第二話 第五部 勧誘とお嬢様
「ここだね…。ちょっと緊張する。」
「でも楽しむ場所だから目一杯楽しもう!」
「楓の言うとおりね、入りましょう。」
私はゆっくりと扉を押した。そしてお店の中が見えるようになると目の前に三人のメイドさんがやってきた。
「お帰りなさいませ、お嬢様!」
「おおぉー。」
お嬢様と呼ばれた。これはメイド喫茶特有の呼び方だろう。楓は目をキラキラさせていた。たしかに私も新しいお店に入ると周りを見渡してしまう。意外にも女性の客も来ていて楽しそうだった。
「こちらの席にお座りくださいませ!」
「はーい。」
「それにしても笑顔のままなのがとても良いわね。」
「うん…体力も使いそうな仕事なのに顔は常に笑顔にしている。」
私たちはメイドさんの隅々を見て驚いた。笑顔のままずっといて、お客様を喜ばせている。これができなきゃ商売はできないから…。しかしこれがどれだけ大変なことなんだろうか。皆がすごい人に見えてくる。
「あ…もしかして! ねえねえ、店長さん。あの人のところ私が行きたい!」
「行きたいって…なにを? これからライブだよ?」
「大丈夫です、ライブはしっかりでますので!!」
私たちがメニューを決めていると一人の女性がやってきた。
「お嬢様、ご注文はお決まりになりましたか?」
か、可愛い。白っぽい髪の毛でポニーテールしかしめちゃくちゃ長い。でもかわいいとしか言いようが無い女の子がやってきた。もしかして同い年なんではないのだろうか? そのぐらい若く可愛い女の子だった。
「あ、私はコーヒーで!」
楓が元気よくメニューを決めた。
「それじゃあ、私は…このケーキセットで…。」
「うーん、私はサンドイッチで。」
「かしこまりました! あ、これから私、歌いますので是非ステージの方を見てください!」
「本当に!? やった! それじゃあ飲み物とかはそれが終わってからで!」
すると女の子は手を不思議な形にしながらテクテクと歩いていった。そして店長さんらしき人に注文の内容を言うとステージの方へとテクテクと歩いていった。
「こーんにちはー! ありるでーす!! さっそくだけど歌っちゃおうかなー!」
「おおおお!!!」
歓声と拍手が沸き起こる。ものすごい人気だなぁ。これだけ人がいると楽しいものだなぁ。