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第二十三話 フラサバ草に出会って

早かった。 もう 帰りのバスだ。


そして Nグループのほとんどが寝ている。 小学生か。 お前らは。


私の他に男子しかいないせいか あちらこちらで 大きな鼾が聞こえる。


一応女子が一緒に乗っているんだ。憚らんか。 全く。


私はというと 最後列の窓側に座って 静かに眠っている紫香しこうくんの横顔を眺めている。


紫香しこうくんも はじめは起きていたのだが 疲れていたのか 寝てしまった。


私もなんとなく暇になり 今日の遠足を振り返る。


そういえば 名前は忘れてしまったけど 誰か 強面な感じの人が 話しかけてきたな。 なんて言ったっけ。


思い出せない。 いい人だったのに。 まあ クラスは違うけど同じ学校だし いつか会うだろう。


そう 紫香しこうくんは人気者だから 男子に引っ張られて連れて行かれた時 声をかけてくれたのだ。


「いつも 水やりしてる子だよね? 僕……って言うんだ。 お花好きなの?」


強面で 長身の彼の 一人称が 『僕』なのが可笑しくて。 すごくいい人なのは 伝わってきた。


そこに生えていた雑草たちを摘み取って 押し花とかにしてやろうと思っていた。 その花の選別中だったし その方に 選んでもらった。


そしたら その人 フラサバ草を選んだのだ。 小さな小さな花だ。


フラサバ草の花言葉を伝えると 僕にぴったりだ と笑っていた。 強面な顔に似合わず くしゃっと。


押し花が出来たらあげると 約束したが 名前もわからないのだから どうしたものか。


ピィナなんて モテモテだし 有名そうだから 聞いてみよう。 あんなにギャップのある人も少ないだろうし。


本が好きだとも言っていたから 私のオススメの本も一冊添えようか。 流石に それは迷惑かもしれない。


本は 好みが大きく分かれるから。


とにかく 可愛らしい彼に似合うように 可愛らしい栞を作ろう。


紫香しこうくんのことより ウキウキしてものを考えるのは 久しくしていなかったように感じる。


あ。 もう学校。 というか あの人は このバスに乗っているんだ。 降りた時に探してみよう。


それに もし今見つからなくても 朝いるだろうし。 私を知っていたのだから。


さあ 家に帰ったら早速 押し花作りだ。 紫香しこうくんの分も ついでに作ろう。


★一見強面に見える

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