれぐらいないといけないのよ。」
私はこの練習に耐えられるか心配になってきた。でもやらなきゃいけない。アイドルになったんだからそれぐらいやらないと。




