第七話 第三十三部 クリスマスと調整
「それでは最初にルナさんお願いいたします。」
「わかりましたー。」
ルナさんはステージの上に立って準備を始める。他のアイドルはそれぞれ聞く場所を変えていた。どこから聞いても良いようにするためだ。そして確認しなきゃいけないのはダンスや歌だけではない。ここまでくると光などの調整や照明の流れ、PAの設定などを個別にやっていかなければならない。だからこそここでもミスすることがないようにやっていかなければならない。その中のトップバッターでルナさんが出ることになった。この大きな期待とプレッシャーの中でどのようなパフォーマンスをするのか。それも気になってくる部分になる。
「それじゃあいきます!」
ルナさんが声をかけると皆が手を挙げて準備完了の合図をする。私たちも手を挙げて準備完了の合図をとった。そして音楽が流れ始める。
「みなさーん! こんにちはー!」
本番さながらの声をかける。あたかも目の前に観客が目の前にいるかのように声をかけると私たちもそれに合わせて拍手をする。
「それではいきましょー!」
ルナさんが声をかけ、歌い始める。…さすがといった歌声だ。よく響く声でハキハキとしている。さらには私たちの心をひきつけるかのようにかわいらしい声を出してくれる。さすがはルナさん、メイドアイドルのトップというべき人だ。
「やっぱりすごいね。」
「うん。私たちの胸にガツンとやってくるよね。」
私たちは鳥肌を立たせながら曲を聴いていた。照明も曲に合わせて動き、音もかなりよく出来ている。さらにサビの盛り上がり方がすごい。私たちまで声を出してしまいそうなぐらいの盛り上がり。私たちにこんなことができるのだろうか。いや、しなければいけない。私たちは全国にいるアイドル代表の一グループとして出ることになっているのだからその期待に応えていかなければならない。
ジャーン
そして曲が終わった。私たちは大きく拍手をする。アイドルの人たちと会場を準備している人以外はいないのにまるで会場全体が大きな拍手で包まれているかのような盛り上がりを見せてくれた。
「すみませんー! 照明の方ですがサビの部分、もう少しライトの点滅を速めてくださいー。PAさん、エコーを少しだけ強めにしてくださいー!」
ルナさんはそれぞれの人たちに指示をしている。自分の歌を客に伝えるためにさらに良い方向へと変えていっている。私たちも自分たちにあった照明と音響を決めていかなければならない。もちろんパフォーマンスがそれに伴わなければまったく意味がない。だから…頑張っていかないと。