第二話 第九部 勧誘と運動
「千代乃ちゃんは結構体系は細いね。」
そういって楓は私の着替えている体を見た。なんだかちょっと恥ずかしいけど確かにそうかもしれない。
「うん。あまり運動できなかったし…。というかどこ見てるのよ!」
「ごめんごめんって。でも体弱いってのは本当だったのね。」
「私もそれ用に練習メニュー考えておくわ。楓は多少体ができているから体力をつけるメニューだね。千代乃は疲れてきたり、辛かったら言ってね。そうでないと倒れたら困っちゃうから。」
「うん、ありがとう。」
そういって恭花さんも着替えていく。決して太っているわけではないが、少々しっかりとした筋肉がついている。そしてうっすらだけど腹筋も割れている。スリムだしうらやましいなあ。
「……あまりジロジロみないでよ…。」
「一番体系いいわねー。私は子供体系だし。」
「いいのよそんなことは!…さあ、やっていきましょう。」
恭花さんの後をついていくように私と楓は歩き始めた。そして恭花さんが扉を開くとたくさんの機材が置いてあるジムが見えた。
「わあ…確かにこれはすごいね。」
「恭花さん、いつもこんな場所で練習していたのですか?」
「いつもってわけじゃないけど、週5回は来てたわね。軽いときもあったけど。さてと…まずは準備運動よ。」
私たちはすぐに準備体操を始めた。最初は体育でやりそうな単純な体操だった。そしてストレッチが始まる。少し体が硬い私にとっては結構な苦痛だった。
「いたた…。」
「もう少しよ。息を吐きながら…。そうそう!」
恭花さんのアドバイスのおかげでなんとか体操を終えることができた。そしてすぐにトレーニングが始まった。
「まずは腹筋ね。V字腹筋って知っているかな?」
「なんだろう…。」
「ふつうの腹筋なら知っているけど。」
私と楓も何の運動になるのか全く分からなかった。
「ならお手本を見せるわね。」
すると恭花さんは私たちの目の前で寝始めた。そして体をV字のようにあげる。
「なにこれ! すごい!」
楓は拍手してびっくりしていた。たしかにこれはすごい…でも私たちにできるのだろうか…。
「さあ、二人ともやってみよう。」
そういわれ私たちは見よう見まねで同じようなポーズをした。
「な、なにこれ!?」
「腹筋がプルプルしてるー!」
私と楓は想像以上の辛さに驚いた。そしてすぐに倒れてしまう。こんなのを恭花さんは説明しながら言えるの? アイドルにはこれぐらいの体力が必要なのかな?
「まあこれもウォーミングアップの一部だからしっかりできるようにならないとね。」
「うそ…。」
「うへー!!」
私と楓は背中をつけた。息がもう切れそうかもしれない。