第二十七話 小紫っていいな
今日は 紫香くんへの本選び兼 私のお悩み相談だ。
私の相談相手といえば コッコで決まりだ。
コッコには 『蓮華草』でのデート兼ショッピングだと言っておいた。
コッコを誘うときに 相談したいなんて言ったら 散々馬鹿にされただろうから。 コッコなんかに馬鹿にされるなんて屈辱以外の何物でもない。
待ち合わせの時間から 五分経過。 コッコは何時も遅れてくるから 時間通りなんて 期待していないが。
服装にうるさいコッコでも 今日の私の格好なら 文句はいえないだろう。
なんて言ったって 『シック』だからね。
「ごめん。 ちょっと遅れちゃった。」
よし。 いつも通り。 コッコは 時間通りにこようとしていないのか。
「あんた本当に変わらないね。 この前も言ったじゃない。」
お説教が始まった。 まさか 今日まで言われるとは。
「そもそもさ 赤と紫の簪と これまた赤と紫のワンピース。 しかも 色合いが微妙に違う。 いつまで立っても 愛され女子になれないぞー。」
一言余計だと思う。 個性というのだ。 皆が愛され女子になったら 困るだろう。
なるほど。 色合いの違うものは 着ない と。 次回こそはコッコの説教なしで 出発したい。
もう うるさくなってきたから 本屋さんに向かう。 紫香くんへの本は 決まっている。 その本を探すだけだ。
あった あった。 これ。 コッコは 後ろでつまらなそうにしている。 もう『蓮華草』に行けるからと言った途端に 笑顔になる。
そんなに『蓮華草』が好きか。 私も好きだけどさ。
バスに乗り込んで コッコが文句を言う。
「バス停の名前さ わかりにくいよね。 並木道ってさ。 いっそのこと『蓮華草』にしてしまえばいいものを。」
あ。 同感。 何度も来ているけど 乗り過ごしたことなんて ざらにある。
『蓮華草』に入ったら 何時もの窓際の席に着く。
2人とも満足なだけ頼んだら 本題を切り出す。 紫香くんの事だ。
「あんた いつまで悩んでるのさ。 紫香くんも 気にしてくれなくなるよ。 行動するなら早めにね。」
アドバイスを 一言しか貰ってないのに 頼んだものが届いてしまう。 仕方が無い 取り敢えず 食べよう。
うん。 美味しい。
★知的で聡明 愛され上手




