第四話 第七部 デビューとスタジオ
「とーちゃーく!」
楓が両手をあげた所は綺麗なビルだった。こんな所にスタジオがあるのか。すごいなぁ、なんて人脈の広さなんだろうか。
「入って入って!」
私と恭花さんは楓についていくように歩き始めた。エスカレーターをあがるとすぐ目の前に音楽スタジオがあった。楓は中に入ると受付の場所へと移動する。
「あら、楓ちゃんお久しぶり。」
「やっほー! 予約していた場所、よろしく!」
どうやら知り合いらしい。行きつけの場所に何度も行っていればこんな風に仲良くなれるのかな。
「始めまして。」
「あら、この女の子二人は?」
「あ、私アイドル始めたんです! そのメンバーです。」
「アイドル! またそれは。」
「九石千代乃といいます。」
「夜桜恭花です。よろしくお願いします。」
「二人ともよろしく。」
店長と書いてあった。この人、とても優しそうだな。そして癒される。
「それじゃあこっちこっち!」
手招く楓はテクテクと歩いていく。そして一番大きそうな部屋に入っていく。
「おお!」
「これは…すごいね。」
「へっへーん! それじゃあ前に渡したメニューのように体動かしてからボイストレーニングするよ。」
私たちはすぐに荷物を置いて上着を脱ぎ、歌う準備に入った。腕をまわしたり深呼吸、体を動かしていった。
「それじゃあボイストレーニング行くわよー。」
『それでは、ピアノの音に合わせて声を出して行きましょう。』
CDを流し始めて私と楓と恭花さんは横一列に並んだ。
「「「あーあーあーあーあー。」」」
いつものように声を出していく。この短期間で私も恭花さんも音程がしっかり取れてきた気がする。後は本番の歌でいかに上手く歌えるかが必要になってくるかな。
「良い感じだね。よし、それじゃあ本番いこっか!」
「はい!」
「がんばりましょう。」
私と恭花さんは返事をしてマイクを取り出した。そろそろ…歌練習本番かぁ。