第七話 第十六部 クリスマスと意見
ジャーーーン
「ふぅ…。一日でこれだけこなせるようになれば良いよね。」
「うん! 歌も良い感じで歌えているし!」
私たちは楓のセンター曲練習のあとに恭花さんのセンター曲練習をしていた。でも…ひとつ気になるところがあった。でもこれって言うべきなのかな…。いや、これは一つの意見として言わなきゃ。
「あの、一つ相談があるのですが。」
「お、千代乃の相談! 天使が舞い降りたみたい。」
「アリス、それは違うと思うよ。」
「えっとね…。この…サビに入る前のステップとダンスなんだけど。タタンタタンってリズムだったけど、これをタンタタタンって変えると見栄えが良いかなって思ったの。」
私が意見を言うと皆が立ち上がってステップを確認していた。どう思ってくれるのだろうか。
「うん、確かに良いと思う。でもこれだと少しポーズを変える必要があるわね。」
「曲とのリズムも考えると次のサビへのダンスに入るためのポーズ変更を考えていかないといけないからね。そのダンスは決まっているの?」
「わかった。えっとね…。」
私は楓に言われたとおりにいくつかのポーズをやってみた。それぞれにうなづいてくれている。私の意見が反映するかどうか分からないけど…分からない所やよくなりそうだと思う場所はどんどん言っていかなきゃ。
「私だったら…二番目かな。」
「うん! 私も二番目が良いと思う!」
「じゃあそれで決まりかな! そしたらBメロからサビに入るところでやっちゃおう!」
私の意見が通ってくれた。私はとても嬉しい気持ちになると同時に、自分の考えたステップだからしっかりと皆のステップを見ていかなければ。
「それじゃあいくよ!」
「ふぅ…今日は良い収穫だったね。」
「ステップの変更はとても良い案だったと思うわね。それと楓の曲のギターリフをすこしアレンジするというアリスの意見も良かったわね。」
「えへへ。あれはグワワーン! よりギュギューン! って感じのが盛り上がるかなって。それの方が楓っぽさが出ると思って。」
「うんうん! ありがとうね。」
私は笑顔のまま歩いていた。そういっていろいろと意見を言える仲間なんてそういない。だから…大切にしたい。
「やっぱり…こういって意見言える仲間って良いよね。」
「うん! 千代乃の言うとおりだよ! 前のバンドメンバーではなかなかこういうのできなかったし。」
「私は陸上では言われたことをやって、自分にあったものを見つけなきゃいけないから大変だったわよ。」
「私もメイドなった時は大変だったな。周りがそれどころじゃないって感じ。」
皆がそれぞれ感じていることはあったようだった。やっぱり…このメンバーだからできることがある。それを私たちが叶えていけば…!