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第九話 『蓮華草』のチョコレート

第九話 蓮華草のチョコレート


「なぁ。 具合悪いのか?」


おっと。 危ない 考え込んでる場合じゃない。


笑顔で 元気だと 答える。 紫香しこうくんに心配されて どうするのだ。


「そっか。 ならいいんだけど。 ところでさ」


まさか。 雛木ひなきさんと話してたところ 見てたの 気づかれたとか。 やばい。 大ピンチ。


「今日 お前 誕生日だよな。 チョコレート好きか?」


はいはいっ。 チョコレート大好きでございます。 チョコレートのない世界なんて 考えられない。


てか 何故私の誕生日を……


コッコだ。 絶対にコッコだ。 コッコ以外に考えられない。 コッコめ。 余計なことを。


「はい。 誕生日プレゼント。 『蓮華草』のチョコレート。」


なにっ。 『蓮華草』のチョコレートだと。


密かに人気の 昔ながらな雰囲気を放つ あの『蓮華草』のチョコレートか。


嬉しい。 休日になったら バスに乗って 買いに行くぐらい 好きなんだ。 『蓮華草』のチョコレートが。


「美味しいらしいから。 手紙も入ってるから。 家で食べてね。 んじゃ。」


紫香しこうくんは 颯爽と帰っていく。 私は ぼうっと紫香しこうくんの後ろ姿を見ていた。


「おーい。 なにやってんだー。」


後ろから コッコが呼んでる。 振り返って 手招きをする。


「どうしたの。 そんな ニコニコして。 なんかあった?」


あれ。 コッコが 紫香しこうくんに 私の誕生日教えたんじゃないの。 ていうか コッコ私の誕生日プレゼントは?


「あっ。 ごめん。 今日だったねー。 あははは。」


きっと睨む。 笑って済ますつもりか。私はしっかりあげたのに。


「今週末買ってくるから。 ね?」


ならばよし。


「てか 紫香しこうくんから誕生日プレゼントなんて 最高の誕生日じゃないの。 満足しなさいよ。」


もう一度 さっきよりきつく 睨む。


「あぁもう。 わかったよ。」


★私の幸福 心が和らぐ 感化


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