第一話 第一部 千代乃と紅音
ピピピッ
あ、メール。帰ってすぐにパソコンから送ったメールがもう届いていた。すごく丁寧な人に思える。私はすぐに受信ボックスを開いてメールを確認する。
『九石 千代乃さん、こんにちは。メールありがとうございます。アイリングのアカネです。本名は三ノ輪 紅音です。』
この人は三ノ輪紅音という人だったのかぁ。私も名前教えたしいいかな?
『質問の答えですがまず一つ目から。アイドルをしたいなら少しアイドルの勉強をして、少し真似事でも良いからカバーを一つやってみると良いよ。アイドルがどんなものかと、基礎ができないと個性なんて話しなんかできないからね。』
なるほど、やっぱり一からやっていくことが大事かぁ。あまりレッスンとかのお金とかは出せなさそうだし…。独学で学ぶしかないのかな。たぶん必要なものでお金が飛びそうだし…。
『あと自分を磨くことも必要かな。やっぱりアイドルってかわいく見せなきゃいけないからね。ファッションや化粧も学ばないとね。』
そうか、少しでも自分を磨かないといけないのか。そのための努力と費用も必要になるということになりそう。
『次は必要なものだったよね。本格的にやるなら今は録音できる機材やマイクが音楽系で必要なもの。ダンスのための鏡とか、できればビデオカメラとかもあると良いよ。あとは化粧品とか多少の服かな。最終的にはアイドルの衣装も必要になるし。だから今は用意できる物でやると良いと思うよ。』
やっぱりその辺りが必要になるのかな…。そうなると…予算としては十万ぐらい必要なのかな…。たしか、私ってバイトで稼いだお金の使い道がなくてそのまま貯めていたはず。通帳は…、あったあった。
「私のお金って…。」
……50万…、服を多少買っていただけでもこんなに残っていたなんて…。正直自分に驚いている。まさかこんなことになっているなんて…。よし、たしか明日は休日だったはず。大型デパートに行って買いに行こう。