第四話 第八部 デビューと歌
「それじゃあ音楽流すよ…。」
楓が再生ボタンを押す。私たちのデビュー曲の練習…。どうなっていくのだろうか。
カンカンカン
ドラムスティックを叩く音が聞こえると音楽が流れる。私は大きく口を開けて歌う。恭花さんも笑顔のまま楽しそうに歌う。そして何よりも楓の声量が大きい。そしてはっきりと綺麗に聞こえてくる。私も一生懸命声を出しているけど聞こえているのかどうか心配になる。恭花さんの声はしっかりと聞こえてくるし、カラオケで聞いていたように音程も取れている。そしてなによりも楓の成長がすごい。この短期間でこんなに上手くなるなんて。
ジャーーン!
「いぇい!!」
最後は皆で声を掛け合って終わった。しかもポーズまでちゃっかりとってしまった。楓はボタンを押すと別の機械のボタンも押した。
「それじゃあ今歌った奴をもう一度聞いてみよう!」
「そんなことしてたんだ!」
「ちょ、ちょっと恥ずかしいよね…。」
楓は再生ボタンを押して先ほど歌っていたものを流し始めた。
「これは本当にどこがダメかが分かるよ。CDとは違って生の歌をそのまま取っているから一番今足りないものや、ダメなところが分かるよ。もちろん良いところも見つかるから安心してね!」
楓はニコニコしながら曲が流れるのを待っていた。そして始まると同時に私たちの声が聞こえてきた。全員がそろっていると綺麗に聞こえてくる。後は一人ずつの歌がどうなっているかをしっかり聞かないと。
「楓はやっぱりいい声だね。」
「ありがとう。次は千代乃だよ。」
次は私の出番になってきた。どんな声で歌えているのかな…。
「おおー。いいわね。」
「音程もしっかり取れているし。」
自分の声を自分で聞くのはちょっぴり恥ずかしい。でもグループのためにしっかり聞かないと。