第四話 第十一部 デビューと励み
「ん…ふぅ。」
私は飲み物を飲んでビデオを見続けた。たしかに気になる点は探していくと見つかっていく。ステップが間違っていたり、歌の音程がずれていたり。
「でもここまで形になってきたわね。あとはどんどん仕上げていかないと。」
「うん! 歌も歌詞を見ずに歌えているから大丈夫そうだね。」
たしかにそうだった。良い点も見つかっていく。わかる点としてあげられるのはこのステップ。難しいと思っていたところが皆できていた。そしてそろったダンスと歌。これなら心配は特になさそうだ。
「でもひとつ心配なことが…あるの。」
私は飲み物を眺めながら口を開いた。楓も恭花さんも私の方を向いていた。
「本番の時に緊張して…失敗したらどうしよう。」
「そんな心配いらないよ!」
私が弱気は発言をすると、間髪を入れず楓が声をかけた。
「たしかに始まるまでは緊張するよ。でも始まってしまえばもう集中できるから問題ないわよ。私だって陸上大会の時はそんな感じだったもの。」
「私もライブの前は緊張するよ! でも始まってしまったらもうそんなの関係ない。やることをやるだけ!」
二人は自身を持って私の肩を叩いた。そうだよね…始まってしまったらあとはやるしかないもの。二人を信じて…やるだけ!
「それじゃあ休憩終わったらもう一回いくよ。」
「はい!」
私は気合を入れて立ち上がり、練習に励むことにした。
「つ……疲れた。」
「あれだけ動いたからね。私もヘロヘロだよ!」
練習を終えて外に出たわたしたちは夕焼けに照らされながら歩いていた。もう疲れでヘトヘトだ。
「運動と違って歌いながらダンスって難しいわね。それにしても千代乃、大丈夫?」
「ちょっと張り切りすぎちゃった。体力ないね、私…。」
二人はにっこりと笑って私の顔を見た。
「そんなことないわよ。初めの頃と比べたら相当体力ついたと思うわよ。」
「そうだよ! すごいことだよ。」
「ありがとう…もっと頑張る!」
私は右手を握って心の中で誓った。最後までやり遂げてみせると。