第七話 第九部 クリスマスとハルミ
「キャアアアアア」
私は倒れてから二日目の夜、休憩しながら文化祭ライブの様子を見ていた。一日、お母さんがビデオを撮っておいてくれたときがあったのを見ている。私…こんなに元気に歌っていたんだ。たしかに…あの時の私は楽しんでいた。あの楽しみがずっと続いていたい。けど今の体力ではどうしようも出来ない。少しずつでもいいから…ソロライブの時が来るまで思いっきり練習しなければ。体力を付けるためにもしっかりと基礎練習をしていかないと。
「ふぅ…。」
私は着替えを取り出してすぐに着替え始めた。そして着替え終わると階段を降りてお母さんの場所へと移動していった。
「おかあさん、ちょっとそこの公園でランニングしてくるね。」
「わかった。もう体調は大丈夫なの?」
「うん。」
「無茶しないように気をつけてね。」
私は靴を履いてすぐにランニングしに向かった。私は歩きながらストレッチをして準備をした。たしかに私の体力をしっかり付けるようにするためには相当な努力が必要だ。だから…頑張らないと。
「ふう……。」
「あれ?」
私が走っているとある人に声をかけられた。暗くてよく分からないけど、どこか見たことのある顔だった。
「やっぱり。ピュアプラチナの千代乃ね。」
「あ、ハルミさん。」
目の前には同じようにトレーニングをしていたアイリングのハルミさんがいた。私は足をとめて挨拶をする。
「あなたもトレーニング?」
「はい。私、元々体弱いのでこうして体力つけないと…。この前も疲れて倒れちゃって。」
「そうね。私は運動音痴だったからこうやって運動しているの。技術的な面でも体力的な面でも他の人たちよりは劣っていたから頑張って追いつこうと練習しているの。」
「そうだったんですか…。お互いに頑張りましょう。」
「そうね。もしよろしかったら一緒に走らない?」
「はい!」
私はハルミさんと共に走り始めた。夜ということもあって、二人なら安心感ができる。そして…お互いに頑張れるということがある。でもまさか公園でハルミさんと出会うなんて…。案外家が近かったりしたのかもしれない。