第八話 ねぇ応えてよカルミア……
いい天気。 私の心はあれから 全く太陽を見せてないけど。
もうそろそろ カルミアが 咲くだろう。 蕾が膨らんできた。
放課後 帰る前にふと カルミアの蕾に引きとめられた。 正確には カルミアの蕾に引きとめられた 気がした のだが。
そして 私は そっと 尋ねる。
雛木さんと 紫香くんは 何を話してたと思う? なんて答えたのかな。
私と無関係なことぐらい わかっているつもりだ。 そんな事 わかってるさ。
でも。
仮に 告白してたとしても。 そうだとしても 紫香くんの答え次第ではないか。
もう一度 カルミアに 問いかける。
紫香くんは なんて思ってるのかな? あの時 何を考えたのかな。
カルミアは 何も答えてくれない。 応えてほしいのに。 私の望むことじゃなくてもいい。
望み通りだったら きっと信じられない。
女の子の自問自答の 『答え』は もう 問いかけたその時から決まっているのだ。 だから。
雛木さんは 紫香くんが 好き。 紫香くんも 雛木さんが 好き。
それでいいのだ。 そうでないと思ってしまったら 私。
きっと 私は 紫香くんの事 諦められなくなるだろう。
私は 雛木さんだから 諦められるのだから。 諦めるなら 今だ。
しかし そう思う自分がいる一方で 期待してしまう自分がいるわけで。 大変だ。
「よっ。 どうした? 悩んでるの?」
悩んでますとも。 そりゃ。
…え。 なんで紫香くんが。 ここに。 驚きのあまり なにも 喋れない。
★大きな希望 賞賛




