第六話 第十部 文化祭と精一杯
「皆、……ありがとう!!!」
デビュー曲、新曲を二曲うたえ終えた私は、息を切らしながら皆に声をかけて手を振った。その瞬間に開場は大盛り上がり。これだけの歓声が聞こえてくると、あのライブの時を思い出してしまう。そして…私には見えた。大きな開場で皆が応援してくれているみたいなのが…。
「……あれ? おっとと。」
私は一気に疲れがやってきて前のめりに倒れそうになった。それを抑えるように恭花さんが体を支えてくれた。私は恭花さんの方を向くと笑顔を見せてくれていた。後ろでも楓とアリスがグーポーズをとったりしていた。私は笑顔を取り戻して再び立ち上がる。そしてそれと同時に拍手が沸き起こる。私たちはお辞儀をして挨拶をした。そして壇上を後にした。
「お疲れ様です!」
控え室までの道に係員の人が挨拶をしてくれた。私は疲れた体をなんとか動かしながら笑顔で対応した。そして私は控え室に入ると長いすにすぐに座り、横になった。頭がクラクラするし息をするのが辛い。
「大丈夫? 飲み物とか持っていくね。」
「私は体を冷やせる物があるか探してみるね。」
「皆……ごめんね、ありがとう。」
私は体を起こすだけで精一杯だった。恭花さんに飲み物をもらうとすぐに飲んだ。そしてアリスと楓が保冷剤を包んだタオルを用意してくれた。
「ありがとうね…本当に体力無くて…ごめん。」
「そんなことないよ。ライブ中の千代乃はすごかったもん!」
「ええ、私たちの中で一番輝いているのは千代乃だもの。」
「私もうらやましいなって思いながら見てたよ。本当にすごかったから! ビデオとっておけばよかったなぁ。」
三人とも嬉しそうな顔だった。私がライブしているとき…そんなに輝いて見えたのだろうか。私は…アイドルを続けていて…本当に良かった。
「どうしたの? …やめてよ、泣かないでよ。私も泣いちゃうじゃない!」
私は思わず嬉しくて涙が流れてきた。嬉しさのあまり涙が…流れ落ちていく。そしてもらい泣きのように楓や恭花さん、アリスまで涙を流し始めた。でも…まだ始まったばかり。私たちはどんどん上を目指して…そして聞いて見てくれる人たちを笑顔にさせたい!