第五話 第八部 収録と私らしさ
「うーん。」
私は自分がセンターになったことで少し悩んでいた。そのプレッシャーによってかもしれないけど…なかなか衣装作りに手が回らなかった。楓は私が歌詞を作るようにお願いしてくれた。歌詞はなんとなくまで決まったけど…しっくりこない。私をイメージした曲だからなおさら難しい。どうしても私の歌詞が悲しいものへと変わっていく。これじゃあアイドルの曲にならない、悲壮感漂う変な曲になってしまう。私らしさ…これを考えるのが一番難しかった。
「どうしたの? さっきからうーんうーんと悩みながら服なんか作って。」
私が声を上げて考えていたことに気にかけたお母さんが部屋の中に入ってきた。私は大きくため息をついて作成途中の衣装を眺めた。
「ねえお母さん、私らしさって何?」
「そうねぇ…大人しいのに頑固なところかな。」
「私が?」
「昔からそうだったじゃない。大人しいところは良く見られたけど、それと同じようにある時になると完璧にできるようになるまでやったじゃない。頑固はちょっと違うかな、完璧主義者というかな?」
「私ってそんな感じ?」
「一番あなたのことを知っているのはお母さんよ。でもそれは強みだと思うわ。それは変えないで行くべきよ。」
「そう…でもそれを歌詞に繋げるのって難しくて…。」
「ありのまま、思ったことを書けば良いのよ。自分がセンターになったんでしょ?」
「何で知ってるの!?」
私はお母さんに伝えてもないことを言われて思わず身構えてしまった。
「だって、さっきから口に出しているじゃない。」
「えっ…本当!?」
私でも気づかないことにまでまた驚いてしまった。さすがお母さんだなぁ…。
「自分のイメージソングなら自分の思いをすべて歌詞にぶつけなさい。それが…きっと良い結果を出すと思うわ。」
「……ありがとうお母さん。少しだけど何かつかめられたらと思う。」
「いいのよ。頑張りなさい。」
私はお母さんの言葉に勇気付けられた。もっと頑張らないと。私の思いを聴いてくれる人たちに伝えるために。




